英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)、特別コレクションのインパクト評価に関する報告書“Evidencing the Impact and Value of Special Collections”を公開

2019年3月7日、英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)が、報告書“Evidencing the Impact and Value of Special Collections”を公開しました。

特別コレクションは研究図書館にとって研究・教育面で文化資産として長い間認められてきたものの、この数十年の間、デジタル化の波や経済環境の悪化といった社会の変化により、研究図書館を含めた多くの文化機関が、学術や文化の開放や、社会へのインパクトを証明することが求められるようになったことから、特別コレクションが研究図書館のインパクト目標を達成するために果たす役割や、関連サービスや活動によるインパクトを証明する方法を調査したものです。

報告書では、

・RLUKの会員館は、自館やコレクションの知名度を上げるための多様な活動を開発するための技術面や資金調達での機会を増やしている。
・インパクトを評価するために大学が用いている用語の定義は図書館の戦略目標にとって常に役立つわけではなく、そのため、特別コレクションの潜在的価値を完全に引き出せず、また、職員の専門知識や貢献を無にするかもしれない。
・RLUKの会員館は、外部の事業で利用された特別コレクションのインパクトを追跡・把握すること、図書館の資源やサービスの長期的なインパクトの測定、デジタル化した特別コレクションの利用の効果的な評価に関して困難さを感じている。
・特別コレクションの専門家のスキルセットの範囲がコレクション管理から教育・研究・パブリック・エンゲージメントへと拡大している。

を指摘するとともに、機関ごと及びRLUKレベルでの実装方法に関する提案を含む以下の4つの勧告を行っています。

1. 特別コレクションに関するアドヴォカシー活動及びロビー活動の実施
2. インパクトを評価するために大学が用いている用語の定義との齟齬
3. 職員の能力開発
4. 有用性評価の獲得と証明

Evidencing the Impact and Value of Special Collections report(RLUK,2019/3/7)
https://www.rluk.ac.uk/special-collections-impact-report/

Evidencing the Impact and Value of Special Collections [PDF:40ページ]
https://www.rluk.ac.uk/wp-content/uploads/2019/03/Evidencing-impact-and-value-of-special-collections.pdf

参考:
E2023 – 特殊コレクション・アーカイブ資料のサービス評価統計の地平
カレントアウェアネス-E No.346 2018.05.17
http://current.ndl.go.jp/e2023

英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)・英国国立公文書館(TNA)・Jisc、特別コレクションの引用方法の一貫性・正確性の改善に関する課題・条件、及び、引用データの効率的な収集に必要な戦略やツールについて考察した報告書を公開
Posted 2018年11月9日
http://current.ndl.go.jp/node/37010