第2章 図書館 (2.4 資料整理、2.5 地域資料の利用)

2.4 資料整理

2.4.1 地域資料の図書分類

図2-18
図2−18 地域資料の図書分類

 地域資料の図書分類について尋ねたものであるが、「主題区分してから地理区分する」と回答した図書館が28.2%で一番多く、次に「NDCを用いて区分する」が22.7%で2番目に多かった。以下は「当該自治体とそれ以外の資料を分けて主題区分」が17.6%「地理区分してから主題区分する」が13.7%と続く。その他は16.7%である。

 館種別にみると都道府県立や政令指定都市立では58.8〜60%が主題区分後地理区分し、町村立の43.9%がNDCで区分している。これらは所管する地域が大きくなるに従い地理区分の分類数が多くなることが影響していると思われる。都道府県立図書館でも地理区分をしない図書館が数館みられたがこれらでも一部の資料に関しては、実際上の地理区分に相当する保管体制を取っている可能性がある。

 

2.4.2 地域資料の書誌データ作成の担当者資格と勤務年数

 地域資料の書誌データ作成の担当者資格と勤務年数を尋ねた。正職員で司書資格ありが65.3%でもっとも多かった。次に嘱託・臨時職員の19.6%となっている。 派遣職員等が担当している図書館は、0.4%で現状ではまだ少ない。

 司書資格をもっていて比較的勤務歴が長い正規職員がこうしたデータ作成を支えている。これが図書館員の専門的な能力が要求される業務であると、各図書館で認識されていることがうかがわれる。

 特に都道府県立図書館では78.4%の図書館が正職員で司書資格有りの職員が担当しており、一定数以上の地域資料について、常時データ化する業務があることを示している。他の図書館では20%から30%の間で嘱託・臨時職員がこれらの業務を担当している。

表2−18 地域資料のデータ入力職員の種類と勤務年数(実数)
表2-18

 

2.4.3 データ入力している資料の種類

表2−19 データ入力している資料の種類(1)(%)
表2-19

 図書館業務システムにデータを入力している資料の種類について尋ねている。 当然ながら「図書」については96.1%の図書館がデータ化を行っている。都道府県立と政令指定都市立では100%であるが、いくつかの市町村立図書館で「図書」を対象としていないと回答している。これは図書館システムを導入していないと考えるべきであろうか。「雑誌」については、75.3%がデータ化している。都道府県立の92.2% から町村図書館の71.2%まで図書館規模に応じてデータ化率が低下している。他の対象資料と比較すればこれでも高率であるが、資料の重要度、活用度等から考えれば、図書資料に近い程度までデータ化が必要となると思われる。

 「地図資料」については、57.6%の図書館がデータ化しており特に政令指定都市と特別区では100%となっている。どこまでの範囲を地図資料とし、どのレベルまでデータ化しているかはこのアンケート結果からは読み取ることができないが、他の資料と比較すると高率である。「新聞資料」については、20.6%の図書館がデータ化しており低率である。ただし都道府県立、政令指定都市立ではそれぞれ76.5%、60%と高率であるのに比べ、町村立図書館は6.1%と大きな差がある。これは収集している新聞数が影響していると考えられる。「コミュニティ誌」についても同様の傾向が見られ、全体では23.1%がデータ化しているが、都道府県立で68.6%、町村立では7.6%となる。「新聞切り抜き」については全体で13.1%であるが、町村立が3%と少し低いほか、館種は差が少ない。大規模な図書館においても、切り抜き数が多いことが阻害要因となっているのかもしれない。

 「新聞折込広告」は0.2%と低率であるが、収集している図書館はあるので、今後活用や登録フォーマットについて検証が進むとデータ化する図書館も現れてくる可能性がある。「小冊子」は37.8%で大規模図書館ほどデータ化している。逆に「点字資料」は22.7%で館種の差は少ない。

表2−20 データ入力している資料の種類(2)(%)
表2-20

 「ポスター」については、2%と少なく、館種の差もないが、収集対象としている図書館が少ないことも影響している。「写真」については、9.4%、「絵葉書」については、15.1%で双方とも大規模館ほどデータ化されている。

表2−21 データ入力している資料の種類(3)(%)
表2-21

 「古文書・古記録」、「写本・古刊本」については、全体では低率であるが、都道府県立図書館や政令指定都市図書館では50%前後の入力と多い。「美術品」、「博物資料」は全体的に少ない。「レファレンス関係情報」、「レファレンス事例」については、都道府県立や政令指定都市で40%前後と多くなる。

 

2.4.4 データ作成時のマーク利用

図2-19
図2−19 データ作成時のマーク利用

 データ作成時に独自作成かマーク利用及び他図書館データを流用しているかを尋ねてい る。最も多かったのが2の「一部は独自作成し一部はマーク及び他館データの流用」で55.5%、次に1の「ほぼ独自作成」となっている。「ほとんどはマークや他館流用」と答えた図書館も6.7%あった。館種別にみる都道府県立図書館で「独自作成」が若干多くなる程度で特に大きな差は見られない。

 

