感染症拡大下において研究データを円滑に共有するには:6つの留意点(記事紹介)

2020年5月19日付のNature誌オンライン版のコラムに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大下において研究データを円滑に共有するための6つの留意点を紹介した記事が掲載されています。

感染症の世界的な拡大は、既存の研究データの共有やマイニング、リソースの蓄積等へ差し迫った関心を喚起し、これまで研究データの共有に慎重であった学術コミュニティの慣習を変革しつつあります。記事では感染症に対処するための研究データ共有に関する医療・衛生分野の取り組みを紹介しながら、共有は盛んに進められているものの、法的・倫理的・学術的な配慮を要して実践する必要があることを指摘し、研究データ共有における典型的な誤りを回避するために留意すべき事項として以下の6点を挙げています。

・収集方法等の研究データに関する十分なメタデータや、処理・分析に必要なコード、ファイル形式への配慮、readmeファイルの作成といった他の研究者の再利用に資するように、提供する研究データを整備すること

・ヒトを研究対象とした研究のデータを登録する場合には適切な倫理的・法的承認を経ている必要があり、特にデータを適切に匿名化して個人が特定できないことへの配慮が必要であること

・研究データを利用する際には、データそのものだけでなく、プロトコル・収集方法・収集時期など、データが収集された文脈を把握し不明な点があれば、データを作成した研究チームへの問い合わせ等が必要であること

・単一の研究の分析と複数の情報源に蓄積された様々な研究データの分析では、求められる専門知識に相違があるため、自身の研究チームの統計的な分析能力がどの程度か把握しておく必要があること

・スマートフォンアプリを使った感染拡大状況の収集や遺伝分野のデータベース利用において、国によっては法的に事前の同意や契約が求められる場合等があるため、法律上の義務に十分に注意を払うこと

・共有データを使って研究成果物を発表する場合、データの生成者を共著者に加える必要があるかどうかについて検討する必要があること

Six tips for data sharing in the age of the coronavirus(Nature,2020/5/19)
https://doi.org/10.1038/d41586-020-01516-0

参考:
E2234 – 「データ引用原則の共同宣言」:データ引用を学術界の慣習に
カレントアウェアネス-E No.386 2020.02.27
https://current.ndl.go.jp/e2234

CA1818 – 研究データ共有時代における図書館の新たな役割:研究データマネジメントとデータキュレーション / 池内有為
カレントアウェアネス No.319 2014年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1818

感染症拡大下でのプレプリントサーバによるスクリーニング(記事紹介)
Posted 2020年5月15日
https://current.ndl.go.jp/node/40957