2. 学術雑誌の全国的な配置状況(2.6-2.11) / 歳森 敦

2. 学術雑誌の全国的な配置状況(2.6-2.11)

2.6 電子ジャーナル導入とコンソーシアム

2.6.1 コンソーシアムへの参加状況(問10)

電子ジャーナルの導入を目的とするコンソーシアムへの参加状況を質問した。「参加し,活動に人的貢献をしている」と回答した機関は28機関であり,その内訳は国立13大学,公立2大学,私立10大学と専門情報機関3機関であった。学部数の大きな大学を中心に人的貢献が行われており,国立ABと公立ABではおよそ1/3の大学が,私立ABでも2割弱の大学が人的な貢献を行っている。

一方,どのコンソーシアムにも「参加していない」という機関は,公立大CDでは95%,私立大CDでは82%,私立大ABで49%であり,公私立大学で学部数の少ない大学はほとんど,学部数の多い大学でも半数近くがコンソーシアムに参加していない。専門情報機関においても80%がコンソーシアムに参加しておらず,同様な状況におかれている。一方,国立大学は全数が国立大学図書館協議会によるコンソーシアムに参加しており,国立大とそれ以外とのコンソーシアム参加状況は全く異なっている。

この状況を反映して,参加機関が最も多いコンソーシアムは国立大学図書館協議会の電子ジャーナルタスクフォースによるコンソーシアムであり73大学(回答した国立大学の全数),続いて日本医学図書館協議会によるコンソーシアム27機関,日本薬学図書館協議会によるコンソーシアム19機関があげられている。1機関による複数コンソーシアムへの参加もある。私立大学図書館協会によるコンソーシアムへの参加は27大学が回答しているが,地区協議会を母体として電子ジャーナルの共同購入を行っている例と,協会を母体に組織されたコンソーシアムへの参加が混在しているものと思われる。その他のコンソーシアムとしては,研究機関が省庁単位であるいは相互利用協定締結館同士による共同購入的な小規模コンソーシアムや取次が設定したオープン型コンソーシアムへの参加が回答されている。

表2.18 電子ジャーナルコンソーシアムへの参加状況(複数回答)

   

国立AB

国立BC

公立AB

公立CD

私立AB

私立CD

専門情報機関

合計

a.参加し,活動に人的貢献をしている

9

(32.3%)

4

(6.7%)

2

(33.3%)

0

(0.0%)

8

(18.6%)

2

(1.2%)

3

(3.8%)

28

(6.1%)

国大図協

9

4

0

13

私大図協

5

0

5

医図協

0

0

0

1

1

1

3

薬図協

0

0

0

1

2

2

5

その他

2

1

4

7

b.参加している

21

(71.0%)

40

(93.3%)

3

(50.0%)

3

(5.1%)

15

(34.9%)

26

(16.7%)

13

(16.7%)

121

(27.5%)

国大図協

21

40

4

65

私大図協

14

8

22

医図協

2

4

1

3

1

13

0

24

薬図協

0

0

2

0

3

5

3

14

その他

0

1

1

0

2

3

6

13

c.参加していない

0

(0.0%)

0

(0.0%)

2

(33.3%)

56

(94.9%)

21

(48.8%)

134

(82.1%)

62

(79.5%)

275

(67.2%)

有効回答数

30

43

6

59

43

161

78

420


2.6.2 コンソーシアムに不参加の理由

コンソーシアムに参加していない機関に不参加の理由を質問した結果が表2.19である。公立大ABは1大学しかないため公立大CDとまとめて1カテゴリとした。大学図書館,専門情報機関では参加資格を満たすコンソーシアムがないこと,コンソーシアムへの人的貢献ができないことを不参加の理由にあげる機関がそれぞれ31%と32%あるほか,コンソーシアムによる経費軽減効果が小さいことをあげる機関も26%あった。参加を検討中の機関は合わせて23機関に過ぎず,今後,何らかの要因変化が起きない限り,国立大学以外でのコンソーシアム参加が急速に増加する見通しは薄いと言えよう。

都道府県立図書館では,そもそも電子ジャーナル導入の動きがほとんどないため,不参加の理由として「その他」を選択して電子ジャーナル購入の予定がないこと,コンソーシアム参加の必要性がないことを挙げる館が大多数であった。したがって参加を検討中の館も0館であった。

表2.19 コンソーシアムに参加しない理由(複数回答)

公立大

私立大AB

私立大CD

専門情報機関

合計

都道府県

合計

a.参加資格を満たすコンソーシアムがない

16

6

46

14

82

7

89

(28.1%)

(28.6%)

(36.5%)

(25.9%)

