アーカイブ - 2020年 7月 - car

7月 28日

全国の自然史系博物館・大学による令和2年7月豪雨の被害を受けた人吉城歴史館(熊本県)所蔵の植物標本レスキュー支援活動が開始

2020年7月28日、全国の自然史系博物館・大学による令和2年7月豪雨の被害を受けた人吉城歴史館(熊本県)所蔵の植物標本のレスキュー支援活動の開始が発表されています。

同館所蔵の前原勘次郎氏が採集した植物標本が令和2年7月豪雨により水損被害受けたことから、人吉市の依頼により、熊本県および熊本県博物館ネットワークセンターがこの標本を搬出しましたが、水損した標本の数が約3万点という膨大な量であることから、迅速な保存処理を行うために、「植物系学芸員メーリングリスト」などを通じ全国の自然史関係機関に協力を依頼したところ、国立科学博物館が、東日本大震災時の被災標本修復を担った岩手県立博物館や西日本自然史系博物館ネットワーク等と連携して全国での分散対処の調整を行って、各機関が協働し水損した標本の修復に取り掛かるものです。

貴重な標本を救え!!全国の自然史系博物館・大学による「令和2年7月豪雨」植物標本レスキュー支援活動について(国立科学博物館,2020/7/28)[PDF:2ページ]
https://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/430769.pdf

【イベント】2020年度第1回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:研究データ公開の意義」(8/28・オンライン)

2020年8月28日、2020年度第1回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:研究データ公開の意義」が、ウェブ会議システムZoomによるオンラインセミナーとして開催されます。

2020年度のJ-STAGEセミナーは、オープンサイエンスの進展や研究不正の防止といった観点で、研究データの公開を重視する動きが増えていることから、年間テーマを「ジャーナルから見た研究データ」と定め、論文根拠データの公開に関する情報提供が実施される予定です。第1回セミナーでは、「研究データ公開の意義」をテーマに、研究データ公開が学術コミュニケーションにもたらす変化や、海外ジャーナルの動向等についての解説と共に、論文著者の研究データ公開に関する実践事例の紹介が行われます。

参加無料ですが事前申込が必要です。主な内容は以下のとおりです。

・開会挨拶

・「研究データ公開が学術コミュニケーションにもたらす変化」 (仮)
 倉田敬子氏(慶應義塾大学)

・「Research data and scholarly journals: developments, policy and implementation」
 Dugald McGlashan氏(INLEXIO)

東京大学総合図書館、公開済の「ピラネージ画像データベース」に検索機能・画像に関するデータ等を追加した「拡張版」を公開

2020年7月22日、東京大学総合図書館は、2019年9月にリニューアル公開済の同館所蔵貴重図書コレクション『ピラネージ版画集』をデジタル化した「ピラネージ画像データベース」について、検索機能・画像に関するデータ等を追加した拡張版を公開したことを発表しました。

「ピラネージ画像データベース」のオリジナル版は、1999年度から2003年度に実施された特別推進研究(COE)「象形文化の継承と創成に関する研究」により構築・公開されました。2019年9月に、東京大学総合図書館がこれを引き継いで、システム運用上の問題から公開が停止していた同データベースについて、画像とメタデータのみ提供する「シンプル版」として公開しました。その後、COEの当時の従事者から協力を得たことにより、オリジナル版の公開当初に提供されていた機能を全て搭載した「拡張版」公開が可能になった、としています。

国際NGO組織NAPLE、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた欧州の公共図書館のサービス再開方針等を調査したレポートを公開

2020年7月16日、欧州の公共図書館政策担当局による国際NGO組織National Authorities for Public Libraries in Europe(NAPLE)はTwitterアカウントによる投稿で、欧州の公共図書館に関する新たなレポートを公開したことを発表しました。

NAPLEは2020年4月付で加盟20か国のメンバーから得られた回答に基づいて、新型コロナウイルス感染症の影響による図書館の休館状況、スタッフの勤務状況等を取り上げたレポートを公開しました。前回のレポートの公開後にサービス再開に向けた動きの進展が見られたことを考慮して、2020年7月3日まで実施されたフォローアップ調査が行われ、公開された2020年7月15日付の今回のレポートはこのフォローアップ調査で得られた回答に基づいて作成されています。

公開されたレポートは、図書館施設の再開、安全対策、検疫、その他の課題や考慮事項の4つのテーマに分けて構成されています。フォローアップ調査の結果に基づいて次のようなことが報告されています。

