研究の世界で成功するために必要なのは、インパクトファクターの高い雑誌に、第一著者として多くの論文を発表すること?(記事紹介)

2014年6月2日付けのNature Newsで、イスラエル・Weizmann Institute of ScienceのDavid van Dijk氏、米ワシントン大学のOhad Manor氏、スペイン・Pompeu Fabra大学のLucas B. Carey氏がCurrent Biology誌で発表した論文” Publication metrics and success on the academic job market”が紹介されています。

Dijk氏らの研究では1996年から2000年の間に最初の論文発表を行った生命医学分野の研究者25,000名以上を対象に、その研究業績リスト等の情報から、機械学習の手法を用いてPI(Principle Investigator、研究室や研究グループの長)となる人物を予測するモデルを構築しました。調査対象者中、PIとなっていたのは6.2%のみでしたが、Dijk氏らの構築したモデルで83%の成功率でPIとなるか否かを予測できたといいます。

モデルの中で予測に大きく影響していたのは、研究者としての最初の8年間に発表した論文数とその掲載誌のインパクトファクターで、特に第一著者として多くの論文を発表していることが重要であった、とされています。個々の論文の被引用数よりも掲載誌のインパクトファクターの影響が大きく、またインパクトファクターの高い雑誌で論文を発表せずにPIとなった者もいたものの、その場合はPIとなっていなかった者の2倍の論文を第一著者として発表していた、としています。

Nature News Blogの記事中ではデータの制約等の限界なども指摘しつつ、雑誌のインパクトファクターがいまだに大きな影響力を持っていること等が示された、としています。

Computer model predicts academic success(Nature News & Comment、2014/6/2付け)
http://www.nature.com/news/computer-model-predicts-academic-success-1.15337

Publication metrics and success on the academic job market(Current Biology、2014/6/2号)
http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2014.04.039