(31.8%)

(24.1%)

(31.0%)

b.コンソーシアムへの人的貢献ができない

12

5

54

16

87

5

92

(21.1%)

(23.8%)

(42.9%)

(29.6%)

(33.7%)

(17.2%)

(32.1%)

c.経費軽減効果が小さい

16

5

42

10

73

1

74

(28.1%)

(23.8%)

(33.3%)

(18.5%)

(28.3%)

(3.4%)

(25.8%)

d.事務量軽減効果が小さい

3

3

14

9

29

1

30

(5.3%)

(14.3%)

(11.1%)

(16.7%)

(11.2%)

(3.4%)

(10.5%)

e.その他

18

3

26

19

66

21

87

(31.6%)

(14.3%)

(20.6%)

(35.2%)

(25.6%)

(72.4%)

(30.3%)

f.参加を検討中

8

6

11

6

31

0

31

(14.0%)

(28.6%)

(8.7%)

(11.1%)

(12.0%)

(0.0%)

(10.8%)

有効回答数

57

21

126

54

258

29

287

2.6.3 コンソーシアムが提供すべき機能(問11)

問11ではコンソーシアムが参加館に提供すべき機能を尋ねた。全般的には9割前後の機関で価格圧縮への期待が示され,情報収集・交換が6割程度でそれに続く。アーカイビング等の共同事業への期待は15%程度で最も小さい。

コンソーシアムへの参加状況別にも大きな傾向に相違はないが,人的貢献をしている機関では単なる参加機関よりも情報の収集・交換機能を評価する機関が9ポイント多く,価格圧縮機能は6ポイント少ない。事務肩代わりへの期待が単なる参加機関の方が12ポイント多いことを含めて,交渉にあたる機関とその結果を享受する機関の意識の差異が現れていると見るべきであろう。

表2.20 コンソーシアムが提供すべき機能(参加状況別)(2つまでの複数回答)

国立AB

国立CD

公立AB

公立CD

私立AB

私立CD

専門情報機関

合計

人的貢献をしている

9

4

2

0

8

2

3

28

情報収集・交換

7

3

2

0

6

1

1

20

(71.4%)

価格圧縮

7

4

2

0

7

2

3

25

(89.3%)

事務肩代わり

2

0

0

0

1

0

0

3

(10.7%)

共同事業

0

1

0

0

1

1

1

4

(14.3%)

その他

1

0

0

0

1

0

0

2

(7.1%)

参加している

21

38

2

3

14

25

13

116

情報収集・交換

15

25

1

2

9

12

8

72

(62.1%)

価格圧縮

19

38

2

2

13

24

13

111

(95.7%)

事務肩代わり

2

10

0

1

4

7

2

26

(22.4%)

共同事業

5

1

0

1

2

4

3

16

(13.8%)

その他

1

0

0

0

0

0

0

1

(0.9%)

参加していない

0

0

2

55

21

125

52

255

情報収集・交換

0

0

1

25

11

74

33

144

(56.5%)

価格圧縮

0

0

2

53

20

115

37

227

(89.0%)

事務肩代わり

0

0

0

14

8

36

13

71

(27.8%)

共同事業

0

0

1

12

3

14

10

40

(15.7%)

その他

0

0

0

0

0

0

1

1

(0.4%)

有効回答数

30

42

6

58

43

152

68

399


2.7 館外文献複写の利用状況

2.7.1 文献複写の依頼先・依頼件数(問14)

問14では館外文献複写の依頼先別依頼件数を質問した。表2.21と図2.7に示すように,大学からの依頼のほとんどが国内の大学に対してなされること,大学以外になされる場合も大学以外のNACSIS-ILL加盟館に依頼をすることが示された。専門情報機関においては国内大学への依頼が半数,科学技術振興機構への依頼が1/4を占め,国立国会図書館の利用は6.4%に過ぎない。一方,都道府県立図書館は国立国会図書館に最も強く依存しており依頼の70%が同館に対してなされ,国内大学(22.8%)がこれに続く。科学技術振興機構は利用されていない。

表2.21 文献複写依頼件数及び依頼先

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県

合計

総数

275,376

185,329

35,831

81,544

132,400

135,130

845,610

92,885

6,587

945,082

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

国内大学

254,861

165,951

34,986

66,739

111,242

122,335

756,114

48,033

1,502

805,649

(92.6%)

(89.5%)

(97.6%)

(81.8%)

(84.0%)

(90.5%)

(89.4%)

(51.7%)

(22.8%)

(85.2%)

科学技術振興機構

784

1,093

137

722

748

656

4,140

22,474

0

26,614

(0.3%)