・多くの国で、図書館施設の再開館は2020年4月から5月の間に段階的に実施された

国際連合(UN)、「持続可能な開発目標(SDGs)」のための科学技術・イノベーション促進を目的としたオンラインプラットフォーム“2030 Connect”を公開

2020年7月15日、国際連合(UN)は、「持続可能な開発目標(SDGs)」のための科学技術・イノベーション促進を目的としたオンラインプラットフォームとして、“2030 Connect”を公開したことを発表しました。

“2030 Connect”は、国際連合の加盟国によるSDGsの進展の促進に対する要請に応えたプラットフォームとして構築され、SDGs達成のための呼びかけとして事務総長名で2020年1月に発表された「行動の10年(Decade of Action)」を支える重要なツールに位置づけられています。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、世界の全ての地域において政府やその他の意思決定者が必要なリソースにアクセスし、科学技術・イノベーションに全ての力を注がなければ達成できないことがプラットフォーム構築の背景として説明されています。

7月 27日

オーストラリア図書館協会(ALIA)、新型コロナウイルス感染症感染拡大による外出規制中の公共図書館の活動に関する調査結果を公開

2020年7月21日、オーストラリア図書館協会(ALIA)は、新型コロナウイルス感染症感染拡大による外出規制が行われた2020年4月における、公共図書館の活動に関する調査結果についての記事を掲載しました。

同調査は、2020年5月18日から7月10日にかけて、同国内の公共図書館を対象としたものであり、4つの州および2つの地域から93件の回答がありました。

報告書には、多くの館で電子書籍の貸出件数が増加したこと、大半の館で閉館期間中はアウトリーチサービスが拡充されたこと、ミステリーボックスをはじめとした資料提供の工夫が行われたこと、イベントがオンライン開催に移行したこと等の内容が記載されています。その他、調査時に寄せられたコメントについて、サービスのデジタル提供への移行等のトピックごとにまとめられています。

報告書は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC BY-NC-SAで公開されています。

新型コロナウイルス感染症感染拡大下のアフリカ系アメリカ人に関するコンテンツのガイド(記事紹介)

2020年7月17日、米国・ハーバード大学の学生新聞である“Harvard Crimson”に、同大学図書館が、新型コロナウイルス感染症感染拡大のアフリカ系アメリカ人への影響に関するオープンアクセスのコンテンツを収集し、新たな調べ方ガイドのページを公開したという記事が掲載されました。

記事によると、同大学教育大学院や同大学内の多様性に関する組織“President's Office for Diversity, Inclusion, and Belonging”、人種差別解消に取り組む“Charles Hamilton Houston Institute for Race and Justice”と協力し作成されたものであり、公開以降のアクセス数は8,000以上です。同ガイドは、19のトピックについての記事やポッドキャストをはじめとしたコンテンツを集めたものです。トピックには、「労働と経済(Labor & Economy)」、「メディア、テレビ、劇場、映画(Media, Television, Theater, & Film)」等があります。

米・ブラウン大学デジタル出版イニシアティブ、同大学初のボーンデジタルの学術単行書を米・ヴァージニア大学出版局から出版

2020年7月21日、米・ブラウン大学は、同大学デジタル出版イニシアティブ(Digital Publications Initiative)作成のボーンデジタルの学術単行書“Furnace and Fugue”が、米・ヴァージニア大学出版局から出版されたことを発表しました。

発表によると、同大学にとって初のボーンデジタルの学術単行書であり、テキストと画像、楽譜、音声が含まれています。同出版局は、同書をオープンアクセスで公開する予定としています。

また、同大学では、デジタルでの単行書の出版について、新たな学術的形式の構築および検証が行われています。同イニシアティブは、2021年にボーンデジタルの単行書1冊を米・スタンフォード大学出版局から出版予定であり、アンドリュー・W・メロン財団の助成を受けて、今後6年間で4つから5つの新たなプロジェクトの追加を計画しています。

デジタル保存に関するイベント“#WeMissiPRES”が2020年9月にオンラインで開催:無料で参加可能

英・電子情報保存連合(DPC)のウェブサイトで、デジタル保存に関するイベント“#WeMissiPRES”の開催が紹介されています。

“#WeMissiPRES”は、オランダデジタル遺産ネットワーク(Dutch Digital Heritage Network)、DPC、中国科学院文献情報センターの主催により、2020年9月22日から24日にかけてオンラインで開催されます。2020年9月に中国・北京で開催予定であった第17回電子情報保存に関する国際会議(iPRES)が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により2021年10月に延期されたことを受け、iPRES2019以降の進捗の共有やコミュニティ間での意見交換等を行う場として設けられるものです。

