COVID-19の治療に効果が期待される薬に関する論文のオープンアクセス状況(文献紹介)

欧州研究図書館協会(LIBER)の季刊誌“LIBER QUARTERLY”の第30巻第1号(2020)に、COVID-19感染拡大下における論文のオープンアクセスについて調査を行った事例研究が掲載されています。

この論文では、大手出版社から公開されているCOVID-19の治療に効果がある可能性がある薬に関する論文のオープンアクセス状況について調査を実施しています。調査は2020年4月12日から17日にかけて実施されており、ScienceDirect等のプラットフォームで公開されている論文が対象となっています。これらのプラットフォームで、COVID-19の治療の効果が期待される薬を検索語句として入力し、検索結果として得られた論文のオープンアクセス状況を調査しています。結果として、プラットフォームや検索語句によってばらつきがあるものの、オープンアクセスではない論文が多く存在することを示しています。

新型コロナウイルス感染拡大の中、多くの大手出版社がCOVID-19等のキーワードを含んだ論文をオープンアクセスにしてきました。しかし、研究の遂行や方針の策定には、それ以外の論文へのアクセスも提供する必要があることを指摘しています。

Availability of research articles for the public during pandemic – a case study(LIBER QUARTERLY, 2020/5/8)
https://www.liberquarterly.eu/article/10.18352/lq.10340/
※本論文はオープンアクセスです。

参考:
Springer Nature社、新型コロナウイルスに関する情報サイトの開設・関連性の高い研究論文の無料提供等を実施
Posted 2020年1月31日
https://current.ndl.go.jp/node/40126

エルゼビア社、新型コロナウイルスに関する無料の研究関連情報等をまとめたオンラインの情報センターを開設
Posted 2020年1月30日
https://current.ndl.go.jp/node/40113

Taylor & Francisグループ、新型コロナウイルスの世界的な拡散への対応としてコロナウイルスに関連する研究論文21本の無料提供を実施
Posted 2020年1月29日
https://current.ndl.go.jp/node/40090

Wiley社、コロナウイルスに関する研究論文を期間限定でオープンアクセスに:新型肺炎をめぐる救援活動支援のため
Posted 2020年1月27日
https://current.ndl.go.jp/node/40059