オーストラリア国立図書館、新たな収集戦略とコレクション構築方針を公表

2020年7月1日、オーストラリア国立図書館(NLA)は、新たな収集戦略“Collecting Strategy 2020-21 – 2023-24”と、コレクション構築方針“Collection Development Policy”を公表しました。これらの戦略・方針は、2020年4月にオーストラリア国立図書館評議会(National Library of Australia Council)での承認を経たものであり、2020年7月1日から実施されます。

新たな戦略・方針における特徴の一つとして、国外発行資料の収集に関し、数十年前からの減少傾向が今後も続くことが示されています。収集戦略では、中国・インドネシア・太平洋地域(パプアニューギニア、ソロモン諸島、バヌアツ、フィジー、ニューカレドニア、東ティモールを含む)の優先順位が高く設定されており、それら以外の国・地域の資料収集はリソース上の制約から減らす必要がある、と述べています。

日本を含むアジア関係資料の収集範囲縮小をもたらす内容であるため、2020年5月には、オーストラリアの日本研究者や東亜図書館協会(CEAL)から再考を求める声明も発表されていました。

Collecting Direction and Focus(NLA, 2020/7/1)
https://www.nla.gov.au/stories/news/2020/07/01/collecting-direction-and-focus

Collecting Strategy 2020-21 – 2023-24(NLA)
https://www.nla.gov.au/content/collecting-strategy-2020-21-2023-24

Collection Development Policy(NLA)
https://www.nla.gov.au/content/collection-development-policy-2020/

関連:
National Library of Australia’s Asia collection(EAJRS, 2020/5/28)
https://www.eajrs.net/national-library-australias-asia-collection
※日本資料専門家欧州協会(EAJRS)のウェブサイトに掲載された、オーストラリア国立大学名誉教授で日本近代史を専門とするテッサ・モリス=スズキ氏による声明です。

CEAL Statement on the National Library of Australia’s Asian Materials Collecting Strategy(CEAL, 2020/5/29)
https://www.eastasianlib.org/newsite/ceal-statement-on-the-national-library-of-australias-asian-materials-collecting-strategy/
※東亜図書館協会(CEAL)による声明です。

参考:
オーストラリア国立図書館によるアジア関係資料の収集範囲縮小への批判(記事紹介)
Posted 2020年6月11日
https://current.ndl.go.jp/node/41193