2020年8月19日までの期間、予め提示されている3テーマのいずれかに沿った発表の応募を受け付けているほか、2020年9月2日には参加登録が開始されます。なお、参加は無料となっています。

#WeMissiPRES(DPC)
https://www.dpconline.org/events/wemissipres

内閣府、「統合イノベーション戦略2020」を公表

内閣府が2020年7月17日に閣議決定された「統合イノベーション戦略2020」を公表しています。

「統合イノベーション戦略2020」は、新型コロナウイルス感染症の拡大や大規模災害の発生、イノベーションをめぐる覇権争いの激化など、国内外の状況が著しく変化したこと、また、第201回国会において、人文・社会科学やイノベーションの概念を追加する改正科学技術基本法が成立したことを踏まえて、重点的に取り組むべき施策として策定されました。以下の4点が戦略の柱として盛り込まれています。

① 新型コロナウイルス感染症により直面する難局への対応と持続的かつ強靭な社会・経済構造の構築
② スタートアップ・エコシステム拠点都市の形成やスマートシティの実現と国際展開などの推進
③ 研究力を強化するための若手研究者の挑戦支援や、大学等の間での連携による世界に伍する規模のファンドの創設、人文・社会科学の更なる振興
④ AI、バイオ、量子技術、マテリアルといった基盤技術や、感染症や自然災害などに対する安全・安心に関する科学技術、環境エネルギーなど重要分野の取組の強化

米・ネバダ大学リノ校図書館、1870年から1988年までに作成されたネバダ州の土地測量図約3,000点をデジタルアーカイブコレクションに追加

2020年7月13日、米国のネバダ大学リノ校は、1870年から1988年までに作成されたネバダ州の土地測量図(plat map)約3,000点を同校図書館がデジタルアーカイブコレクションに追加したことを発表しました。

同館の追加した土地測量図は大半が1930年以前に作成されたものであり、同州の土地区画整理のための土地測量士による手書き・着色の跡が保存されています。同校のお知らせでは、ネバダ州の歴史とともに地図製作の技術の記録された貴重な資料群であることが紹介されています。同校の図書館は資料群のデジタルアーカイブへの追加にあたって、各土地測量図のメタデータの充実を図り、ユーザーは測量区画や測量士等による検索フィルターの利用が可能となっています。

これらの土地測量図は、同館デジタルアーカイブ内のネバダ州公有地管理局の地図類を収録したコレクション“State Land Office Maps”で利用できます。

韓国・文化体育観光部、新型コロナウイルス感染症対策のための図書館分野の第3次補正38億7,900万ウォンの内容を発表:非対面サービスの拡充・障害者用資料の作成

2020年7月23日、韓国・文化体育観光部は、新型コロナウイルス感染症対応のための図書館分野の第3次補正38億7,900万ウォンの内容を発表しました。

社会的に距離を置く、生活防疫という政府の措置に準拠する事を目的に、公共図書館での非対面サービスを重点的に支援するために25億6,500万ウォンが支出されます。ドライブスルーでの貸出、郵送貸出、予約貸出、地域書店希望図書貸出担当者の育成支援による安全な図書館利用環境の整備や国民の文化享受機会の拡大への寄与に加え、雇用創出による新型コロナウイルス感染症により沈滞した地域経済の活性化が期待されています。

また、非対面学習の拡大に対応するため、障害のある児童・生徒・学生用オンラインコンテンツの作成用として13億1,400万ウォンが支出されます。小・中・高等学校の必読図書や教科書掲載の文学作品など約2,000件の手話映像図書や電子書籍の作成が予定されています。また、作成にあたっては、就職が困難な、結婚や出産・育児などを理由に仕事を辞めた女性や障害者などを採用することで雇用を創出することも意図されています。

米国出版協会(AAP)、2020年5月期の参加出版社の収益を公表:出版業界全体としては前年同期比12.1%減の約10億ドル、電子書籍・オーディオブックの収益は増加

