ハーバード大学、価格高騰する学術雑誌の購読中止を視野に入れた対策案を教員等に提示

米国のハーバード大学の教員で構成される図書館に関する諮問委員会(Faculty Advisory Council)が、学術雑誌の価格高騰問題へ対応するために教員・学生らに対していくつかの対策を提案しています。

同委員会は、まず、

・ハーバードは大手出版社に対して年間375万ドル支払っている
・一部のジャーナルは年間4万ドルもの購読費がかかっている
・ある2社については過去6年で145%値上がりしている

のような苦しい現状を述べ、主要な学術雑誌の契約、少なくとも大手2社との契約をこれまで通りに続けていくことは不可能という結論に至ったと説明しています。そして、教員及び学生と図書館に対して次の9つの対策を検討するように示し、意見を募っています。(うち、1~6が教員及び学生向け、7~9が図書館向け。)

(1)大学のオープンアクセス(OA)ポリシーに従って自著論文を必ず機関リポジトリに登録すること。
(2)論文の投稿先として、OAジャーナルや、維持可能な価格のジャーナルを検討すること。
(3)ジャーナルの編集委員を担当している場合は、OA化することや、無理な価格設定をする出版社と縁を切ることを検討すること。無理ならば編集委員の辞任も考えること。
(4)専門家組織にこの問題を取り上げてもらうこと。
(5)学協会に働きかけ、その分野の学術文献に関する主導権を握るようにするか、図書館に友好的な出版社に出版事業を任せるようにすること。
(6)同僚がこれらの選択肢を検討するよう勧めること。
(7)バンドル購読(ビッグディール)を止め、利用の多いジャーナルに絞ること。
(8)ジャーナルをPay per useで利用するようにすること。
(9)契約の際には条項を公開するよう出版社に求めること。

Faculty Advisory Council Memorandum on Journal Pricing(2012/4/17付け)
http://isites.harvard.edu/icb/icb.do?keyword=k77982&tabgroupid=icb.tabgroup143448

Provost Convenes Faculty Advisory Council on the Library
http://isites.harvard.edu/icb/icb.do?keyword=k77982&panel=icb.pagecontent5%3Ar%241&pageid=icb.page420599&pageContentId=icb.pagecontent5

ハーバード大、学術誌の価格高騰に危機感、講読中止検討案を提示(情報管理STIUpdate 2012/4/24付け記事)
http://johokanri.jp/stiupdates/policy/2012/04/007221.html

「予算がいくらあっても足りない」ハーバード大学図書館が教職員に論文等のオープンアクセス化を要請(hon.jp 2012/4/24付け記事)
http://hon.jp/news/1.0/0/3294/