インド大学助成委員会、剽窃に関し文章の類似度に応じた罰則規定を導入(記事紹介)

2018年4月9日付けのサイエンス誌オンライン版で、インドの大学助成委員会(UGC India)が新たに導入した、学術著者における剽窃の罰則規定と、研究者らの反応が紹介されています。

UGC Indiaは高等教育・すべての大学を監督する機関です。新たな罰則規定によれば、学生の学位論文や教員の論文について、他の論文等との類似度が10%以下の場合は、剽窃とはみなされず、なんらの処罰もありません。類似度が10~40%の場合は、当該著作は剽窃とみなされ、学位論文の場合は再提出が、教員の場合は剽窃論文の撤回が要求されます。類似度が40~60%の場合は上記に加え、学生であれば1年の追加での在籍が要求され、教員の場合は1年間昇給が停止され、2年間学生の指導が禁止されます。類似度が60%以上の場合は学生は学位プログラムから排除され、教員は2年間の昇給停止・3年間の学生指導禁止を要求される、とのことです。

Science誌のインドの研究者に対する取材によれば、この規定について、インドにおいて剽窃を防いでいくためのステップとして評価する研究者もいる一方、類似度の割合によらず剽窃は剽窃であり、類似の程度で罰則が変わるなどと冗談ではない、という意見もあります。逆に、一部の分野では定型的な文章表現が用いられており、今回の規定では多くの論文が処罰対象となってしまい、現実的ではない、とする意見も紹介されています。

India creates unique tiered system to punish plagiarism(Science、2018/4/9付け)
http://www.sciencemag.org/news/2018/04/india-creates-unique-tiered-system-punish-plagiarism

参考:
学術雑誌は投稿論文の剽窃行為をどのようにチェックしているか? 剽窃行為発見サービス“CrossCheck”ユーザを対象にした調査
Posted 2011年5月31日
http://current.ndl.go.jp/node/18306

CA1567 – 大学における剽窃行為とその対策-英国・JISCPASを中心に- / 浅見文絵 カレントアウェアネス No.285 2005.09.20
http://current.ndl.go.jp/ca1567