研究データを公開しているのは誰か? していないのは誰か?(文献紹介)

米国ピッツバーグ大学のHeather A. Piwowar氏による論文“Who Shares? Who Doesn’t? Factors Associated with Openly Archiving Raw Research Data”がオープンアクセス誌PLoS ONEで公開されています。論文のアブストラクトからその内容を紹介します。

同論文のテーマは、研究で得られた生データが成果論文の出版後にどれくらい公開されているかというものです。

著者は、DNAマイクロアレイデータを対象に、2000年から2009年にかけて出版された11,603本の論文を機械的に抽出してビブリオメトリクスの手法で調査を行いました。その結果、これらの論文に登場するデータセットのうち25%が公開されていることが分かったそうです。また、2001年のデータの公開率は5%以下だったものの、2007-2009年のものは30-35%と増加していたとのことです。重回帰分析によってデータの公開に前向きな層も浮かび上がり、それらは、過去にデータの公開・再利用をしたことがある、掲載論文がオープンアクセスであるか比較的強いデータ共有ポリシーを持つジャーナルに掲載されている、米国国立衛生研究所(NIH)の助成を受けている、という場合だったそうです。一方、癌や人体実験といった研究分野では消極的だったようです。

著者は、生データの公開率は未だ低く、強いインパクトを持つ分野でこそあまり公開されていないとしています。

Who Shares? Who Doesn’t? Factors Associated with Openly Archiving Raw Research Data (PLoS ONE)
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0018657