(0.6%)

(0.4%)

(0.9%)

(0.6%)

(0.5%)

(0.5%)

(24.2%)

(0.0%)

(2.8%)

国立国会図書館

6,199

3,774

457

1,488

2,764

2,595

17,277

5,964

4,609

27,850

(2.3%)

(2.0%)

(1.3%)

(1.8%)

(2.1%)

(1.9%)

(2.0%)

(6.4%)

(70.0%)

(2.9%)

その他国内

6,449

8,021

695

2,714

4,249

7,238

29,366

19,738

301

49,405

(2.3%)

(4.3%)

(1.9%)

(3.3%)

(3.2%)

(5.4%)

(3.5%)

(21.2%)

(4.6%)

(5.2%)

BLDSC

3,968

1,355

271

344

1,881

1,069

8,888

1,525

0

10,413

(1.4%)

(0.7%)

(0.8%)

(0.4%)

(1.4%)

(0.8%)

(1.1%)

(1.6%)

(0.0%)

(1.1%)

CISTI

2

27

0

4

0

28

61

6

0

67

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

その他国外

1,406

196

63

119

1,823

297

3,904

1,594

0

5,498

(0.5%)

(0.1%)

(0.2%)

(0.1%)

(1.4%)

(0.2%)

(0.5%)

(1.7%)

(0.0%)

(0.6%)

有効回答数

123

61

10

64

114

189

561

85

45

691

図2.7 複写依頼先の構成比

2.7.2 複写依頼先の優先順位・理由(問15)

前項の実態を反映して大学図書館が雑誌論文の複写の際に依頼先を選ぶ優先順位は国内大学図書館が1位を占める(表2.22)。2位には国立国会図書館を選ぶ館が多いものの,実際の依頼件数には反映していないため,国内の大学において大半の必要が満たされていると判断できる。

選択の理由として最も選ばれるのは依頼が容易であることだが,前項の結果から判断すると,NACSIS-ILLで該当文献を探して加盟館に依頼し,無い場合にのみ別の手段を取っていると考えられるので,ここでの選択は決して積極的なものではない。

専門情報機関による優先順位と選択理由を表2.23に示した。優先順位の1位には「その他」が最も選ばれたが,複写代行業者や都道府県立図書館,他の専門情報機関,同一省庁内の他研究機関等が均等に選ばれており,数として多いのはやはり科学技術振興機構,続いて国内大学図書館であり,実際の複写依頼先と整合している。国立国会図書館は優先順位の2位あるいは3位として4割程度の機関から支持されている。その選択理由は依頼が容易であることであり,早いという理由はほとんど選択されることがない。

都道府県立図書館による優先順位では国立国会図書館を1位であげる館が多数を占めている(表2.24)。2位を含めると8割を超える館が国立国会図書館を優先して選択していると言える。続いて選択の対象となるのは「その他」として挙げられた都道府県内の他の公共図書館ないし国内大学図書館である。ただし,実際の依頼実績では国内大学はその他国内より明らかに多い。

複写物が雑誌論文か雑誌論文以外かで順位・理由に大きな変動は生じないため,雑誌論文以外の複写依頼先の優先順位についての集計は巻末の付録Cに示す。

表2.22 複写依頼先(雑誌論文)の優先順位・理由:大学図書館 (N=519)

国内大学図書館

科学技術振興機構

国立国会図書館

BLDSC

CISTI

その他

1位

509

0

2

0

0

8

(98.1%)

(0.0%)

(0.4%)

(0.0%)

(0.0%)

(1.5%)

2位

10

31

342

23

0

76

(1.9%)

(6.0%)

(65.9%)

(4.4%)

(0.0%)

(14.6%)

3位

0

97

69

129

3

68

(0.0%)

(18.7%)

(13.3%)

(24.9%)

(0.6%)

(13.1%)

4位以下

0

49

23

149

21

95

(0.0%)

(9.4%)

(4.4%)

(28.7%)

(4.0%)

(18.3%)

合計

519

177

436

301

24

247

(100.0%)

(34.1%)

(84.0%)

(58.0%)

(4.6%)

(47.6%)

a.安い

60

1

57

5

1

(11.5%)

(0.6%)

(13.5%)

(1.7%)

(4.8%)

b.早い

124

45

11

24

5

(23.7%)

(26.8%)

(2.6%)

(8.2%)

(23.8%)

c.依頼が容易

254

98

307

206

13

(48.6%)

(58.3%)

(72.7%)

(70.5%)

(61.9%)

d.支払いが容易

85

24

47

57

2

(16.3%)

(14.3%)

(11.1%)

(19.5%)

