学術論文における著者数の増加と著者の並び順をどうするか Dr. Aadの実在を疑う(記事紹介)

2015年8月10日付けの米Wall Street Journal紙の記事で、学術論文における共著者数の増加と、著者名表記に関わる問題について紹介されています。

この記事では冒頭で2015年5月に発表され話題となった著者数が5,000人を超える高エネルギー物理学分野の論文を取り上げた上で、学術論文において多くの著者を有する論文が増えている動向を、トムソン・ロイター社のデータに基づく分析を引きつつ紹介しています。また、研究者の評価が執筆した論文の数に基づいて行われがちであること、第一著者や最終著者など著者名が表記される位置によって評価の重みづけが変わる場合があるために多くの著者を有する場合の著者名の表記方法が問題になっていること等にも触れています。

冒頭で挙げられた5,000人以上の著者を有する論文では、著者名は姓名のアルファベット順で並べられており、第一著者はDr. Aad氏です。記事の末尾では”Aad”という姓がアルファベット順では高い頻度で筆頭に来るであろうことと、第一著者の評価が高くなりがちであることから、Aad氏は評価が不平等にならないように考え出された架空の人物なのではないか、と考える研究者までいることを紹介しています。記事ではAad氏本人にインタビューも行っていますが、本人も「あなたは実在しているの?」と聞かれるとコメントしています。

How Many Scientists Does It Take to Write a Paper? Apparently, Thousands(The Wall Street Journal、2015/8/10付け)
http://www.wsj.com/articles/how-many-scientists-does-it-take-to-write-a-paper-apparently-thousands-1439169200

参考:
Physical Review Letters誌に5,154人の著者による論文掲載 論文著者数の新記録樹立
Posted 2015年5月19日
http://current.ndl.go.jp/node/28498