E1629 – 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2014/11/20現在)

カレントアウェアネス-E

No.271 2014.11.27

 

 E1629

東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2014/11/20現在)

 

  東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E1590 ほか参照)に続き,2014年8月中旬から11月下旬にかけての主な情報をまと めた。

●被災地の図書館等の活動

 岩手・福島・宮城の各県立図書館職員と,米国図書館協会前会長のバーバラ・ストリプリング博士とのビデオ会談(7月30日実施)の記録が,宮城県 図書館のウェブサイトで8月に公開された。

http://www.library.pref.miyagi.jp/latest/events/schedule/543-20140730ala-video-conference-in-tohoku.html

 9月2日,千葉県立図書館が東日本大震災千葉県関連サイトを新設し,10月28日には,関連資料の収集を呼びかけた。
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/information/all/post_27.html
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/booklist/shinsai20110311.html
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/information/all/post_29.html
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/information/all/img/shinsaikokkaichirashi.pdf

 10月16日,岩手県立図書館が,小学生向けの東日本大震災関連図書を学年別等に分けてまとめたブックリスト「小学生向け震災関連図書リスト」をホームページに掲載した。
http://www.library.pref.iwate.jp/books/booklist/list/201406_jidou_sinsai.html

 10月28日,岩手県立図書館が震災関連の雑誌記事索引を公開した。
https://www.library.pref.iwate.jp/0311jisin/index.html
https://www.library.pref.iwate.jp/0311jisin/magindex/index.html
https://www.library.pref.iwate.jp/0311jisin/magindex/search.html

●デジタルアーカイブに関する動き

 8月5日,赤十字原子力災害情報センターのデジタルアーカイブで,企画展「赤十字すまいるぱーく」を公開した。
http://ndrc.jrc.or.jp/special/2894/

 9月12日,宮城県東松島市図書館が,ICT地域の絆保存プロジェクト「東日本大震災を語り継ぐ」事業の取り組みとして,QRコードを読み取ることで被災した市内の状況を示す写真や,被災者の体験談などを視聴すること ができる「まちなか震災アーカイブ」の協力事業者の募集を開始した。
http://www.lib-city-hm.jp/lib/2012ICT/21014kokuchi/machinaka_bosyu.pdf

 10月15日,独立行政法人産業総合研究所が「津波堆積物データベース」を公開した。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2014/pr20141014_2/pr20141014_2.html
https://gbank.gsj.jp/tsunami_deposit_db/

 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)に,新規コンテンツとして, 国土地理院が2011年5月から2012年4月の間に撮影した東北地方太平洋沖地震による被災地域の空中写真(8月27日),「3がつ11にちをわすれないためにセンター」所蔵の東日本大震災やその後の復旧・復興の様子を伝える写真や映像が含まれる記事(10月1日),日本財団が開催した東日本大震災に関する写真・動画コンクールの応募作品(10月23日)が追加された。
http://kn.ndl.go.jp/information/321
http://kn.ndl.go.jp/information/330
http://kn.ndl.go.jp/information/328
 
●資料保存に関する動き

 9月19日,国立国会図書館が,岩手県指定有形文化財「吉田家文書」の修復作業を終了し,岩手県立博物館へ搬入した。これは,東日本大震災復興支援活動の一環として実施していたものである。
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2014/1207233_1829.html
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2014/__icsFiles/afieldfile/2014/09/17/pr140919.pdf
https://www.facebook.com/yoshidakeshufuku

●展示

 9月17日から11月3日にかけて,宮城県気仙沼市のリアス・アーク美術館が,開館20周年記念特別展として,「震災と表現:共有するためのメタファー」を開催した。10月19日には,シンポジウム「震災と表現 美術の社会的役割について」を開催した。
http://www.riasark.com/modules/news/article.php?storyid=139
http://www.riasark.com/PDF/20th%20sinsai%20to%20hyougen%20tirasi.pdf

 11月1日から12月25日まで,岩手県立図書館で,日本赤十字社岩手県支部が行う東日本大震災復興支援事業の今と,日本赤十字社のこれまでの歩み,国際活動を紹介する特別展示「人間を救うのは,人間だ。」を開催している。
http://www.library.pref.iwate.jp/info/evecale/event/20141101_jrc.html
http://www.iwate.jrc.or.jp/2014/10/post-4198/