(9.5%)

有効回答数

523

168

422

292

21


表2.23 複写依頼先(雑誌論文)の優先順位と理由:専門情報機関 (N=84)

国内大学図書館

科学技術振興機構

国立国会図書館

BLDSC

CISTI

その他

1位

24

26

3

1

0

31

(28.6%)

(31.0%)

(3.6%)

(1.2%)

(0.0%)

(36.9%)

2位

17

6

20

7

0

25

(20.2%)

(7.1%)

(23.8%)

(8.3%)

(0.0%)

(29.8%)

3位

4

12

11

7

1

7

(4.8%)

(14.3%)

(13.1%)

(8.3%)

(1.2%)

(8.3%)

4位以下

3

10

2

16

1

8

(3.6%)

(11.9%)

(2.4%)

(19.0%)

(1.2%)

(9.5%)

合計

48

54

36

31

2

41

(57.1%)

(64.3%)

(42.9%)

(36.9%)

(2.4%)

(48.8%)

a.安い

20

4

16

1

0

(43.5%)

(8.2%)

(43.2%)

(3.7%)

(0.0%)

b.早い

5

19

2

7

0

(10.9%)

(38.8%)

(5.4%)

(25.9%)

(0.0%)

c.依頼が容易

17

20

17

17

2

(37.0%)

(40.8%)

(45.9%)

(63.0%)

(100.0%)

d.支払いが容易

4

6

2

2

0

(8.7%)

(12.2%)

(5.4%)

(7.4%)

(0.0%)

有効回答数

46

49

37

27

2


表2.24 複写依頼先(雑誌論文)の優先順位・理由:都道府県立図書館 (N=39)

国内大学図書館

科学技術振興機構

国立国会図書館

BLDSC

CISTI

その他

1位

6

1

24

0

0

9

(15.4%)

(2.6%)

(61.5%)

(0.0%)

(0.0%)

(23.1%)

2位

16

0

8

0

0

10

(41.0%)

(0.0%)

(20.5%)

(0.0%)

(0.0%)

(25.6%)

3位

8

2

5

0

0

9

(20.5%)

(5.1%)

(12.8%)

(0.0%)

(0.0%)

(23.1%)

4位以下

3

1

1

0

0

1

(7.7%)

(2.6%)

(2.6%)

(0.0%)

(0.0%)

(2.6%)

合計

33

4

38

0

0

29

(84.6%)

(10.3%)

(97.4%)

(0.0%)

(0.0%)

(74.4%)

a.安い

2

0

0

0

0

(6.7%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

b.早い

11

0

1

0

0

(36.7%)

(0.0%)

(2.9%)

(0.0%)

(0.0%)

c.依頼が容易

17

3

30

0

0

(56.7%)

(100.0%)

(88.2%)

(0.0%)

(0.0%)

d.支払いが容易

0

0

3

0

0

(.0%)

(0.0%)

(8.8%)

(0.0%)

(0.0%)

有効回答数

30

3

34

0

0

2.8 機関レポジトリへの取り組み

2.8.1 機関レポジトリの提供状況(問16)

問16では「自機関内での研究成果(紀要,テクニカルレポート,雑誌掲載済論文)を収集して,電子的に保存・公開する機能」を機関レポジトリと定義した上で,その提供状況を質問した。中央館と分館・分室を分けて集計したが,大きな特徴の違いはなく,大学の中央館で提供している例が44大学(12.6%),計画中24大学(6.9%),機関内に対してのみ提供という例が5大学であった。分館・分室では機関内のみを含めて32館が提供,4館が計画中となっている。

大学図書館よりも専門情報機関の方が機関レポジトリの提供率は高く,提供中が21館(22.3%)と2割を超えていること,機関内のみ提供12館(12.8%)と計画中4館(4.3%)を加えると,全体の4割でレポジトリが提供中ないし計画中という状態である。

表2.25 機関レポジトリの提供状況(中央館)

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県

合計

a. 提供

8

11

1

5

7

12

44

21

2

67

(26.7%)

(25.6%)

(16.7%)

(8.1%)

(17.1%)

(7.2%)

(12.6%)

(22.3%)

(5.1%)

(13.9%)

b. 機関内

0

0

0

0

0

5

5

12

0

17

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(3.0%)

(1.4%)

(12.8%)

(0.0%)

(3.5%)

c. 計画中

2

7

0

1

3

11

24

4

0

28

(6.7%)

(16.3%)

(0.0%)

(1.6%)

(7.3%)

(6.6%)

(6.9%)

(4.3%)

(0.0%)

(5.8%)

d. 未提供

20

25

5

56

31

139

276

57

37

370

(66.7%)

