韓国・文化体育観光部、「第1次文学振興基本計画(2018~2022)」を発表:図書館常駐作家支援事業の拡大、国立韓国文学館の設置など

2017年12月19日、韓国・文化体育観光部が、「第1次文学振興基本計画(2018~2022)」を発表しました。

2016年8月の「文学振興法」施行にともなう5か年計画で、韓国の作家・韓江氏の『菜食主義者』がブッカー賞を受賞するなどの韓国文学への関心の高まりや、文学作品の出版数の増加などの現象の一方、年収や創作活動のためのスペースといった創作環境の劣悪さ、世帯別書籍購入費(月額)の下落、電子書籍における文学作品の地位の低さや公共図書館で貸出している文学関連の電子書籍数の少なさといった問題を抱えていることから、「文学」の価値を重視する社会的基盤を構築するための総合対策となっています。

以下のような、創作・享有・海外進出・基盤施設の4つの戦略が掲げられています。

〇戦略1:文学作品の創作者が安定的に創作に専念できる環境の整備
・文芸誌の発刊支援事業、創作のための助成金事業、優秀文学作品選定支援事業の復活
・図書館常駐作家支援事業の拡大、小規模書店への作家派遣支援事業の開始
・作家への著作権教育
・地域での文学活動の活性化事業

〇戦略2:読者が文学を享有し消費を拡大するための条件の造成
・マルチメディアの文学コンテンツを配信したり、創作者・読者による批評空間を提供するプラットホーム「サイバー文学広場」の運営
・「文学週間」の法制化と各種行事の推進
・ライフサイクルごとの文学活動の機会の提供拡大
・兵舎、刑務所といった文学から疎外されている場所での文学体験の拡大

〇戦略3:韓国の文学の地位確保と理解向上のための海外進出と国際的な文学交流の活性化
・韓国文学翻訳院の整備と海外進出のための計画の策定
・韓国文学の翻訳のためのオンライン辞書の提供及び韓国文学デジタル図書館のコンテンツ拡充
・新訳作品や中堅・新進作家の作品、児童や青少年向けの作品の翻訳支援や、アラビア語・スウェーデン語への翻訳の支援
・海外韓国文学関連データベースの構築、南北文学交流事業の実施(北朝鮮資料アーカイブ事業など)

〇戦略4:国立韓国文学館の設立など文学振興のための基盤施設の整備
・国立韓国文学館の2021年の開館
・地域の文学館を拠点とした地域の文学振興事業

문체부, 제1차 문학진흥기본계획(2018~2022) 발표(韓国・文化体育観光部,2017/12/19)
http://www.mcst.go.kr/web/s_notice/press/pressView.jsp?pSeq=16461

参考:
韓国・文化体育観光部と韓国文化芸術委員会、「図書館常駐作家支援事業」の公募を開始:公共図書館に作家が常駐し、文化プログラムを主催
Posted 2017年7月18日
http://current.ndl.go.jp/node/34378

韓国、「第2次図書館発展総合計画(2014-2018)」の2017年度実施計画を発表
Posted 2017年4月26日
http://current.ndl.go.jp/node/33905

韓国の教育部と文化体育観光部、「人文学及び人文精神文化振興基本計画」を発表:図書館・博物館や読書活動に関する事業も
Posted 2017年1月13日
http://current.ndl.go.jp/node/33249