OCLC、ILL借用中資料の安全な返送が可能となるように各図書館のクラウドソーシングによるサービスステータスの一覧を提供

2020年5月12日、OCLCは、ILL借用中資料の安全な返送を目的として、各図書館のクラウドソーシングによるサービスステータスの一覧を提供していることを発表しました。

OCLCは、新型コロナウイルス感染症の影響が顕在化した時点で、同館のILLシステムWorldShare ILLのネットワークを介して、40万点近くの現物資料が5,674館に貸出されていることを発表しています。これらの資料を借用中の図書館は、感染症の影響による臨時休館が終了しサービスを再開した後、所蔵館へ資料を返送する必要がありますが、返送先の図書館が休館中であった場合には、資料の紛失・破損のリスクの増大や、配達不能となった資料の返送に対する追加料金の発生が懸念されます。このため、ILL担当者は借用中資料を所蔵館へ返送してよいかどうか、いつ返送すればよいかを把握する必要があります。

OCLCはこのような背景から、各図書館のクラウドソーシングをもとにしたサービスステータス一覧の提供を行っています。各図書館はOCLCが用意した専用のGoogleフォームから、借用館が資料を返送した場合に受け取り可能かどうか、ILLによる現物資料の貸出を行っているかどうか、などについての回答を要請されています。各図書館からの回答はOCLCによってとりまとめられ、Googleスプレッドシート形式の一覧として提供されています。

Help crowdsource the safe return of ILL physical items(OCLC,2020/5/12)
https://www.oclc.org/en/news/announcements/2020/Help%20crowdsource%20safe%20return.html

Physical ILL Return and Lending Status(Googleフォーム)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdeiDVX4KNSTZqDM172ZbW614-rU0cyHeiC2lgl8g2uwy5dlQ/viewform

Physical Materials-Public(Googleスプレッドシート)
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1M8qEr7sAjTzG9v4fxIuwndEHosVF2UMcrXW00SeNd68/edit#gid=0

参考:
OCLCの新ILLシステム“WorldShare Interlibrary Loan”が米国内で提供開始
Posted 2013年3月13日
https://current.ndl.go.jp/node/23071

米国国立医学図書館(NLM)、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりILLサービスを通した同館所蔵冊子体資料の提供を停止:電子資料の提供は継続
Posted 2020年3月24日
https://current.ndl.go.jp/node/40577