査読登録サービスPublons、研究助成金配分のピアレビュー審査に関する大規模アンケートの実施報告書を公開

2019年10月10日、Clarivate Analytics社は、同社傘下の査読登録サービスPublonsが研究助成金配分のピアレビュー審査に関する大規模アンケートの実施報告書として、“Grant Review in Focus”を公開したことを発表しました。

“Grant Review in Focus”はこれまでの研究助成金配分のピアレビュー審査に関する調査の中でも特に広範な規模で実施され、4,500以上の回答とWeb of Science及びInCitesのデータセットに基づいて作成されています。調査対象となった研究者の所属は95か国にわたり、対象の研究者が助成金配分のピアレビュー審査等を実施した機関は800を超えます。また、調査では様々な助成機関へのインタビューを行われており、質的な側面からも洞察を得ています。

報告書では、ピアレビュー審査員の参加につながる有力な動機は認知度の向上と透明性の向上であったこと、助成機関は申請1件につき最大で6時間を費やしていること、ピアレビュー審査員は審査のために年間平均約10日を費やしていること、審査の作業負荷に偏りがあり審査員の4%が全審査の25%を引き受けている状態にあること、などの調査から得られた知見が指摘されています。

この報告書は、Publonsによる査読プロセスの調査報告書シリーズ「Global State of Peer Review」の一部として作成されています。報告書の全文は、氏名・所属機関・メールアドレス等の登録が必要ですが、Publonsのウェブサイトから無料でダウンロードすることができます。

First large-scale survey on grant peer review published by Publons(Clarivate Analytics,2019/10/10)
https://clarivate.com/news/first-large-scale-survey-on-grant-peer-review-published-by-publons/

Grant Review in Focus(Publons)
https://publons.com/community/gspr/grant-review

参考:
CA1961 – 動向レビュー:岐路に立つ査読と、その変化に踏み込むPublons / 松野 渉
カレントアウェアネス No.341 2019年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1961

査読登録サービスPublons、査読に関する現状調査報告書を公開
Posted 2018年9月12日
https://current.ndl.go.jp/node/36648

CA1829 – 査読をめぐる新たな問題 / 佐藤 翔
カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1829