 11月1日から11月8日にかけて,大阪市公文書館(大阪府)において「大阪の災害~復興と防災のあゆみ~」が開催された。東日本大震災での救援活動に関する資料等も展示された。
http://www.city.osaka.lg.jp/somu/page/0000009521.html

●イベント,講演会,講習会,研究会など

 8月20日,国立国会図書館は,岩手県庁において,講習会「東日本大震災に関する書類・写真・動画の整理・保存講習会~被災支援活動の経験・ノウハウを活かすために~ 」を開催し,9月22日には,講義資料やプレゼンテーション資料,および動画等を国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)に掲載した。
http://kn.ndl.go.jp/information/323
http://kn.ndl.go.jp/information/310

 10月21日,独立行政法人国立文化財機構が,旧「東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会」の構成団体を中心とした文化遺産防災ネットワーク推進会議(第1回)を開催した。
http://www.nich.go.jp/news/news/2014/10/141021bosaikaigi.html

 10月30日,東日本大震災が起こって以降の博物館・美術館・資料館の防災に向けての取り組みの一環として,東京都三多摩公立博物館協議会・国文学研究資料館3研究グループ主催のシンポジウム「多摩地域の博物館・資料館・美術館における防災と地域連携」が開催された。
http://tamahaku.jp/prt/#act458
https://asp.jcity.co.jp/FORM/?UserID=par&formid=332

 11月6日,第16回図書館総合展において,フォーラム「これからの福島の図書館を考える」が二部構成で開催された。
http://2014.libraryfair.jp/node/2119
http://2014.libraryfair.jp/node/2120
 
 11月7日,国立国会図書館は,第16回図書館総合展において,フォーラム「東日本大震災に関する記録の収集・整理・保存について―国立国会図書館・大学図書館・県立図書館の取組―」を開催し,11月20日,資料をホームページに掲載した。
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/lff2014.html
http://kn.ndl.go.jp/information/324
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2014/1208104_1829.html

 11月15日,日本ペンクラブが主催するフォーラム「ポスト3.11 子どもたちの未来,子どもの本の未来」が開催された。
http://www.japanpen.or.jp/news/311_1.html
http://www.japanpen.or.jp/ポスト3.11(Web用).pdf

●刊行物

『情報の科学と技術』64巻9号(2014年9月)が,「震災アーカイブ」特集を掲載した。
http://www.infosta.or.jp/journals/201409-ja/

 福島県立図書館職員が「東日本大震災福島県復興ライブラリー」の資料を実際に読み,感じたことを伝えるブックガイドのNo.10を9月4日に,No.11を 10月31日に公開した。
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/fukkolib/pdf/guide10.pdf
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/fukkolib/pdf/guide11.pdf

『図書館文化史研究』31巻(2014年9月)に佐藤大介による「特別講演 災害を超え,よみがえる仙台の文字文化:歴史資料保全活動10年の軌跡」が掲載された。
http://id.ndl.go.jp/bib/025842780

『薬学図書館』59巻4号(2014年10月)に市東礼位子による「『saveMLAK報告会2014:社会教育・文化施設の救援・復興支援』参加記」が掲載された。
http://id.ndl.go.jp/bib/025879442


『国立国会図書館月報』644号(2014年11月)に,東日本大震災で被災した古文書「吉田家文書」の修復作業の終了報告「TOPIC 東日本大震災で被災した古文書『吉田家文書』の修復が終了しました」が掲載された。
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8802912_po_geppo1411.pdf?contentNo=1

●その他

 11月4日,2014年度のグッドデザイン特別賞が発表され,宮城県亘理郡山元町で活動する災害ボランティア「思い出サルベージ」がグッドデザイン金賞を受賞した。
http://www.g-mark.org/award/describe/41861

 11月11日,山形国際ドキュメンタリー映画祭が,同映画祭で上映した東日本大震災の記録映画を保存し,館内に限っての試聴用DVDの個人視聴の場を提供するアーカイブ「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」を設立すると発表した。
http://www.yidff.jp/news/14/141110.html
 

                                            関西館図書館協力課調査情報係