Springer Compact(オフセット契約)によるオープンアクセス(OA)の状況

2018年3月22日、オープンアクセス(OA)におけるAPC(論文処理加工料)の透明性が高く、効率的な管理体制の構築を目的とするドイツの団体INTACTが、Springer Nature社のオフセット契約モデルSpringer CompactによるOAの実現状況に関する調査結果をブログで公開しました。

オフセット契約とは電子ジャーナルのビッグディール費用とAPCを一括して機関が支払うモデルです。INTACTの調査では、オーストリアの大学図書館協会、ドイツのマックス・プランク・デジタル・ライブラリ(MPDL)、オランダのVSNU、スウェーデンのBibsamコンソーシアム、そしてイギリスのJISCのデータを用い、2016~2017年のSpringer Compact対象雑誌について、OA論文の割合や、そのうちオフセット契約の結果OAになったものの割合等を調査しています。

調査の結果、対象期間中にオフセット契約下でOAとなっていた論文はSpringer Compact対象雑誌の4.28%でした。Springer Compact対象雑誌中のOA論文全体の割合は8.47%であったので、OA論文の過半数はオフセット契約の結果、OAとなったものであると結論されています。オフセット契約はOA論文の増加に顕著に貢献したと言えるものの、個々の雑誌を完全にOA雑誌に転換するほどの状況には至っていないとのことです。

Analysing the article coverage of offsetting contracts(INTACT、2018/3/22付け)
https://www.intact-project.org/general/openapc/2018/03/22/offsetting-coverage/

参考:
ビッグディール購読費用とAPCを一括して支払う「OAオフセットモデル」についての共通理解
Posted 2016年5月24日
http://current.ndl.go.jp/node/31656

E1870 – 購読型ジャーナルをオープンアクセスに転換する15の方法
カレントアウェアネス-E No.317 2016.12.22
http://current.ndl.go.jp/e1870