第3章 文書館・行政情報センター・博物館 (3.8 資料コレクション、3.9 レファレンス、3.10 資料目録)

3.8 資料コレクション

 資料コレクションをいくつかにわけて、それぞれの所蔵、未所蔵を聞いている。ここでは、図書、行政刊行物、古文書・古記録、行政文書(公文書)の所蔵状況を示す。

図3-8
図3−8 図書資料の所蔵機関数(無回答を除く)

 図書に関しては、博物館の所蔵が多い。1万点以上のコレクションをもつ博物館が35館(66.0%)ある。公開の図書室を設置することもかなり一般的になっており、博物館が専門とする領域の図書を収集し、そのなかには地域資料も含まれている。文書館、行政情報センターも地域資料を含んで相当量の図書を収集している。

図3-9
図3−9 行政刊行物の所蔵機関数(無回答を除く)

 行政刊行物については、文書館および行政情報センターで積極的に収集している。1万点以上をもつ文書館が17機関(45.9%)、行政情報センターが20機関(42.6%)ある。

図3-10
図3−10 古文書・古記録の所蔵機関数(無回答を除く)

 古文書・古記録については、1万点以上の文書館が16館(43.2%)あり、10万点以上の文書館も9館(24.3%)あって、文書館の蓄積が大きい。また、博物館も1万点以上が9館(17.0%)、10万点以上も2館(3.8%)あり、一定量の蓄積があることがわかる。

図3-11
図3−11 行政文書(公文書)の所蔵機関数(無回答を除く)

 最後に、行政文書(公文書)は1万点以上を所蔵する文書館が30館(81.1%)あり、10万点以上を所蔵するところも4館(10.8%)になるなど、文書館での蓄積が圧倒的に多いことがわかる。

 以下、機関の種類ごとに所蔵資料について細かく見ておきたい。


3.8.1 文書館

 回答のあった37館のうち、所蔵している館数を以下示す。資料統計のカテゴリーの違いから回答のない館もあり、所蔵している館以外がすべて未所蔵というわけではない。

(1)印刷資料

 図書30館、雑誌21館、地図23館、新聞19館、行政刊行物33館、小冊子20館、ポスター16館、絵葉書10館、文書記録類の複製資料24館。

(2)視聴覚資料

 写真26館、マイクロフィルムなど32館、16mmフィルムなど12館、光ディスク18館、レコード6館、磁気テープ15館、磁気ディスク5館。

(3)原資料

 古文書・古記録26館、写本・古刊本12館、原稿・書簡・日記12館、行政文書(公文書)30館、美術品4館、実物・標本7館。

 37館のうち、半数以上の館(19館)が所蔵しているのは、印刷資料では、図書、雑誌、地図、新聞、行政刊行物、小冊子、文書記録類の複製資料。視聴覚資料では、写真、マイクロフィルムなど。原資料では、古文書・古記録、行政文書(公文書)である。

 このうち、図書、行政刊行物、マイクロフィルムなど、行政文書(公文書)は、8割をこえる館が収蔵している。やはりなんといっても、行政文書の原資料、行政刊行物、原資料を複写したマイクロフィルム、そして、地域に関する図書類が、多くの文書館の共通した資料コレクションといえる。そのどれもが、文書館のある自治体の資料であるから、まさに、文書館は地域資料の宝庫といえよう。

 公文書館法では、対象とする「公文書等」を、「国又は地方公共団体が保管する公文書その他の記録(現用のものを除く。)をいう。」と定めている(第2条)。行政文書(公文書)のほかの「その他の記録」とは、古文書からはじまってテープ、フィルム、磁気媒体まで、すべてが含まれることになる、そのうちの何を保存し閲覧に供するかは、それぞれの館の判断によることになる。このアンケートで、文書館の収蔵する資料コレクションが多種にわたっているのは、そのためである。


3.8.2 行政情報センター

 回答のあった47機関のうち、所蔵している機関と未所蔵の機関数を以下示す。「/」の左が所蔵館数、右が未所蔵館数である。

(1)印刷資料

 図書26/14、雑誌16/19、地図19/19、新聞18/19、行政刊行物42/1、小冊子22/16、ポスター6/30、絵葉書2/33、文書記録類の複製資料7/28。