(58.1%)

(83.3%)

(90.3%)

(75.6%)

(83.2%)

(79.1%)

(60.6%)

(94.9%)

(76.8%)

有効回答数

30

43

6

62

41

167

349

94

39

482

表2.26 機関レポジトリの提供状況(分館・分室)

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

都道府県

合計

a. 提供

12

4

0

0

8

5

29

0

29

(12.9%)

(22.2%)

(0.0%)

(0.0%)

(10.4%)

(25.0%)

(13.4%)

(0.0%)

(12.6%)

b. 機関内

2

0

0

0

1

0

3

0

3

(2.2%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(1.3%)

(0.0%)

(1.4%)

(0.0%)

(1.3%)

c. 計画中

2

0

0

0

2

0

4

0

4

(2.2%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(2.6%)

(0.0%)

(1.9%)

(0.0%)

(1.7%)

d. 未提供

77

14

4

4

66

15

180

15

195

(82.8%)

(77.8%)

(100%)

(100%)

(85.7%)

(75.0%)

(83.3%)

(100%)

(84.4%)

有効回答数

93

18

4

4

77

20

216

15

231

2.8.2 機関レポジトリの収集件数(問17)

機関レポジトリにおいて収集されている資料の件数を質問した。表2.27には通常の意味の平均値でなく,その種の資料を提供している館のみ(( )内の数値)を分母とする平均値を示した。例えば,国立大ABで機関レポジトリを提供している中央館・分館・分室20館のうち,雑誌掲載済み論文を収集しているのは2館であり,収集されている論文数の2館の平均が2,648件であることを示している。したがって,各種資料の件数を足し合わせても合計とは一致しない。

資料の内訳を見ると,大学図書館では研究紀要の収集が9割方で行われており,次いで学位論文,テクニカルレポート・研究成果報告書が収集されるがこれらは15%前後の頻度である。専門情報機関では21館中18館がテクニカルレポート・研究成果報告書を収集しており,続いて研究紀要(11館),雑誌掲載済み論文(9館)が続く。専門情報機関における機関レポジトリのもう一つの特徴はその規模であり,テクニカルレポート・報告書の収集件数は平均7,717件,雑誌掲載済み論文は平均10,067件に達している。

表2.27 機関レポジトリの収集資料数

国立大AB

国立大CD

公立大

私立大AB

私立大CD

大学計

専門情報

機関

合計

合計 (件)

423

(20)

817

(14)

368

(6)

291

(15)

78

(20)

374

(75)

10,727

(21)

2,638

(96)

研究紀要 (誌)

7.5

(15)

6.6

(13)

17.7

(6)

5.5

(14)

30

(19)

14.3

(67)

36.8

(11)

17.5

(78)

学位論文 (件)

398

(6)

968

(2)

-

(0)

1,200

(1)

74

(3)

479

(12)

-

(0)

479

(12)

報告書 (件)

142

(4)

39

(3)

-

(0)

-

(0)

3

(4)

63

(11)

7,717

(18)

4,814

(29)

掲載済論文 (件)

2,648

(2)

-

(0)

-

(0)

-

(0)

49

(2)

1,349

(4)

10,067

(9)

7,385

(13)

その他 (件)

50

(2)

148

(1)

1

(1)

75

(3)

1

(1)

59

(8)

1,361

(3)

414

(11)

2.8.3 機関レポジトリの年間活動予算・活動規模

これら機関レポジトリの活動を支える予算及びその活動の規模を問18で質問した。年間の予算額は大学において93万円,専門情報機関で128万円と平均で100万円前後であることが示された。また,年間に追加される資料の件数は大学では100件弱,専門情報機関は500件弱である。

表2.28 機関レポジトリの活動規模

国立大AB

国立大CD

公立大

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

合計

予算 (万円)

70

39

251

189

80

93

128

100

新規点数 (件)

35

218

107

115

25

95

477

172

有効回答数

15

17

3

11

21

67

17

84


2.9 自由記述

調査票の最後に学術雑誌,特に科学・技術・医学雑誌の収集・利用について日頃感じていること,当該領域における国立国会図書館の役割についての自由記述欄を設けた。117館・室から回答があった。ここでは,自由記述の内容を大まかに分類し,どのような意見があったかの概要を示す。

2.9.1学術雑誌の収集・利用に関すること

雑誌価格の高騰及びそれに伴う雑誌タイトル数の減少に関する記述が目立つが,その結果として文献複写が増加している,あるいは重要になった,という趣旨の記述と,「各図書館の所蔵タイトルが似たようなものになってきている」とする指摘がある。また選書の権限が研究者にあり他館との分担などの工夫ができないという意見も示されている。

