2. 平成15年度 調査報告 2.4. 利用不可原因の詳細分析

2.4.利用不可原因の詳細分析

(1)OS不適合が利用不可原因であるもの

 利用不可原因の最大部分を占めるのがOS不適合であるが、これが原因と考えられるさまざまな現象が発生している。

・ インストール中に無応答

・ インストール失敗

・ 表示色の異常

・ アプリケーション・ソフトウェアの起動不可

・ アプリケーション・ソフトウェアの異常終了


 電子資料を再生する場合、機器と再生用のアプリケーション・ソフトウェア(その電子資料自体が再生対象のアプリケーション・ソフトウェアであることも多い)を必要とするが、通常、アプリケーション・ソフトウェアは特定OSでのみ動作する。OSはいくつもの種類があり、それぞれ多くのバージョンが開発され、衰退してしまったOSも少なからず存在する。新しいバージョンのOSの登場にともない、新しいバージョンのアプリケーション・ソフトウェアも続々と登場する。

 OS不適合が原因で利用不可となる電子資料は、新規OSやOSの最新バージョンの登場と共に急増することが予想される。


(2)アプリケーション・ソフトウェア関連が利用不可原因であるもの


図2.4-1 アプリケーション・ソフトウェア関連利用不可原因内訳(点数)
図2.4-1 アプリケーション・ソフトウェア関連利用不可原因内訳(点数)


 利用不可原因がアプリケーション・ソフトウェア関連であるものは全41件であるが、その大半は電子書籍(9)再生用のアプリケーション・ソフトウェアを必要とするもの(全26件)である。

 電子書籍再生用アプリケーション・ソフトウェアは有償、無償のものがいくつか存在し、その入手も比較的容易(Webでダウンロード可能なものもある)であることを確認した。しかし、再生用アプリケーション・ソフトウェアによっては再生が可能となる場合、不可能となる場合があり、ここでは再生不可扱いとした。

 PDF(10)は長期保存のための記録形式として推奨されることもあるが、利用不可となったものが6点あった。原因はすでに述べているように、最新のAcrobatReaderと媒体に同梱されたプラグインの不適合によるものである。

 その他としたものは、特定の、ワープロソフト、データベースソフト、表計算ソフト、特殊なアプリケーション・ソフトウェア、かな漢字変換ソフトウェアを必要としている電子資料である。これら再生用アプリケーション・ソフトウェアは必ずしも入手困難なものではないが、現時点で主流のアプリケーション・ソフトウェアではなく、またそのアプリケーション・ソフトウェアの旧バージョンを前提に作成されていることから、利用不可扱いとしている。


(3)記録媒体の利用不可原因内訳


図2.4-2 記録媒体の利用不可原因内訳(点数)
図2.4-2 記録媒体の利用不可原因内訳(点数)


 記録媒体が利用不可原因となったものは調査対象資料中17点であった。その大半(11点)が5"FDであり、対応ドライブを用意できないために読み取りができなかった。

 ドライブが対応しているはずの3.5"FDとCD-ROMについても読み取れないものが6点(3.5"FD:4点、CD-ROM:2点)あった。3.5"FDの場合は、記録されている情報の一部(または全部)が消失してしまったために読み取りができなかったと思われる。CD-ROMの場合は、平成6年度に受け入れた国内刊行の電子資料であり、媒体の劣化や特殊な記録形式が原因となったとは考え難い。同時期に同じ出版者により刊行された資料であるため、製造当初より媒体そのものに問題があった可能性を十分考慮する必要があり、したがって、資料受入時の動作確認が必要である。


(4)その他

 すでに述べたように、インストールやセットアップに必要なFDなどが同梱されていない、再生環境を特定できないなど、資料受入時に行うべき、必要媒体の確認や再生環境を詳細に記述するメタデータの作成が十分でなかったために再生できなかったものがある。これらは利用不可原因の約1割を占める。

 最新の目録では、パッケージ記載の情報を元にほぼ十分な再生環境の記述がされているが、パッケージに十分な記述がない場合は目録の記述も不十分となってしまう。

 また再生環境の記述は、その当時の技術についての常識をもとに作成される。したがって、大幅な技術変化(例えば、内部メモリがKBのオーダーから、現在ではGBのオーダーになり、今やFDを見る機会もまれである。)により常識が変わってしまうと、再生環境の記述が正しく理解されない可能性もある。




(9) 電子ブックやEPWINGフォーマットで記録されている電子辞書。

(10) Portable Document Format。電子文書のためのフォーマットであり、テキスト情報だけでなく、レイアウト情報、画像情報を含めることができる。Adobe Systems社によって開発された。