3. 平成16年度 調査報告 3.5. コピープロテクト、メタデータ

3.5.コピープロテクト、メタデータ

 調査を通して判明したコピープロテクトの使用状況とメタデータの作成について報告する。


3.5.1.コピープロテクト

 平成16年度の調査においては、コピープロテクトの調査自体は主な目的ではないが、コピープロテクトが問題となったこともあった。


(1) コピーそのものを防止するタイプ
 コピー自体を防止するタイプのコピープロテクトのためにマイグレーション作業が終了しないものが2件(49)あった。
【概要】
・種類名 :SafeDisc V1
・手法 :意図的にエラーデータを記録し、読み取り時にエラーを発生させることでコピーを困難にする技術(50)
【対処法】
 本技術の導入当初に比べてドライブの読み取り精度が向上しているため、現在では流通しているCD-R/RW対応のドライブのほぼ全てで読み出しが可能であるといわれている(51)
 しかし、その所要時間は使用するドライブによって差が大きく、長時間に及ぶ場合もあるという。


(2) ユーザの認証を行うもの
 正当なユーザであることを示す情報を入力しない限り利用できないものがあった。
【概要】
 インストール時にシリアル番号を入力しなくてはならないものと、実行時にユーザIDを入力しなくてはならないものがあった。
【対処法】
 電子資料に付随する取扱説明書から該当する情報を入手することによって、インストールおよび再生が可能となった。


 調査でコピープロテクトが判明した資料はわずか4点であったが、実際にはより多くの電子資料にコピープロテクトが施されていた可能性がある。国立国会図書館が将来大規模なマイグレーションを行う場合に起こる可能性のある問題を知るためには、コピープロテクトについても充分に調査を行う必要があるといえる。

 この調査では平成11年度以前に受け入れた電子資料を対象として調査したが、コピープロテクトが長期保存に及ぼす影響を調査するためには、コピープロテクト技術の進歩と多様化を踏まえ、平成11年度以降に受け入れた電子資料も対象としたコピープロテクトについての調査が必要であると思われる。


3.5.2.メタデータ

 国立国会図書館における現在の電子資料の管理方法では、媒体と取扱説明書、マニュアルは、パッケージに同梱されており再生するために必要なOS、CPU能力、メモリサイズなどの情報は容易に取得できる。しかし、長期的な保存のためにハードディスクへマイグレーションすると、これらの情報から切り離されてしまうことになる。したがって、マイグレーションする場合は、再生するために必要なメタデータもともに記録し、保存対象の情報との関連も維持する必要がある。


(1)メタデータの作成

 マイグレーション時に作成したメタデータ項目は次のものである。


表3.5-1 メタデータ項目一覧
表3.5-1 メタデータ項目一覧


 メタデータを作成するために掛かった時間は電子資料1点あたり約7分(52)であった。


(2)再生確認時に必要な情報

 上記メタデータが再生確認作業に必要な情報の全てと考えていたが、シリアル番号やユーザIDが必要な電子資料や、追補版であったために本体版を必要とする電子資料があった。

(1) シリアル番号
 インストール時にシリアル番号の入力が必須である電子資料が存在した。

(2) ユーザID
 インストールはできたが、起動時にユーザIDを入力しないと起動できない電子資料が存在した。

(3) 追補版電子資料
 インストールは正常に終了するが、起動時に本体版が必要である旨のエラーメッセージが表示された。


(3)長期保存と利用のためのメタデータ

 メタデータは、電子資料に付随する取扱説明書、マニュアルなどから作成したが、そこに記されている情報の内容、記述形式は多様であった。

 シリアル番号やユーザIDなども利用のためには必要な情報であるが、あくまでサンプル調査で判明したにすぎない。調査では、同梱されている紙媒体の資料を参照しつつ電子媒体を再生するように作成されている電子資料もあった。実際にインストールを行い、起動し、利用しない限り、必要性が判明しない情報も存在すると思われる。パッケージや、そこに同梱されているものに記載されている情報全てをメタデータとして扱い、記述することは難しい(53)

 ハードウェアの動作環境に関する記述には、ハードウェア環境の飛躍的な能力向上によって現在では意味をなさない記述(54)も多数あった。電子資料の取扱説明書に記載されているのは電子資料が作成された時点での動作環境にすぎないため、長期的な利用を可能にするためのメタデータとしてそのまま使うことは適切ではない。動作環境についての記述は、必要不可欠の技術要素(OS、CPU、アプリケーション・ソフトウェアなど)とその最低基準(CDドライブ速度、必要メモリサイズなど)を記すものがあるが、所属する技術の系統(例えば、x86系のCPUであることなど)などの情報も扱う必要があると思われる。

 長期保存と利用のためには、パッケージなどに記されている動作環境などの記述の多様性を踏まえ、利用のために必要なその他の情報の扱いを検討し、必要なメタデータ要素とその記述内容、さらにはパッケージ系電子出版物の何を元にそれらを記述するのかといった記述規則についても定める必要がある。




(49) 状況としては1時間たっても終了せず、更にマイグレーションプログラムの予測終了時間が10時間近い表示となったため処理を中断した。そのCDについてコピープロテクトの種類を調べるプログラムを用いて調査したところコピープロテクトが施されていることが判明した。

(50) 同様なコピー自体を防止する手法に、SecuRom:特殊なデータ領域を使用する方式、RingPROTECH:年輪のようなエラーセクタ埋め込む方式、alpha-ROM:順読みではコピー不可能な重複セクタ方式などがある。

(51) CD革命/Virtual Ver.8.0〜Ver.8.5特殊プロテクト調査報告

(52)(http://www1.ark-info-sys.co.jp/protectrepo/index.html)を参考にした。

(53) メタデータの作成作業はマイグレーション作業と並行して実施した。よって、総作業時間=3,960分から、(1)CD付替えなどに要した時間=1,068分、(2)コピープロテクトによる待ち時間=120分、(3)マイグレーション終了待ち時間=60分、(4)その他(資料返却など)=400分、を減算して求めた。

(54) したがって電子媒体に記録されたビット列とメタデータだけで利用提供を行うことは困難である。パッケージおよび同梱されている紙媒体の資料を一緒に利用提供する必要がある。

(55) CD-ROMドライブ速度が2倍速以上であることなど。