米国連邦議会下院、景気刺激に係る法案を発表-図書館への資金提供は?

米国連邦議会下院は2009年1月15日、景気刺激パッケージの第一弾として、法案“American Recovery and Reinvestment Act of 2009”を発表しました。かねてより、米国図書館協会(ALA)は図書館に対して1億ドルの資金提供を求めていたところですが、今回の法案では、図書館を見出しに含む項目はありませんでした。しかし、以下の項目内で、図書館についても言及されています。

・21世紀のための教育(予算の言及はなし)
・K-12教育の修復・現代化(140億ドル)
・高等教育の修復・現代化(60億ドル)
・地方のコミュニティ設備プログラム(2億ドル)
・ブロードバンドの普及(競争的資金3.5億ドル。図書館も申請可能)
・コミュニティサービスにおける、収入の低い年長者の雇用(助成金1.2億ドル。図書館も申請可能)
・全米芸術基金(NEA)(5,000万ドル)
・ヘッドスタート/早期ヘッドスタート(※低収入家庭の子どもが学校の授業についていけるように教育・健康・栄養などを総合的に支援するプログラム)(21億ドル)

ALAワシントンオフィスはこの法案を評価し、法案が成立するようにアドヴォカシー活動を呼びかけています。ただ一方で、建築家・図書館デザイン専門家で、ニューヨークの図書館委員会の議長も務めている、著名な図書館支援者シェーラー(Jeffrey Scherer)氏は、「図書館、特に公共図書館への資金提供という項目がない」ことを批判する手紙をNew York Times紙に送り、その内容をAmerican Libraries誌、Library Journal誌などにも公開しています。これに対しALAワシントンオフィスが反論し、シェーラー氏がさらに再反論するなど、両者による法案への賛否をめぐるディベートが続いています。1月23日から始まるALA冬季大会(コロラド州デンバー)でも、このトピックで討議が行われるようです。

House Releases Its Version of Economic Stimulus Package – District Dispatch
http://www.wo.ala.org/districtdispatch/?p=1440
(ALAワシントンオフィスによる、法案の概要紹介)

Setting the Record Straight: Stimulus Includes Libraries – District Dispatch
http://www.wo.ala.org/districtdispatch/?p=1516
(ALAワシントンオフィスによる、シェーラー氏への反論)

An Intellectual Resource Essential to Economic Recovery – AL Inside Scoop
http://www.al.ala.org/insidescoop/2009/01/16/an-intellectual-resource-essential-to-economic-recovery/
(American Libraries誌編集部による、両者の論争紹介)
Congressional Inclusion of Libraries in Recovery Package Stirs Response – 1/16/2009 – Library Journal
http://www.libraryjournal.com/article/CA6630256.html
(Library Journal誌編集部による、両者の論争紹介)

参考:
経済危機のときこそ図書館!ALAが連邦議会に1億ドルの資金提供を求める
http://current.ndl.go.jp/node/9225