米・プリンストン大学図書館(PUL)、購入資料から修験道に関する貴重な古文書を発見したと発表

2018年11月20日、米・プリンストン大学図書館(PUL)が、同大学東アジア学部・歴史学部教授のコンラン(Thomas Conlan)氏と同館日本研究司書の野口契子氏が日本中世の貴重な古文書を発見したことを発表しています。

2015年、コンラン氏は、野口氏と協力し、コンラン氏の大学院の日本古代・中世史ゼミでの学生の研究・翻刻用に日本中世の古文書を入手しようと奈良県の吉野を出処とする古文書を購入したところ、その中から発見されたものです。

同文書は、襖の下張りに用いられており、購入前に、14世紀から15世紀初期の、女性から女性に充てた売券を含め、14世紀から17世紀にかけての古文書が含まれていることは分かっていましたが、売主はその内容を把握していませんでした。

同大学に到着後、未整理で断片化していた同文書を修復・再現したところ、修験道の寺院・櫻本坊を出処とするものであることがわかりました。修験道関係の古い記録は明治初期の神仏分離政策によりその多くが失われており貴重であるとのことです。2017年には東京大学史料編纂所の研究者の協力も得て調査した結果、購入した箱には119点の古文書が含まれ、そのうち55点は1308年から1615年に書かれたものであることが判明しました。残りはそれ以降に書かれたもので、一番新しいものは17世紀後半のものです。

プリンストン大学東アジア図書館では、同文書群を時系列に整理し、各文書の翻刻と合わせて図書館のカタログに追加するほか、保存部門では適切な保存方法に関する調査を実施するとしています。また、古文書内に記載されている寺院の場所など地理情報が必要なため、同大学の地理・地図情報センター(Maps and Geospatial Information Center)との連携も検討するとしています。

East Asian Studies professor and librarian uncover rare Japanese medieval documents (PUL,2018/11/20)
https://library.princeton.edu/news/eastasian/2018-11-20/east-asian-studies-professor-and-librarian-uncover-rare-japanese-medieval