2020年7月13日、米国出版協会(AAP)は2020年5月期の参加出版社の収益を反映した統計レポートを公表しました。

統計レポートでは、2020年5月の総収益は約10億ドルで2019年5月期から12.1%減少し、1月から5月までの累積収益についても約43憶ドルで2019年の同時期から4.5%減少したことが報告されています。また、分野別の動向として、主に以下のことが報告されています。

・消費者向け出版物(Trade)については、前年同期比で7.9%減の6億3580万ドル、1月から5月までの累積収益でも、2019年の同時期と比較して1.5%減の28億ドルであった

・2020年5月期は、ハードカバーの収益が前年同期比18.5%の減少、ペーパーバックの収益が前年同期比16.9%の減少となったことをはじめ、1月から5月までの累積収益も含めて紙媒体の書籍の収益は全て2019年の同時期を下回った

・2020年5月の電子書籍の収益は前年同期比39.2%の増加となる1億1,300万ドルに達し、1月から5月までの累積収益でも2019年から7.3%の増加となった

Public Knowledge、図書館による自由な電子書籍の購入・貸出等の法制化を求めるキャンペーン“Tell Congress to Let Libraries Fight Back”を開始

オープンなインターネット空間促進のために活動する米国の非営利の公益団体Public Knowledgeは、2020年7月1日付のブログ記事において、図書館による自由な電子書籍の購入・貸出等の法制化を求めるキャンペーン“Tell Congress to Let Libraries Fight Back”の開始を発表しました。

Public Knowledgeは、購入・貸出等を通した図書館の使命と著作権システムとは、数世紀にわたって良好な共存関係を築いていたものの、電子資料の普及によって従来の関係の維持が困難となり、利用可能な期間や購入可能なタイトルに著しい制限の付いたタイトルを消費者価格の3倍から5倍の価格で図書館が購入しなければならないなど、出版社に有利な状況に傾いていることを指摘しています。また、冊子体書籍の貸出について、図書館が所蔵資料をデジタル化し“Controlled Digital Lending”技術によって「一部1ユーザー」で貸出する動きがInternet Archive(IA)を中心に進展しており、これは新型コロナウイルス感染症拡大に伴う物理的な図書館の相次ぐ閉館で表面化したように、低所得者などコミュニティの周縁に属する人々への情報アクセス手段として不可欠なものとなっていることを紹介しています。

稲城市立中央図書館(東京都)、「Zoomでミニビブリオバトル」を開催

2020年8月10日、東京都の稲城市立中央図書館が、ウェブ会議サービスZoomを使ってビブリオバトルを行う「Zoomでミニビブリオバトル」を開催します。

定員は5人で、参加にはビデオ通話のできる環境が必要です。参加申込者に対して招待メールが送られます。

【中央】Zoomでミニビブリオバトル(稲城市立図書館,2020/7/23)
http://www.library.inagi.tokyo.jp/index.php?key=joapuw1c1-554#_554

Zoomでミニビブリオバトル 進め方[PDF:1ページ]
http://www.library.inagi.tokyo.jp/?action=common_download_main&upload_id=5517

全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)、「令和2年7月豪雨関連ページ」を開設

2020年7月22日、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)が、「令和2年7月豪雨関連ページ」を開設しました。

九州・長野・岐阜地区の資料保存利用機関等の状況確認結果や、資料保全活動に役立つ情報へのリンクが掲載されています。

全史料協 新着情報
http://www.jsai.jp/
※2020.7.22欄に「令和2年7月豪雨関連ページを公開しました」とあります。

令和2年7月豪雨関連(全史料協) 
http://www.jsai.jp/rescueA/202007rain/index.html

参考:
日本図書館協会(JLA)図書館災害対策委員会、令和2年7月豪雨に関する情報を掲載
Posted 2020年7月15日
https://current.ndl.go.jp/node/41503

7月 22日

京都大学、同大学構内に所在する登録有形文化財「尊攘堂」及び構内遺跡の調査・研究成果のオンライン公開を開始

2020年7月22日、京都大学は、同大学文学研究科附属文化遺産学・人文知連携センターのウェブサイトにおいて、同大学構内に所在する登録有形文化財「尊攘堂」のパノラマツアー、及び同大学構内遺跡の調査・研究成果映像資料のオンライン公開を開始したことを発表しました。

