SPARC Europe、欧州の高等教育機関の図書館におけるオープンエデュケーションの状況の基礎調査について中間結果を公開

2020年4月29日、SPARC Europeは、欧州の高等教育機関の図書館におけるオープンエデュケーションの基礎調査について中間結果を公開したことを発表しました。

SPARC Europeは2019年の欧州研究図書館協会(LIBER)のカンファレンスで、学術図書館がオープンエデュケーションへどのように貢献しているかを調査する計画を発表していました。2019年後半に調査の第1弾として、高等教育機関の図書館におけるオープンエデュケーションの現況調査が行われています。

SPARC Europeの調査には欧州29か国から146件の回答が寄せられ、機関の状況・資金調達の状況・方針策定・図書館のリーダーシップ・アドヴォカシー・関連するサービス・関連する課題と利益の7つの分野への調査が行われています。

次のような調査結果が紹介されています。

・オープンエデュケーションに関する方針は、20以上回答されたものの機関の大方針の中の一部という位置づけにされている傾向にあった。オープンエデュケーションの価値を機関でより強固にする必要がある

・半数以上の機関が、オープンエデュケーションやオープン教育資源(OER)に関する取り組みの中心的な立場にあると回答している

・図書館は主に教育・学習や学術コミュニケーションの立場からオープンエデュケーションを主導しており、オープンアクセス・オープンスカラシップ・オープンサイエンスとのつながりが示されている

・図書館が特に提供しているサービスは、オープンエデュケーションに関する情報リテラシー、著作権に関する助言、研修等であった

・図書館は特定の活動を提供するため他部署からの支援を必要とする際や、オープンエデュケーションを管理・実行する際に、機関内で顕著に協調的な能力を示した

SPARC Europeは追跡調査を実施すること、ユネスコのOERの促進を目的とした勧告の実施にどのように貢献しているかについて調査することを今後の予定として表明しています。

SPARC Europeは、欧州遠隔教育大学連盟(European Association of Distance Teaching Universities:EADTU)による新しい教育の最新動向・展開に関する2020年のレポート“The Envisioning Report for Empowering Universities”の中で、調査の中間結果を初めて公表しました。完全な調査結果の報告書は2020年5月に公開される予定です。

Open Education in European libraries of higher education: initial survey results in(SPARC Europe,2020/4/29)
https://sparceurope.org/open-education-in-european-libraries-of-higher-education-initial-results/

The Envisioning Report for Empowering Universities 4th edition [PDF:48ページ](EADTU)
https://empower.eadtu.eu/images/report/The_Envisioning_Report_for_EMPOWERING_Universities_4th_Edition_2020.pdf

参考:
カナダ研究図書館協会(CARL)、オープンエデュケーションに関する声明を発表
Posted 2019年11月20日
https://current.ndl.go.jp/node/39547

ユネスコ、オープン教育資源(OER)の促進を目的とした勧告を採択
Posted 2019年12月4日
https://current.ndl.go.jp/node/39658