電子ジャーナルについては,導入に伴って利用タイトル数が増加しILLが減少している,という指摘がある。バックファイルの問題に対する不安のほか,出版者毎に異なる契約処理の煩雑化が負担として認識されている。電子ジャーナルの料金設定が日本の現状に合っていない,という不満もある。電子ジャーナルへのILL依頼が謝絶されることに対して不安が表明されている。また,電子ジャーナルの導入に合わせて学内重複雑誌の一本化が行われていること,冊子体から電子ジャーナルへの切り替えを検討していることなどが示された。

電子ジャーナルコンソーシアムについては,コンソーシアムを通じた電子ジャーナル購入を行っていることや,コンソーシアムのための購読維持に困難を感じていることのほか,コスト分担方法などコンソーシアムの検討課題も多いとする意見があった。

2.9.2 国立国会図書館の役割

国立国会図書館の役割に対する期待・意見を,学術雑誌の収集に関する補完的役割,国立図書館的機能,国立医学図書館的機能,電子ジャーナルの提供,他機関との連携,その他に分類して示す。

学術雑誌の収集に関する補完的役割

保存機能への期待,国内未収タイトルの監視,電子媒体資料の保存のように現時点で不足している機能を国立国会図書館に求める例と,国内雑誌やテクニカル・レポート類の遡及的電子化,科研費報告書等の電子化,国内学会会議録の収集のように国立国会図書館の特徴を活かした貢献を期待する意見がある。大学が電子ジャーナルに力を入れているので,ILLの提供のために冊子体の収集に力を入れて欲しい,あるいは大学が購入しないジャーナルを収集して欲しいとする意見を典型とする,自館あるいは大学図書館に対して補完的に機能して欲しいとする役割規定である。

国立図書館的機能

公共図書館と専門情報機関からは,その活動をバックアップすることの期待が示された。洋雑誌の収集,古い資料を頼りたい,民間・小規模研究機関への支援,レファレンスの提供のような具体的な要求だけでなく,「…毎年タイトルを減らしている。そのため国会図書館への依存度が高くなっていくと思われる」のように漠然とした期待も含まれている。企業や公共図書館から大学図書館に対するILLの依頼が謝絶されることも国立国会図書館への期待が強まる要因の一つである。「大学図書館・専門図書館の資料も広く国民で共有できるようなシステムを作って欲しい」(都道府県立)というように,公共図書館や専門情報機関の代弁者として,情報提供を支援する体制づくりが期待されている。

国内有数の収集態勢を背景に,科学技術雑誌の集中所蔵やILLの中枢を期待する意見もあり,「最後の砦」として何でも揃えていること,という期待がある。

国立医学図書館的機能

(外国)医学雑誌の収集保存を行うことに対する期待が多数の館から示されている。一方で,「かつて…医学関連雑誌の保存について話し合いの場を持ったが,…貴館に期待する事はまったく出来ないことが明確になった」や「医学関係の雑誌について国立国会図書館のサービスは現在何もみえてこない」のように,現在のサービス内容・協力関係の薄さに対して強い不満を表明する例がある。それら全てが,国内における医学雑誌の収集保存についての深い危機感を示しており,この問題において国立国会図書館がどのような役割を果たそうとしているかを注目している。

電子ジャーナルの提供

電子ジャーナルのリモート利用,一般市民への提供のように国立国会図書館が利用者に対して行うサービスとしての期待と,ナショナルサイトライセンスの提供のように,自館が提供するための支援を期待する意見の両方がある。支援という点からはコンソーシアムの形成,アーカイビング,バックファイルの提供という意見も寄せられた。

他機関との連携

「とにかく,国立情報学研究所との連携を深めていただきたい」という表現に代表される,他館との連携を深めて欲しいとする意見である。より具体的には分担収集の推進であったり,国立情報学研究所による各種サービスから国立国会図書館が利用できないことへの不満である。

その他

これまでのまとまりに分類できなかったものとして,図書館の財政問題の議論,価格高騰問題への国家的対応,著作物の電子化にかかわる法整備のように図書館の代弁者として国政への働きかけを期待する意見がある。また,国内学術雑誌の翻訳出版支援や機関レポジトリの集約的提供,NII,JST,NDLにおける様々な事業のプラットフォームを一本化する,電子ジャーナルの検索インターフェースの統一・横断検索などの意見があった。

