第3章 文書館・行政情報センター・博物館 (3.1 調査対象、3.2 機能、3.3 管理形態)

第3章 文書館・行政情報センター・博物館


3.1 調査対象

3.1.1 文書館

 文書館(公文書館)は、図書館機能を兼ねている京都府立総合資料館、奈良県立図書情報館、福岡市総合図書館をのぞく46館にアンケートを送付した。37館から回答があった(回収率80.4%)。これらは、都道府県の文書館、政令指定都市の文書館、市町の文書館が含まれている。なお、館の名称については、公文書館、文書館、記録資料館(岡山県)、資料館(埼玉県八潮市)、地域研究史料館(尼崎市)など、さまざまである。また、文書館を「ぶんしょかん」と呼ぶ館と「もんじょかん」と呼ぶ館がある。

 文書館が設置された年代を見ると、1944年以前が1、1969年までが1、1970年代、80年代が15、1990年以降が20となっている。とくに1987年に「公文書館法」が公布された前後からの設置が多くなっている。


3.1.2 行政情報センター

 行政情報センターは、都道府県および政令市が行政情報および行政資料を住民に提供するために設置している60機関(公文書館がその機能を果たしている広島市、北九州市を除く)を選んで質問票を送付した。内訳は、都道府県47、政令市13である。そのうち、都道府県36、政令市11の計47機関から回答を得た。回収率は78.3%である。

 こうした機関に付けられた名称としては、県(府、市)政情報センターがもっとも多いが、ほかに県民情報センター、行政情報センター、県政情報資料室、など多様な名称が用いられている。図式化すると、{県(都・府・市)政/県(都・府・市)民/行政}+{情報/資料/刊行物}+{センター/プラザ/室(ルーム)/コーナー}の組み合わせによるのが一般的である。

 設置年を見ると、1969年までが2、1970年代〜80年代までが19、1990年以降が25ということで、1980年代中ごろ以降に設置されたものが多い。これは地方公共団体において情報公開条例がつくられ、行政情報の公開についての意識が高まった時期と対応している。


3.1.3 博物館

 博物館は、都道府県立・政令指定都市立の博物館(総合・郷土・歴史)89館のうち、文書館と重複する福島県歴史資料館、東京都公文書館、名古屋市市政資料館の3館をのぞく86館にアンケートを送付した。そのうち53館から回答があった(回収率61.6%)。

 博物館法は1951年に公布・施行されているので、その頃から設置されているが、文化行政の振興が言われた1970年代以後設置されたものが大半であった。

図3-1
図3−1 機関の設置年代


3.2 機能

 それぞれの機関が有している機能と、そのなかで中心的な機能と位置付けているものを聞いた。ここでは有している機能を一覧している。

図3-2
図3−2 有している機能(複数回答可)

表3−1 有している機能(上段% 下段実数 複数回答可)
表3-1


3.2.1 文書館

 37館のうち、公文書の保存利用の機能を有している館が36、私文書の保存利用の機能を有している館が33で、公文書と私文書の両方を有している館がほとんどである。公文書とは、それぞれの自治体の行政文書であり、私文書は、個人所蔵の古文書などである。私文書の場合は、寄贈と寄託などによって館に収蔵された地域資料である。

 実物、標本等の資料の収集・保管・展示の機能をもった館は11館で、全体の3割にみたない。文書館のもつ機能としては、付随的なものとされていることを示している。

 図書や雑誌等の資料の収集・保存・提供の機能を有している館は29館で、各自治体に関係した図書類が多いことが推測される。

 行政刊行物の収集・提供の機能は35館が有している。これもまた文書館の主要な業務のひとつであることを示している。

 資料に関する調査研究を行う機能も35館が有している。公文書館法では、「歴史資料として重要な公文書等を保存し、閲覧に供するとともに、これに関連する調査研究を行うことを目的とする施設」(第4条)と定めており、調査研究の機能を位置付けている。

 資料を利用しての教育・学習支援をしているのは28館であった。

 情報公開条例のもとでの行政文書の開示請求に対応する機能のあるのは10館にとどまる。情報公開の窓口として文書館を設置した自治体もあるが、多くは、こうした機能を有していないことがわかる。

