フランスの学術機関コンソーシアムCouperin、研究者の文献調査行動に関する調査報告書の2020年版を公開

2021年3月1日、フランスの学術機関コンソーシアムCouperinが、研究者の文献調査行動に関する調査報告書を公開したことを発表しました。

Couperinが、フランスの高等教育機関や研究機関の研究者を対象に、2020年5月から6月にかけて実施したアンケート調査の結果をまとめたものです。5,598件の回答が寄せられ、そのうち、約74%が科学・技術・医学系(STM)、約26%が人文・社会科学系(SHS)です。

報告書には、以下をはじめとした内容がまとめられています。

・回答者の約77%が所属機関のポータルサイトを利用しており、大学に所属する研究者は約82%が利用すると回答した。また、SHS分野の研究者の方が、STM分野の研究者よりも、利用するという回答の割合が高かった。一方で、システムの質と機能に対する不満を感じている研究者もいる。

・資料の探索や全文へアクセスを目的とした、Google等の検索エンジンの利用について、約65%が頻繁に利用する、約30%がたまに利用すると回答した。

・資料全文にアクセスするために用いるものとしては、Google Scholar、ジャーナルのウェブサイト、オープンアーカイブ、ソーシャルネットワーク、Sci-Hubの順に多く、図書館が提供するアクセスは複雑で効率が悪く感じるという回答が寄せられた。

・資料へアクセスができない際には、大部分の研究者が代替手段を講じる。

・文献管理に用いているツールとしてはZotero、BibTexの順に多かった。約22%の研究者はツールを使用しておらず、分野別にみるとSHS分野の研究者は約37%、STM分野の研究者は約19%が使用していないと回答した。

報告書全文は国営のオープンリポジトリHyper Articles en Ligne(HAL)上で、アンケート結果のデータはzenodo上で公開されています。

@Couperin_consor(Twitter, 2021/3/1)
https://twitter.com/Couperin_consor/status/1366359948247105541

Les pratiques de recherche documentaire des chercheurs français en 2020 : étude du consortium Couperin(HAL)
https://hal.inrae.fr/hal-03148285
※報告書の全文が掲載されているページです。

Données de l’enquête Les pratiques de recherche documentaire des chercheurs français en 2020 : étude du consortium Couperin(zenodo, 2021/2/25)
https://doi.org/10.5281/zenodo.4562180
※アンケート結果のデータが掲載されているページです。

参考:
フランスの学術機関コンソーシアムCouperin、フランス国内の研究者を対象とした出版・オープンアクセス(OA)の実践に関する調査結果を公開
Posted 2020年2月7日
https://current.ndl.go.jp/node/40195