ユネスコの「万人のための教育(EFA)」プロジェクト・2009年レポート

ユネスコが実施している「万人のための教育」(Education for All;EFA)プロジェクトの2009年状況レポート“Global Monitoring Report 2009”が刊行されています。今回のレポートは、副題の“Overcoming inequality: why governance matters”が示すとおり、開発途上国と先進国との間に「巨大な湾」(vast gulf)が広がっていることを大きな問題として提起しています。

・開発途上国の小学生期の子どもの3人に1人(合計で1億9,300万人)が、栄養失調のため脳の発達・教育達成に障害がある。南アジアでは、この比率は40%に上がる。
・先進国では3人に1人が大学を卒業しているのに対し、サハラ以南アフリカでは、3人に1人が初等教育を受けられていない。初等教育を受けられていない子どもは、全世界で7,500万人に達している。
・2015年の時点で、初等教育を受けられない子どもの数が、全世界で少なくとも2,900万人に上ると目されており、5,000万人を超えるだろうという予測もある。
・2015年の時点で、非識字の成人がまだ7億人を超えているだろうと目されている。

そして、日本を含むいくつかの先進国に対し、もっと開発途上国における教育への援助を増やすよう要望しています。ユネスコの松浦晃一郎事務局長も、「教育機会の不平等は、貧困、飢え、小児死亡を加速し、経済発展の見通しを悪化させる」として、各国政府に「もっと緊迫感をもって行動しなければならない」とコメントしています。

EFA – Global Monitoring Report 2009
http://www.unesco.org/en/education/efareport

Inequity Undermines Kids’ Education Around the World, Says UN Report – 12/1/2008 – School Library Journal
http://www.schoollibraryjournal.com/article/CA6618143.html

参考:
万人のための教育(EFA:Education for All)-文部科学省
http://www.mext.go.jp/unesco/004/003.htm