(2)視聴覚資料

 写真3/32、マイクロフィルムなど2/33、16mmフィルムなど1/34、光ディスク19/17、レコード1/34、磁気テープ27/12、磁気ディスク5/29。

(3)原資料

 古文書・古記録1/32、写本・古刊本0/33、原稿・書簡・日記0/34、行政文書(公文書)7/28、美術品1/34、実物・標本0/34。

 所蔵機関が未所蔵機関より多い資料は、印刷資料の図書、行政刊行物、小冊子、光ディスク、磁気テープだけである。比較的多いのが雑誌、新聞、地図であった。

 行政文書(公文書)をもつのが7機関ということは、この種の機関は情報公開について窓口機能を果たしているだけで、ここに文書・記録資料をおいているわけではないことを示している。行政情報センターは所蔵資料として行政刊行物を中心にして図書、小冊子などの印刷物や磁気テープや光ディスクなどのデジタルメディアによってサービスを行っている。


3.8.3 博物館

 回答のあった53館のうち、所蔵している館数を以下示す。回答のない館もあり、所蔵している館以外がすべて未所蔵というわけではない。

(1)印刷資料

 図書47館、雑誌38館、地図27館、新聞21館、行政刊行物25館、小冊子31館、ポスター24館、絵葉書19館、文書記録類の複製資料19館。

(2)視聴覚資料

 写真34館、マイクロフィルムなど23館、16mmフィルムなど16館、光ディスク29館、レコード16館、磁気テープ27館、磁気ディスク7館。

(3)原資料

 古文書・古記録32館、写本・古刊本30館、原稿・書簡・日記30館、行政文書(公文書)6館、美術品33館、実物・標本42館。

 53館のうち、半数以上の館(27館)が所蔵しているのは、印刷資料では、図書、雑誌、地図、小冊子。視聴覚資料では、写真、光ディスク、磁気テープ。原資料では、古文書・古記録、写本・古刊本、原稿・書簡・日記、美術品、実物・標本。

 地域資料としての原資料の所蔵がやはり多くなっているが、行政文書(公文書)を所蔵する館は少ない(11.3%)。博物館の機能には、それぞれの自治体の行政文書が、移管されたり保存されたりする管理体制(システム)が、もともとないためである。その機能を担うのが文書館であるが、自治体の博物館とくらべて文書館を設置する自治体はきわめて少ない。未設置の県もあるし、市町村にいたっては文書館のある自治体のほうが希なのである。

 そうした状況の中で、地域資料を、どこにどのように収集し、保存し、整理し、住民の利用(閲覧等)に供していくか、博物館、文書館、そして図書館の役割分担、棲み分けが課題となってくるように思う。


3.9 レファレンス

 資料に関わる質問への回答業務として、レファレンスの実施の有無と2005年度の件数を聞いた。件数については、図書館と同様に統計基準がはっきりしていないので参考までのものである。

図3-12
図3−12 レファレンスの実施率

図3-13
図3−13 レファレンスの件数(無回答を除く)


3.9.1 文書館

 37館中34館が実施しており、実施していないのは3館であった。件数としては1,000件以下の館がほとんどである。


3.9.2 行政情報センター

 47機関中14機関が実施しており、実施していないのは27機関であった。全体の3割程度しか実施されていない。ただし、実施しているとする機関のなかには、1,000件以上が9、10,000件以上が2といずれも件数として多いところが含まれていた。


3.9.3 博物館

 53館中49館が実施しており、実施していないのは4館であった。文書館と同様に1,000件以下の館がほとんどである。


3.10 資料目録

 資料目録の作成の有無、目録の仕様(データベース、冊子・カード、非公開)を聞いている。


3.10.1 文書館

印刷資料

 図書については、文書館37館のうち、公開している館は少ない。インターネット公開が10館、館内公開が13館、冊子(カード)公開が16館である。雑誌はさらに少なく、インターネット6、館内10、冊子が10館である。地図は、インターネット7、館内9、冊子が11館。新聞は、インターネット4、館内8、冊子が7館。行政刊行物は、インターネット10、館内12、冊子が18館。小冊子、ポスター、絵葉書の目録作成と公開をしている館も少ない。文書・記録類の複製資料をみると、インターネット公開が10館、館内公開が6館、冊子(カード)公開が16館である。これも少ないほうである。