2.9.3 国立国会図書館の業務に対する意見

以下の各項目は国立国会図書館に期待する役割ではなく,現在遂行している各種業務に対する,具体的な改善要求に分類できるものである。

・蔵書検索結果の電子的利用の要件緩和

・速やかな対応

・文献複写に時間がかかる

・書籍貸出の手続きが煩雑

・日曜休館が利用機会を減らしている

・雑誌記事索引の採録誌増加

・不要資料の交換仲介の場の設定

・遡及的な著作権の承諾が困難なためWARPへの協力が困難

・NDL-OPACにおけるWebcatとの連結表示

・NIIの相殺サービスへの参加

・NACSIS-ILLへのデータベースレベルの参加,Webcatへの参加

・雑誌記事索引・医中誌Web・Webcatの目録の取り方の統一

・雑誌記事索引DVD版において電子情報通信学会技術報告の誌名表記に部門名を含めて欲しい

・雑誌の契約にまつわるFAQの整備

・会議録やテクニカルレポート等でOPACで検索できないものが多い

・会議録の受入が遅い

・受入が遅い

・科学技術関係欧文会議目録の再提供

・ホームページをシンプルにして欲しい

・電子ジャーナルとしての提供タイトルも郵送複写の対象に

・ILLの梱包が過剰で余分な郵送コストがかかっている

・公費での支払いが不便

2.10 資源配置の状況

2.5節に見るように,全体として電子ジャーナルを多数導入している大学は国公立・私立を問わず学部数の多い大規模大学であり,公立・私立の小規模校ではほとんど電子ジャーナルの提供が進んでいない。本節ではこのような大学間の格差の様相を示すために,分布の平等性の尺度であるローレンツ曲線とジニ係数を用いて分析する。電子ジャーナルのタイトル数が少ない大学から最もタイトル数が多い大学の順に横軸をとり,縦軸には下位何%以下の大学に全体の何%の電子ジャーナルがあるかの累積タイトル数を描くと,ローレンツ曲線ができる。完全に平等な状態を示す対角線からの乖離が大きいほど,資源分布が平等でないことを表している。分布の不平等さの測度として用いられるジニ係数は,対角線とローレンツ曲線で囲まれる部分の面積に相当し,値が大きいほど不平等な分布であることを示す。

大学図書館における電子ジャーナルタイトル数分布のジニ係数は0.71である。平等・不平等という概念は資源配分を論じる際の重要な評価基準ではあるが,ここでは電子ジャーナルの導入によって起きる資源分布の変化がどのようなものかに主たる関心があるので,冊子体の雑誌タイトル数のジニ係数と比較することにした。時間的な変化も見るために,日本図書館協会の「日本の図書館」による大学を単位とする2002年と1996年の購読雑誌タイトル数のジニ係数を求めると,共に0.59であった。ここから,冊子体に関する資源分布の格差は6年間でほとんど変化していないこと,電子ジャーナルの分布は冊子体よりも格差が大きいことが言える。

電子ジャーナルの導入状況に違いのあった国立大学と公私立大学の二つの集団に分けて電子ジャーナルタイトル数のジニ係数を求めると0.29と0.73である。一方,冊子体の購入雑誌タイトル数の分布について同様にみると,国立大は0.49,公私立大は0.56であり,冊子体においては国立大も公私立大も0.5前後の状態であったにもかかわらず,電子ジャーナルの分布においては,国立大においては格差が縮小し,公私立大においては格差が拡大していることがわかる。

STM誌についても同様の関係が成立し,本調査によるSTM分野を収集対象とする大学における冊子体のSTM誌タイトル数のジニ係数は国立大0.51,公私立大0.58であるのに対して,電子ジャーナルのそれは国立大0.34,公私立大0.75と,国立大においては電子ジャーナルにおいて格差が縮小している。

また,これら雑誌と電子ジャーナル購入のための経費の分布を見てみると,電子ジャーナルの契約費のジニ係数は国立大が0.56,公私立大が0.88と,公私立大はもとより国立大においても分布の格差が冊子体の購入費の0.54よりやや大きくなっている。つまり,国立大においては電子ジャーナルのための費用は雑誌購入費よりも金額の多寡の差がやや大きいバランスで投入されているにもかかわらず,タイトル数で見ると格差が縮小していることもわかる。これは電子ジャーナルが大学の規模に応じて価格付けされるために,小規模な大学は相対的に安価に電子ジャーナルが導入できることの効果を反映しているものとおもわれる。図2.8では国立大学における雑誌購入費,電子ジャーナル契約費,購入雑誌タイトル数,電子ジャーナルタイトル数に関するローレンツ曲線を示した。雑誌購入費,雑誌タイトル数,電子ジャーナル契約費のローレンツ曲線には顕著な違いが見られないのに対して,電子ジャーナルタイトル数のローレンツ曲線が対角線により近い形状を示していることがわかる。図2.9は公私立大学における同様の図であり,電子ジャーナル契約費が雑誌購入費や雑誌タイトル数に比べて,大きく対角線から離れていること,すなわち大部分の大学で電子ジャーナルに費用を投入しておらず,一部の限られた大学だけが電子ジャーナルの費用を支出していることと,その結果として,電子ジャーナルのタイトル数の分布においても,(契約費よりも多少は改善されているものの)冊子体の分布よりは下位校と上位校の格差が大きくなったことを示している。

