図書館のアクティブ・シューター対応指針(米国):2016年米国図書館協会年次大会のセッション

2016年7月6日付のLibrary Journal誌(オンライン)が、2016年米国図書館協会(ALA)年次大会で実施された図書館の危機管理に関するセッション(Library safety session)の内容を紹介しています。

このセッションは、大会の開催地フロリダ州オーランドで発生した銃乱射事件を受けて行なわれたもので、利用者や職員を危険から守る方法を理解し、アクティブ・シューター(人の集まる場所で積極的に殺害を行なう者)への対応指針を図書館で策定することを目指したものです。

記事によると、講師のノースダコタ州立図書館のマイヤー(BreAnne Meier)氏は、同館の対応指針“run; hide; or as a last resort, fight”を示し、もし、その場所から逃げられない状況であれば、事務室を探し、ドアを閉め、ドアにデスクを立て掛けること。戦わなければならない状況に陥ったら、必要に応じて消火器を使うこと、などの説明がなされたとのことです。警察が到着した際の対応としては、手に何も持っていないことを示し、全ての指示に従い、急な動きをせず、質問をせず、できるだけ冷静でいることと紹介したとのことです。

また、アクティブ・シュータへの対応指針には、連絡手段・避難経路・集合場所・避難場所・職員の責任と役割を定め、館の危機管理計画の一部として位置づけ、その訓練は定期的に行われる必要があると指摘されたとのことです。

同記事の執筆者であるLJ誌のStephanie Sendaula氏は、得られた知見として、

・携帯電話は電源を切る。不可能であればサイレントモードにする。
・避難者が標的となってしまうので火災報知機を作動させない。
・標的となるので負傷者を動かしたり助けたりしない。
・アクティブ・シューターへの対応指針を館のウェブサイトで公開しない。
・安全が確認されたら、警察に通報し、情報提供を行なう。

等をあげています。

Active Shooter Policies in Libraries | ALA Annual 2016(Library Journal,2016/6/5)
http://lj.libraryjournal.com/2016/07/shows-events/ala/active-shooter-policies-in-libraries-ala-annual/

Active Shooter Policies in Libraries(ALA Annual Conference)
http://www.eventscribe.com/2016/ala-annual/fsPopup.asp?Mode=presInfo&PresentationID=138897

参考:
米国図書館協会(ALA)、6月12日未明の米国フロリダ州のナイトクラブで発生した銃乱射事件に関し、会長名義で声明を発表
Posted 2016年6月14日
http://current.ndl.go.jp/node/31794

国立国会図書館、『びぶろす』誌で「危機管理‐いざというときのために‐」を特集
Posted 2014年4月11日
http://current.ndl.go.jp/node/25912

E094 – セキュリティに関する包括的な手引書が刊行される(英国)
カレントアウェアネス-E No.17 2003.07.02
http://current.ndl.go.jp/e094