独・ベルリン中央州立図書館、デジタル情報へのアクセス提供による刑務所受刑者の社会復帰支援試験プロジェクトに参加し同館電子リソースの受刑者向け配信を開始

2019年11月29日、独・ベルリン中央州立図書館(ZLB)は、ベルリン州司法・消費者保護・反差別省(Berliner Senatsverwaltung für Justiz, Verbraucherschutz und Antidiskriminierung)のデジタル情報へのアクセス提供による刑務所受刑者の社会復帰支援試験プロジェクト“Resozialisierung durch Digitalisierung”に参加したことを発表しました。

“Resozialisierung durch Digitalisierung”は収監中の受刑者へデジタル情報へのアクセス機会を提供し、出所後の社会復帰を支援する試験プロジェクトです。2019年12月1日から、現在試験プロジェクトに参加中のベルリン州ハイデリング刑務所(JVA Heidering)の受刑者60人に対して、ZLBの約2万2,000タイトルの電子書籍・オーディオブック、約5,000タイトルの雑誌・日刊紙、ベルリン公共図書館協会(VÖBB)の音楽プラットフォーム“Freegal”上で提供される歌曲等が、受刑者に配布されたインターネット接続可能な専用タブレット端末経由で配信されます。受刑者向けのタイトル制限は行われておらず、各プラットフォームが提供する全てのコンテンツが配信されています。数か月後にはVÖBBのさらなるコンテンツの配信が予定されています。また、刑務所内ではサービス内容や利用方法に関する講習会が開催される予定です。

ZLBの発表によると、ドイツの公共図書館がインターネットを介して刑務所向けにサービスを提供するのは初めての試みです。今後数年間でベルリン州内の他の刑務所の受刑者へもこのプロジェクトは拡大される予定です。

Pilotprojekt – Resozialisierung durch Digitalisierung(ZLB,2019/11/29)
https://www.zlb.de/ueber-uns/presse/pressemitteilung-detail/news/pilotprojekt-resozialisierung-durch-digitalisierung.html

関連:
Presseeinladung: Resozialisierung durch Digitalisierung(Berliner Senatsverwaltung für Justiz, Verbraucherschutz und Antidiskriminierung,2018/6/11)
https://www.berlin.de/sen/justva/presse/pressemitteilungen/2018/pressemitteilung.710185.php

参考:
E2197 – 独・Library of the Year受賞のベルリン中央州立図書館
カレントアウェアネス-E No.380 2019.11.21
https://current.ndl.go.jp/e2197

インドの刑務所が受刑者向けに電子図書館サービスを開始(記事紹介)
Posted 2016年12月12日
https://current.ndl.go.jp/node/33080

オーストラリア図書館協会(ALIA)、受刑者への図書館サービスの基準となるガイドラインを公開
Posted 2016年1月4日
https://current.ndl.go.jp/node/30360

E1492 – 新しいサービスを生み出し続けるピッツバーグの公共図書館
カレントアウェアネス-E No.247 2013.10.24
https://current.ndl.go.jp/e1492

CA1549 – カナダの刑務所内図書館 / 山口昭夫
カレントアウェアネス No.283 2005.03.20
https://current.ndl.go.jp/ca1549