カナダ研究図書館協会(CARL)とカナダ国立図書館・文書館(LAC)、カナダ国内で出版された冊子体資料の共同管理プロジェクトを実施

2019年10月10日、カナダ研究図書館協会(CARL)とカナダ国立図書館・文書館(LAC)は、カナダ国内で出版された冊子体資料の共同管理プロジェクトの実施を発表しました。

冊子体出版物の共同保存管理の必要性がますます高まっていることを背景として、現在の状況の調査と今後の取り組みを提言するために、CARLとLACはカナダの冊子体出版物の共同管理とアクセスに関する国家戦略の設計と実施を目的としたワーキンググループを設立しました。CARLとLACは、デジタル化についても冊子体資料の保存要件やアクセス提供に影響を与えることから関連事業である、としています。また、国家戦略が他の国々の類似した取り組みを活用し補完することができるように、ワーキンググループは、国際的な冊子体資料共同管理のイニシアチブと連携・協調する予定です。

このイニシアチブの一環として、現在、カナダ連邦政府の刊行物について、カナダ国内の26の図書館が協力して試験的なプロジェクトを実施しています。プロジェクトの第1段階では、参加館が所蔵する政府刊行物の重複範囲の全体像を把握するための調査が行われています。調査はOCLC傘下のSustainable Collection Services(SCS)社のソフトウェアGreenGlassにより進行中で、仮の集計結果は2020年冬に判明する見込みです。プロジェクトの第2段階では、参加館との協議により、これらの刊行物保存のための枠組み策定が行われる予定です。

CARLとLACはワーキンググループのその他の作業項目として以下を挙げています。
・国際的な冊子体資料共同管理イニシアチブの環境の精査
・カナダで刊行された単行書などさらなる重複調査に関する優先順位の設定と実施
・書誌レコードを通して長期的・恒久的アクセスのために著作物を所蔵する義務を明記した公的登録制度の開発
・分散型の全国ネットワーク、あるいは集中型の施設による冊子体資料の戦略的保存の方法や冊子体資料に関する様々なカテゴリー設定、参加形態への複数の選択肢の提示などを説明した詳細な提言

同イニシアチブの情報や現在進行中のプロジェクト、プロジェクト参加館のリスト等はLACのウェブサイトで公開されています。

CARL and LAC Co-Lead National Shared Print Project to Better Track and Preserve Published Materials(CARL,2019/10/10)
http://www.carl-abrc.ca/news/carl-and-lac-co-lead-national-shared-print-project/

Shared print collections in Canada(LAC)
http://www.bac-lac.gc.ca/eng/services/shared-print-collections/Pages/shared-print-collections.aspx

参考:
CA1819 – 北米における冊子体資料の共同管理の動向 / 村西明日香
カレントアウェアネス No.319 2014年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1819

OCLC Research、北米の図書の共同管理コレクションの現状をまとめたポジションペーパーを公開
Posted 2019年10月10日
https://current.ndl.go.jp/node/39241

OCLC Research、大学コンソーシアムBTAAによる共同管理コレクションの運用内容や今後の推奨事項をまとめた報告書“Operationalizing the BIG Collective Collection: A Case Study of Consolidation vs Autonomy”を公開
Posted 2019年8月30日
https://current.ndl.go.jp/node/38919

E1522 – 多面的なデータにもとづく除籍を支援するツール<文献紹介>
カレントアウェアネス-E No.252 2014.01.23
https://current.ndl.go.jp/e1522