ビブリオメトリクスの意識しすぎが論文の価値を損なっている(記事紹介)

Nature誌オンライン版に、2015年1月13日付けで、研究者がビブリオメトリクスに基づく評価指標を意識して論文の投稿先を選ぶことが、論文の有用性を損なっていることを批判する記事(”The focus on bibliometrics makes papers less useful”)が掲載されています。著者はドイツ・ハノーバー大学の理論物理教授、Reinhard Werner氏です。

Werner氏は研究者がインパクトファクター等が高い雑誌に論文を投稿するために、その雑誌の規定や読者層にあわせて論文を書こうとすることが、論文の読みやすさを損なったり、必要な情報を落とす等の悪影響をもたらしている、と指摘しています。具体例として、元来は短く速報的な論文を掲載するために創刊されたPhysical Review Lettersが高いインパクトを得たために、無理にでも短くして論文を投稿する例があることや、実験物理学者がインパクトの高いNatureで論文を発表するために、他分野の研究者でもわかるように専門用語の使用を控えたり、発見の意義を過度に強調した論文を書いていることが述べられています。

The focus on bibliometrics makes papers less useful(Nature、2015/1/13付け)
http://www.nature.com/news/the-focus-on-bibliometrics-makes-papers-less-useful-1.16706

参考:
計量書誌学的指標の「利用と誤用」:雑誌が特集
Posted 2008年8月14日
http://current.ndl.go.jp/node/8576

IEEE、学術出版物における計量書誌学的指標の適切な利用を呼びかける声明を発表
Posted 2013年11月21日
http://current.ndl.go.jp/node/24908