 中心的な機能としての問いには、公文書の保存利用が34館、行政刊行物の収集・提供が18館、私文書の保存利用が17館、資料に関する調査研究が13館であった。このことから、ほとんどの文書館が、公文書の保存と利用に供する機能を中心としていることがうかがえる。


3.2.2 行政情報センター

 有している機能については、行政刊行物を収集・提供する機能を挙げているところが45機関(95.7%)で、続いて情報公開条例のもとで行政文書の開示請求に対応する機能を挙げているところが36機関(76.6%)、図書や雑誌等の資料の収集保存提供を行う機能を挙げているところが24機関(51.1%)となっている。ほかの機能を挙げている機関は、公文書を保存し利用に供する機能が8機関(17%)などきわめて少ない。

 中心的な機能については行政刊行物を収集・提供する機能が42機関(89.4%)、行政文書の開示請求への対応が23機関(48.9%)であった。その他、図書・雑誌等の資料収集・保存・提供が3機関、公文書の保存・利用の機能と私文書の保存・利用の機能が各1(同一機関)ときわめて少なかった。

 以上のことから、こうした機関の主たる機能は行政刊行物を収集・提供する機能であるが、さらに約半数の機関が行政文書の開示請求への窓口機能をもっている。それ以外の機能は付加的であるといえる。


3.2.3 博物館

 有している機能については、調査対象53館のうち、実物、標本等の資料の収集・保管・展示(47館、88.7%)、図書や雑誌等の資料の収集・保管・展示(43館、81.1%)、資料に関する調査研究(49館、92.5%)、資料を利用しての教育・学習支援(49館、92.5%)という回答であった。

 その一方で、公文書の保存利用の機能を有している館が12館(22.6%)、私文書の保存利用が18館(34.0%)で、文書館のこの機能にくらべるとかなり少なくなっている。とくに、公文書については、単なる保管場所のひとつになっている館も多い。公文書・私文書もふくめて、保存はするが、住民の閲覧利用に関してはかなり限定されている。

 行政刊行物の収集・提供が20館(37.7%)、情報公開条例のもとでの行政文書の開示請求が16館(30.2%)で、これらの機能を有していると回答した博物館は少ない。最後の点については博物館が直接窓口になるのではなく、おそらくは過去に博物館関係の情報公開請求があったと理解しての回答ではないかと思われる。

 中心的機能に対しての問いには、実物、標本等の資料の収集・保管・展示機能を44館(83.0%)、資料に関する調査研究を37館(69.8%)、資料を利用しての教育学習支援をおこなう機能を27館(50.9%)があげている。博物館の中心的な機能は、これらの3点に集約されよう。


3.3 管理形態

 根幹的業務(1の中心的機能に関する業務)と非根幹的業務(それ以外の補助的業務や施設管理など)に分けたときに、それぞれはどの形態で運営されているかを聞いた。選択肢としては、「自治体直営」「指定管理者(営利法人)」「指定管理者(非営利法人)」「PFI」「その他」が用意されている。このうち「指定管理者(営利法人)」「PFI」を選択した機関は1つもなかった。

図3-3
図3−3 根幹業務の管理形態


3.3.1 文書館

 根幹的業務を自治体直営でしている館が36館、非根幹的業務も自治体直営でしている館が35館である。

 根幹的業務で、指定管理者(非営利法人)が1館、その他が1館、非根幹的業務では、指定管理者(非営利法人)1館、PFI1館、その他7館であった。


3.3.2 行政情報センター

 根幹的業務では、47機関のうち自治体直営が44機関(93.6%)、 指定管理者(非営利法人)が1機関、その他2機関であった。非根幹的業務についても自治体直営が41機関で87.2%ということである。この種の機関は自治体直営が圧倒的に多いことがわかる。


3.3.3 博物館

 根幹的業務では、53館のうち自治体直営が41館(77.4%)、 指定管理者(非営利法人)が13館(24.5%)、非根幹的業務では、自治体直営が36館(67.9%)、指定管理者(非営利法人)が14館(26.4%)、その他2館であった。

 業務を指定管理者(非営利法人)によって運営されている博物館が4分の1ほどあった。今後の動向が気にかかるところである。