同センター・京大文化遺産調査活用部門の資料室として、同大学構内における埋蔵文化財調査成果の保存・展示目的に使用されている尊攘堂は、2018年6月の大阪北部を震源とする地震で内部が損傷したことから閉室し、修復工事が進められていました。修復工事の完了により、2020年3月にリニューアル開室が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で現在も公開を見合わせていることから、360度のパノラマ写真を用いてリニューアル後の尊攘堂内部をオンラインで観覧可能な「尊攘堂パノラマツアー」が公開されました。「尊攘堂パノラマツアー」では、主要な展示品について詳細な画像と解説文とともに観覧することが可能となっています。また、同大学構内に所在する遺跡の調査・研究成果を一般向けに紹介する映像として、「京都大学キャンパスの遺跡」もオンラインで公開されています。

京都大学は、これらのオンライン公開は、同大学が遺跡の上に建つ大学であることの周知と、文化遺産への理解の啓発が目的である、としています。

cOAlition S、欧州研究評議会(ERC)科学評議会のオープンアクセスとPlan Sへの声明に対する返答を公表

2020年7月21日、cOAlition Sは、欧州研究評議会(ERC)の科学評議会(Scientific Council)によるオープンアクセスとPlan Sへの声明に対する返答を公表しました。

声明では、過去20年間にわたってハイブリッドジャーナルへの支援がオープンアクセスの速やかな進展を妨げてきたこと、転換契約がないハイブリッドジャーナルには出版社の二重取り(double-dipping)を阻止する手段がないことが指摘されています。

さらに、ハイブリッドジャーナルの現状を維持することは、潤沢な研究資金が与えられている研究者のみがハイブリッドジャーナルでのOA出版に要する費用を調達できることから、欧州の研究者間の不平等を悪化させると述べられています。リポジトリへの登録によるPlan Sへの準拠を可能とする権利保持戦略が存在することから、研究者はハイブリッド型を含むいずれのジャーナルも選択することが可能であると指摘しています。

また、cOAlition Sは若手研究者の懸念に特に注意を払っており、若手研究者を支援する機関との緊密に協働していることが述べられています。

ドイツの電子情報長期保存プロジェクトnestor、OAIS参照モデルの情報生産者からアーカイブへの提出用情報パッケージSIP形成における原則を示した手引きを公開

2020年7月20日、ドイツの電子情報長期保存プロジェクトnestorはTwitterアカウントによる投稿で、同プロジェクトが刊行するnestor-materialienシリーズの新しいタイトルとして“Grundsätze zur SIP-Bildung”を公開したことを発表しました。

“Grundsätze zur SIP-Bildung”は、OAIS参照モデルの情報生産者からアーカイブへの提出用情報パッケージであるSubmission Information Package(SIP)の形成において、その具体化のための原則を示した手引きとして、nestorのワーキンググループが作成しました。電子情報の長期保存においてSIP提出後の処理を容易化するために、オリジナルの情報パッケージとSIPとが近似し、かつ標準的な形で設計されることが望ましいとして、これを達成するための原則として以下の5つを挙げています。

1. 一般原則
2. 情報パッケージ特定のための原則
3. 情報パッケージの構造
4. 情報パッケージのメタデータ
5. 情報パッケージの真正性と完全性

手引きではこれらの5原則の具体化に必要なアプローチについて、個々に要求レベルを示しながら解説しています。

大学図書館でも広がる「シードライブラリー」の取り組み(米国)(文献紹介)

2020年7月15日付で、米・ニューヨーク市立大学の図書館協会が発行するオープンアクセス誌“Urban Library Journal”Vol.26, Issue 1(2020年)収録の論文として、米国テネシー州ノックスビルの2大学の図書館における「シードライブラリー」の取り組みを紹介した論文が公開されています。

米国では、果物・野菜・ハーブ・花などの種子を貸出等によってコミュニティに提供し、健康で持続的な発展を促す「シードライブラリー」の取り組みが、公共図書館を中心に広く展開されています。公開された論文では、これまで学術文献上で言及の少なかった学術機関の図書館の取り組みに着目し、テネシー州の第3都市ノックスビルに所在するペリシッピ・ステート・コミュニティ・カレッジ(Pellissippi State Community College:PSCC)と、同州を代表する研究機関であるテネシー大学ノックスビル校の2大学の図書館における「シードライブラリー」が採りあげられています。同論文の目的は、同一都市内の規模や使命の異なる2大学の取り組みを事例として紹介することで、食料へのアクセス、持続的なコミュニティの形成、学生の学習等に貢献する「シードライブラリー」の他の高等教育機関での設立の検討に資するようなケーススタディを提供することである、と説明されています。

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