感染症拡大下における優れたデザインの図書館ウェブサイトとは(記事紹介)

2020年5月21日、図書館・大学・学校向けにレファレンスデータベースの販売等の事業を行うCengage社傘下のGaleは、ブログ記事“4 Tips for Library Websites During the Coronavirus Pandemic”を公開しました。

同記事は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、数百万人の学生・教育者等の図書館利用者が自宅学習・在宅勤務を余儀なくされても、優れたデザインの図書館ウェブサイト構築は依然として重要であるとして、利用者のニーズに応えた図書館ウェブサイトの構築をいくつかのベストプラクティスとともに支援する内容です。記事では優れたデザインの図書館ウェブサイトを構築するコツとして、以下の4点をベストプラクティスとともに挙げています。

・目を引き明確な行動を促す呼びかけ:
ウェブサイト上に、図書館の提供する感染症関連資料や活用のために最適なオンラインリソース、図書館への連絡方法等を利用者に案内するためのバナーや行動の呼びかけを掲載する。例えば、米カリフォルニア州のロサンゼルス郡図書館(LA County Library)は、ウェブサイト上に紫と黄色で構成された目を引くセクションを設け、利用者が資料へアクセスする最初のステップとして図書館の利用者カードを入手するように明確に案内している。

・利用者の気持ちを捉えた言葉遣い:
専門用語や略語を避け、「新型コロナウイルス感染症についてもっと知りたい」「コロナウイルスに関する資料」など、利用者が思い描くものと一致するような文言を選択する。例えば、米フロリダ州のインディアン・リバー・ステート・カレッジ(Indian River State College)図書館ウェブサイトのFAQでは、「私の論文に必要なデータベースが何かわからない」など、学生が実際に質問するであろう文言をそのまま掲載している。

・専用の新規ページの作成:
新型コロナウイルス感染症に関する専用ページを新たに設けることは、利用者がウェブサイトのどこを見ればよいか混乱することを回避しワンストップのページを提供する、図書館が緊急事態を認識して最新情報で積極的にサポートする姿勢を利用者に示すことができる、などの理由から有効である。ただし新設ページに過剰に情報を詰め込まないことにも気を付けなければならない。米・ハーバード大学図書館ウェブサイトの遠隔教育への移行に関する専用ページは、図書館への連絡方法・遠隔教育に有効なツールの紹介、その他のツールの紹介を簡潔な形で有用な情報として示した例である。

・情報の受け手の明確化:
単一の情報提供で全ての事例に対応できるとは限らないため、共通のニーズに応じて利用者を誘導することも有効である。米カリフォルニア州のサンマテオ郡コミュニティ・カレッジ・ディストリクト(San Mateo County Community College District)のウェブサイトでは、学生にはオンライン上で学習を継続するために必要なツールを詳細に案内したページへ、職員には在宅勤務への移行方法に役立つ情報の掲載されたページへ、教員には大学のリソースを活用して遠隔教育を行うために必要な手順の詳細な指示を示したページへ、それぞれ誘導する構成となっている。

4 Tips for Library Websites During the Coronavirus Pandemic(Gale,2020/5/21)
https://blog.gale.com/4-tips-for-library-websites-during-the-coronavirus-pandemic/

関連:
Online Learning(LA County Library)
https://lacountylibrary.org/learn/

Frequently Asked Questions(Indian River State College Libraries)
http://irsc.libguides.com/covid19

Teach Remotely with Harvard Library(Harvard Library)
https://library.harvard.edu/how-to/teach-remotely-harvard-library

Coronavirus (COVID-19) Information(San Mateo County Community College District)
https://covid-19.smccd.edu/

参考:
あなたの図書館のウェブサイトに関する3つの真実(記事紹介)
Posted 2014年5月13日
https://current.ndl.go.jp/node/26123

E1577 – 図書館ウェブサイトのデザイン及びユーザビリティ調査(米国)
カレントアウェアネス-E No.261 2014.06.19
https://current.ndl.go.jp/e1577