Ex Libris、研究者が直面する課題と研究担当部署・図書館による支援の水準に関する調査結果をまとめたペーパーを公開

2019年6月13日、ProQuest社傘下の事業部門Ex Librisは、研究者が直面する課題と研究担当部署・図書館による支援の水準に関する調査結果をまとめたペーパー“Supporting Academic Research : Understanding the Challenges”の公開を発表しました。

調査はEx Librisの委託を受けたAlterline社によって、米国、英国、オーストラリアの研究者300人への質問紙調査と研究担当部署の上席スタッフ9人へのインタビューとして行われ、公開されたペーパーは調査から得られた知見をまとめたものになっています。

ペーパーは調査から得られた主な知見として以下のような点を挙げています。

・研究者は研究担当部署や図書館から提供される支援の水準に概ね満足しているにも関わらず、時間の余裕がなくストレスを感じている。
・図書館や研究担当部署が適切な支援を提供できることを独力で行っていると回答した研究者が見受けられた。APCの管理、研究助成金の条件調査、研究データ管理計画の立案、オープンアクセスポリシーを順守していることへの確証、研究影響力のモニタリング等について、40%から60%の研究者が独力で行っていると回答している。
・研究者は特に研究資金の調達と助成金申請の準備に困難を感じており、容易であると回答した研究者はいずれも40%に満たなかった。
・研究影響力の実証はますます重要になっているが有意義な測定方法が不明瞭である。このような状況にも関わらず、35%の研究者が自身の研究成果の影響力の実証を常に要求されていると回答している。
・研究者の業績はLinkedIn(65%)、所属大学のウェブサイト(54%)、Google Scholar(42%)など様々な媒体を通して発信されているが、研究者自身が自身の業績を最新の状態に保つことは他の作業量の多さから困難であり、所属機関がその責任を担うものとして認識されている。
・約60%の研究者が研究成果物とともに研究データを公開しなければならないと回答してるが、多くの回答者にとってこれは容易に達成できることではない。

Ex Librisは、図書館と研究担当部署は研究データや研究ライフサイクルの管理、研究助成金の入手、研究影響力の測定などに主要な役割を果たしうることを、この調査結果が示唆している、としています。

New Report Reveals Opportunities for Academic Libraries and Research Offices to Strengthen Support for Researchers(Ex Libris,2019/6/13)
https://www.exlibrisgroup.com/press-release/new-report-reveals-opportunities-for-academic-libraries-and-research-offices-to-strengthen-support-for-researchers/

Supporting Academic Research : Understanding the Challenges[PDF:14ページ](Ex Libris)
https://cdn2.hubspot.net/hubfs/5176202/HQ_Misc/Supporting%20Academic%20Research%20-%20understanding%20researcher%20challenges%20-%20WEB-S.pdf

参考:
E2122 – Scholars ARE Collectors:研究支援再考への提言(米国)
カレントアウェアネス-E No.366 2019.03.28
http://current.ndl.go.jp/e2122

Ex LibrisがRapidILLを買収
Posted 2019年6月25日
http://current.ndl.go.jp/node/38445