2.4.5 図書館システムでの検索

図2-20
図2−20 地域資料の検索

 図書館システムで地域資料だけを他の資料から区別して検索することができるかを尋ねている。この質問は、公立図書館が地域資料についての書誌情報源として重要であるとの認識から、図書館システムでそうした情報のみを独自に取り出して検索できるかどうかを聞いたものである。

 「業務用端末で地域資料を検索可能」とした図書館が半数近くと最も多く、「館内OPACで検索可能」は22.9%である。そのなかでインターネットを通じて検索可能なのは14.5%であった。つまり、地域資料の検索システムとしてみた場合外部からは使えない状況が明らかになった。

 現在の図書館システムでは、この機能要件は、ほぼ可能な状況であることから、館内OPACが存在しないのか、あえて一般資料と区分しないで検索させているのかどちらかであると考えられる。都道府県立図書館と政令指定都市図書館でそれぞれ9館と6館存在したのは、アンケート前の予想を越えていた。「地域資料はデータ入力しない」とした図書館が、都道府県立図書館で1館、市町村立図書館で8館あった。

 

2.4.6 地域資料データへの件名付与

表2−22 件名付与の割合(%)
表2-22

 地域資料データに対しての件名付与について尋ねたものであるが、館種により差が見られた。大規模図書館では、「BSH準拠」が最も多く、小規模の図書館では「件名なし」が多い傾向が見られた。「独自件名」は特別区立図書館で多く採用されている。他の館種の図書館でも20%前後が採用されている。「件名なし」と回答した図書館は町村立で50%を越えているが、他の図書館では50%を下回っており、全体でも42.9%で低率である。しかし、件名付与の作業は専門性が必要とされると思われるので、比較的健闘していると言えるのではないか。

 

2.5 地域資料の利用

2.5.1 貸出冊数、レファレンスの受付件数

 設問では、全体及び地域資料についてそれぞれ貸出冊数、レファレンスの受付件数を尋ねている。

表2−23 地域資料の貸出冊数(無回答を除く)(%)
表2-23

 地域資料の貸出統計が無い図書館が46%程度あった。貸出冊数も1冊から89,000冊と大変幅がある。あくまでも報告があった図書館に限られるが、規模が大きくなれば貸出が増える傾向がある。また、設立が古い図書館のほうが新しい図書館よりもやや貸出が多い。

 レファレンスサービス件数については、統計をとっている図書館が少ないし、レファレンスサービスの定義が共有されていないという問題もある。地域資料関係のレファレンス統計を報告してくれた図書館は全体の44%であった。このデータによれば件数は少ないが貸出と同じ傾向を認めることができる。

表2−24 地域関係のレファレンス件数(無回答を除く)(%)
表2-24

 

2.5.2 地域資料の貸出

図2-21
図2−21 地域資料の貸出

 地域資料の貸出について尋ねたものであるが、58%の図書館が「禁帯出以外の図書は、書庫開架を問わず貸出」している。次に「書庫は貸出禁止」が21%であった。「すべてを貸出としている図書館」が県立図書館2館を始めとして、22館あった。館種による差は、市立図書館で「書庫の資料を貸出禁止」としている図書館が比較的多い。書庫と開架の蔵書比率は問うていないため、これらの書庫資料を貸出禁止としている図書館は、開架比率が多い可能性もある。

 

2.5.3 地域資料のPR

表2−25 地域資料関係のPRの方法(%)
表2-25

 地域資料のPRについて尋ねたものであるが、「特にPRしていない」と回答した図書館が最も多く50.6%と高率であった。ただし、この設問ではどのレベルまで広報しているかは問うていないため、「PRしていない」と回答した図書館でも、地域資料の部分的なPRは行っている可能性がある。PRしている図書館では、HP、パンフ、館報が多い。「自治体の広報誌を利用している」図書館は市立図書館に多い。「独自広報誌」は都道府県立が7館と多く、また、「メルマガ」は技術的な部分と継続性の維持のための作業量からハードルが高いようで実施のすべてが都道府県立図書館であった。

 創立年による違いはあまり認められなかった。

 

2.5.4 地域資料に関連した事業企画

表2−26 地域資料に関連した事業企画(%)
表2-26

 地域資料に関連した事業企画について尋ねたものであるが、「展示会の開催」が最も多く142館、29%あった。次に「地域関係作家の展示」で94館、19.2%となる。「古文書の解読会」も61館、12.4%と比較的多い。これらは、従来の図書館活動の中で、継続して行われてきたと思われる。「児童向けの企画」は10館、2%と少なく、児童向けの地域資料が少ないことにも起因していると考えられる。一方ビジネス支援や行政支援等は、未だ少ない。しかし、近年のビジネス支援サービスの進展もあることと、図書館によっては文部科学省等の補助金を使ったセミナーを開催しているところもあるため、28館、4.9%の図書館が実施している。

 

2.5.5 外部機関からの協力依頼

表2−27 外部機関による地域資料に関する協力依頼(%)
表2-27

 外部機関による地域資料の協力依頼であるが、いずれも都道府県、政令都市の図書館に依頼が多く規模が小さくなるとそれが減少する傾向は同じである。また、設立が古い図書館に対する依頼が圧倒的に多いことも指摘できる。全国で1年間に90館の資料がテレビや映画で利用され、100館を超す図書館の資料が出版物に掲載されているということも特筆すべきことであろう。