国際図書館連盟(IFLA)、移民や難民のための図書館サービスに関するウェビナーを公開

2016年5月19日、国際図書館連盟(IFLA)は、移民や難民のための図書館サービスに関するウェビナー(2016年3月21日に開催)の動画等を公開しました。

(1)国際図書館連盟(IFLA)運営理事会のメンバーであり、IFLAによる「図書館プログラムを通じた開発のための行動」(Action for Development through Libraries Programme:ALP)委員会の議長であるLoida Garcia Febo氏のイントロダクション(2)欧州図書館・情報・ドキュメンテーション協会連合(EBLIDA)、フィンランド図書館協会の双方の会長であるJukka Relander氏、IFLAの多文化社会図書館サービス分科会(Library Services to Multicultural Populations Section : MCULTP)の会長であるJack Hang-tat Leong氏によるプレゼンテーションの2つとなります。

(1)では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの情報をもとに世界難民に関するデータ等、概要を説明した後、難民等に提供するサービスとして、英語学習クラス、色々な言語による会話クラブ、一般教育修了検定、当該国のオリエンテーション、本や食文化を含む文化交流のためのサロンなどを挙げ、行政機関や基金、宗教組織、個人、地方のメディアなどと提携すべきであることが提言されています。

(2)では、EBLIDAの声明などのほか、IFLAの公共図書館常任委員会において、特に欧州における難民危機において、図書館がどのような役割を果たしているか、という事例を集積していることが紹介され、オーストリア、フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、スウェーデン、英国などでどのような対応をとっているか、簡単に紹介されています。

ドイツでは、ボードゲームや児童書、言語資料を含む特別なコレクション構築、宿題支援などを行っていること、オランダでは、英語、アラビア語の2つの言語による図書館のチラシを作成し、配布していることなどが紹介されています。また、英国図書館・情報専門家協会(CILIP)が開設した「英国への難民を受入れる:危機の際の図書館の役割」と題したウェブサイトや、2015年10月13日に表明されたバルト三国の図書館員による難民のための図書館サービスに関する声明(ラトビアの図書館協会であるLatvijas Bibliotekāru biedrība(LBB)に掲載)も紹介されています。

Library Services to Immigrants and Refugees: webinar recording now available(IFLA, 2016/5/19)
http://www.ifla.org/node/10483

Introduction by Loida Garcia-Febo
https://ala.adobeconnect.com/_a1087453682/p14twyow7qp/?launcher=false&fcsContent=true&pbMode=normal
※(1)です。

Presentations by Jan Richards, Jukka Relander and Jack Hang-tat Leong
https://ala.adobeconnect.com/_a1087453682/p9qzpfzn7ad/?launcher=false&fcsContent=true&pbMode=normal
※(2)です。

関連:
Public Libraries in Europe Welcome Refugees(EBLIDA)
http://www.eblida.org/special-event.html

Press Release: Public Libraries in Europe Welcome Refugees(EBLIDA, 2016/9/21)
http://www.eblida.org/news/press-release-public-libraries-in-europe-welcome-refugees.html

Welcoming Refugees to the UK (and to Libraries)(CILIP, 2015/9/30)
http://www.cilip.org.uk/blog/welcoming-refugees-uk-libraries

Statement of Librarians of Baltic States on Library Services for Refugees(LBB, 2015/9/13)
http://www.bibliotekari.lv/?p=633

IFLA/UNESCO Multicultural Library Manifesto(IFLA, 2015/4/17)
http://www.ifla.org/node/8976

IFLA/UNESCO Multicultural Library Manifesto Toolkit(IFLA, 2015/8/6)
http://www.ifla.org/node/8977

参考:
IFLAによるアフリカの図書館組織等の首脳会談で、公共図書館等のためのアドヴォカシー課題が示される
Posted 2015年8月4日
http://current.ndl.go.jp/node/29075

ベルリンの公共図書館での難民向け「ウェルカムカード」の取組(記事紹介)
Posted 2016年2月8日
http://current.ndl.go.jp/node/30673

ドイツ図書館協会(DBV)、ドイツの図書館の現況等に関するレポート2015年版の英語版を公表
Posted 2016年1月18日
http://current.ndl.go.jp/node/30455

CA1809 – 動向レビュー:ホームレスを含むすべての人々の社会的包摂と公共図書館 / 松井祐次郎
カレントアウェアネス No.318 2013年12月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1809

CA1661 – 公共図書館の多文化サービスを進めるために-情報ニーズ調査の必要性- / 平田泰子
カレントアウェアネス No.296 2008年6月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1661