米国・カナダの研究大学におけるAPC支払いの状況(文献紹介)

米国とカナダに所在する4つの研究大学を主な対象に、APC支払いの状況をまとめた論文”Article processing charges for open access publication—the situation for research intensive universities in the USA and Canada”が、2016年7月21日付けで、オープンアクセス雑誌PeerJで公開されています。著者は米ミシガン州立大学のDavid Solomon氏と、フィンランド・Hanken School of EconomicsのBo-Christer Björk氏らです。

この論文では4大学の研究者が論文を発表した雑誌のAPCの情報と、ヨーロッパの大学や研究助成機関におけるAPC支払い情報等をとりまとめた上で、分野や雑誌の類型ごとに平均APC額を算出しています。このうち分野ごとの分析については、APCを支払っている論文は生命科学や基礎科学に集中し、社会科学や人文学の論文はPLOS ONE等の他分野を扱う雑誌で発表されていたため、分野間の差異を見ることはできなかったとされています。雑誌の類型については、OA雑誌掲載論文への平均APC支払い額が2,000ドルをわずかに下回る程度なのに対し、ハイブリッドOA論文では3,000ドル程度であったとのことです。

Solomon D, Björk B. (2016) Article processing charges for open access publication—the situation for research intensive universities in the USA and Canada. PeerJ 4:e2264
https://doi.org/10.7717/peerj.2264

参考:
APCと雑誌購読費用: OAのコストを監視する(文献紹介)
Posted 2016年7月4日
http://current.ndl.go.jp/node/31999

E1579 -日本におけるOAジャーナル投稿とAPC支払いをめぐる調査 カレントアウェアネス-E No.262 2014.07.10
http://current.ndl.go.jp/e1579

E1241 – ハイブリッドOAを巡る高等教育機関・出版社・助成機関の問題 カレントアウェアネス-E No.205 2011.11.25
http://current.ndl.go.jp/e1241