雑誌タイトル数や雑誌購入費の分布が現在の大学図書館における大学間の資源配置のバランスを表現していると考えると,電子ジャーナルの導入によって公私立大学においてはサービス水準の格差が拡大し,逆に導入が進んでいる国立大においては,冊子体の雑誌よりも格差が縮小したと考えることができる。

表2.29 雑誌タイトル数と費用のジニ係数

雑誌タイトル数

雑誌購入費

STMタイトル数

冊子1996

冊子2002

電子J

冊子

電子J

冊子

電子J

大学図書館

0.59

0.59

0.71

0.68

0.81

0.60

0.64

国立大

0.49

0.49

0.29

0.54

0.56

0.51

0.34

公私立大

0.55

0.56

0.73

0.65

0.88

0.58

0.75

図2.8 国立大学における資源分布のローレンツ曲線

(左上:雑誌購入費,右上:電子ジャーナル契約費,左下:購入雑誌タイトル数,右下:電子ジャーナルタイトル数)

図2.9 公私立大学における資源分布のローレンツ曲線

(左上:雑誌購入費,右上:電子ジャーナル契約費,左下:購入雑誌タイトル数,右下:電子ジャーナルタイトル数)


2.11 考察

日本国内の学術雑誌の資源配置を調査した結果,以下の9項目が明らかになった。

(1) STM 分野を収集対象とする大学においては冊子体雑誌のおよそ5割をSTM雑誌が占め,最もタイトル数が多い大学で5,000から6,000タイトル程度を収集している。このうち洋雑誌は3,500から5,000タイトルを占めている。雑誌のタイトル数は減少傾向にあるが,その半分はSTM雑誌の減少であり,洋雑誌が減少分のほとんどを占めている。

(2) 国立国会図書館は国内雑誌については納本制度によって包括的に収集できているものの,STM洋雑誌のタイトル数に見るように,冊子体の外国雑誌に関しては国内最大規模の大学と同程度かあるいはやや劣る程度の量である。

(3) 国立大では大学の規模に関わらず意欲的に電子ジャーナルが導入されているが,公・私立においては一部の大規模校で大量導入されているものの,中小規模校ではあまり導入が進んでいない。

(4) 公立大・私立大では電子ジャーナルのタイトル数が少ない大学が半数を占め,冊子体に比べて電子ジャーナルではタイトル数の面で上位校と下位校の格差が拡大している。

(5) 大学規模に応じた価格づけが行われる電子ジャーナルは,中小規模校が相対的に低価格で導入が可能であり,そのメリットを活かした国立大では,冊子体と較べて電子ジャーナルでの上位校と下位校の格差が縮まった。

(6) 国立大では程度の差こそあれ全ての大学で電子ジャーナルの導入が進んでおり,これは国立大学図書館協議会電子ジャーナルタスクフォースによるコンソーシアム形成の効果と考えられる。

(7) アーカイビングなどの共同事業への期待は薄く,現に電子ジャーナルを大量に導入している大学にあっても,コンソーシアムの任務は価格と情報収集であると位置づけている。

(8) 館外文献複写の実績においては,大学図書館における情報要求はほとんどが大学図書館内で完結して処理されていること,専門情報機関においてもJSTや外国への依頼が多く国立国会図書館の占めるシェアは多くないことが示された。ただし,都道府県立図書館においては国立国会図書館の利用が最も多く,その優先順位も1位とする館が多かった。

(9) 機関レポジトリの整備状況としては,1割程度の大学図書館で提供が行われている。むしろ専門情報機関における提供が多く2割程度の機関がレポジトリを提供している。提供内は大学においては紀要や学位論文,専門情報機関にあっては報告書,テクニカルレポートが多く掲載されている。

注・引用文献

1) Association of Research Libraries. ARL Statistics 2001-2002. 2003, 118p. (online), available from < http://www.arl.org/stats/pubpdf/arlstat02.pdf >, (accessed 2004-03-31).

2) http://pr.jst.go.jp/pub/pubindex.html#bunken

3) http://pr.jst.go.jp/outline/outline1.html