視聴覚資料

 回答をえた文書館37館のうち、視聴覚資料の目録作成と公開しているのは、どの資料についても少ない。10館以上がおこなっているのは、写真資料の館内での公開10館、マイクロフィルムなどの目録作成を行い冊子(カード)で公開しているのが13館、作成しているが公開していない館が13館のみである。

 作成していない館のほうが多く、16mmフィルムなど14館、光ディスク11館、レコード13館、磁気テープ13館、磁気ディスク13館が、作成していないと答えている。もともと収蔵数の少ない地域資料であり、住民からのニーズもまた少ないものと考えられる。

原資料

 写本・古刊本、原稿・書簡・日記、美術品、実物・標本については、目録の作成と公開をしている館はわずかである。作成していない館の方が多い。

 作成・公開の多いのが、古文書・古記録と行政文書(公文書)である。古文書・古記録では、37館のうち、インターネット公開が11館、館内公開が11館、作成しているが非公開が2館、作成していないが2館、無回答が8館となっているが、冊子(カード)を作成しての公開が19館(51.4%)ある。それだけ、利用が多いともいえる。

 また、行政文書(公文書)については、37館のうち、インターネット公開が12館、館内での公開が16館、作成しているが非公開が7館、無回答が3館となっているが、冊子(カード)を作成しての公開が20館(54.1%)ある。

 これらの結果から、原資料のうち、地域資料としての行政文書(公文書)と私文書(古文書類)の収蔵が多く、それらを目録化して利用に供そうとしている文書館のすがたをうかがい知ることができよう。


3.10.2 行政情報センター

 図書の目録については、47機関のうち、無回答の13機関を除く34機関のうち、インターネット公開が17機関と半数を占め、冊子(カード)公開も5機関あった。行政刊行物についても、インターネット公開29機関、冊子(カード)公開が12機関、作成しているが公開していないが5機関で、作成していないのが6機関と、目録作成して公開しているところが多かった。数値は挙げないが、ほかの資料の目録作成はほとんど行われていない。


3.10.3 博物館

印刷資料

 図書については、博物館53館のうち、公開している館はそれほど多くはない。インターネット公開、館内公開がそれぞれ15館、冊子(カード)公開が6館のみある。作成してはいるが非公開が21館ある。作成していない館の方が多く、地図で17館、新聞で18館、小冊子で17館、ポスターで17館、絵葉書で15館、文書・記録類の複製資料で18館が作成していない。

視聴覚資料

 回答をえた博物館53館のうち、視聴覚資料の目録を作成して公開しているのは、どの資料についても少ない。3割をこえているのが、写真資料の目録作成で非公開の16館(30.2%)である。作成していない館が、マイクロフィルムなどが19館(35.8%)、16mmフィルムなどが14館(26.4%)、光ディスク15館(28.3%)、レコード17館(32.1%)、磁気テープ16館(30.2%)、磁気ディスク18館(34.0%)となっている。無回答が半数近いなかでの数である。

原資料

 古文書・古記録、写本・古刊本、原稿・書簡・日記、美術品については、回答をよせた53館のうち、インターネットでの公開、館内での公開、冊子(カード)のいずれかでの公開は、古文書・古記録が23館、写本・古刊本が18館、原稿・書簡・日記が20館、美術品が28館であった。これらの原資料の目録を「作成しているが公開していない」のは14、5館(26.4〜28.3%)であった。目録を作成して公開している館のほうが多くなっている。作成していない館も8、9館あった。

 行政文書(公文書)については、目録を作成しているのは12館(22.6%)にすぎない。そのうち非公開は4館である。作成していないのは13館(24.5%)である。無回答が32館(60.4%)あるが、所蔵していない館である。

 実物・標本については、目録を作成しているのは、42館(79.2%)で、ほとんどの館が行っている。そのうち公開しているのが約半数の20館である。館内の収蔵資料の把握のためと、展示等に供するための目録作成が主であり、住民への公開を前提にしたものではないという側面もうかがえよう。