2012年5月3日、オランダのSURF財団が、アムステルダム大学出版局とライデン大学の科学技術研究センター(Centre for Science and Technology Studies)とともに、政府機関の助成を受けて、新規に刊行されるオープンアクセス雑誌の質測定指標の開発を行っていると発表しています。開発中の指標は、2012年10月のオープンアクセスウィークの期間中に、研究助成団体の代表等からなる国際的な専門家フォーラムによって評価が行われ、その場での意見を踏まえた上で公開されることになるようです。
2012年5月14日付けのLibrary as Incubator Projectの記事によると、“Wikipaintings”という、絵画、特に古典・現代芸術に焦点をあてたオンライン百科事典があるようです。“Wikipaintings”の各項目は、作家名、作品名、芸術潮流、技術、ジャンル、グループ、スタイルから検索可能となっています。このウェブサイトの目的は、高品質の画像をダウンロードできるということではなく、自分のお気に入りの作家や作品の情報を調べたり、インスピレーションを受けるためにあるとされています。なお、ウェブサイトの「ウィキ」的側面、すなわち利用者自身が編集したりする機能については現在構築中とのことです。
Google Scholarの新インタフェースがリリースされました。2004年のデビュー以来のインタフェースをテスト及びユーザフィードバックを経て改善したもので、絞り込み機能がサイドバーへ移動し、詳細検索へのリンクが検索ボックス内に統合されたほか、出版年の範囲指定が可能になったり「特許を含める」というチェックボックスが登場しており、他にも様々な変更点が加わっているようです。Google Scholarにアクセスすると「新しいモダン スタイルをお試しください」というメッセージが表示され、クリックすることで新しいインタフェースに切り替えることができます。切替後も、旧版のインタフェースに戻すことが可能のようです。
米国の美術研究機関であるGetty Research Instituteが、2012年5月31日に、“Getty Research Portal”を公開すると発表しています。この“Getty Research Portal”は、デジタル化された美学・美術史関係テキストのメタデータを集めたゲートウェイサイトとして、世界中の関係機関の資料を調査できるとともに、フリーダウンロード可能なデジタル化資料へのリンクも提供するものとなるようです。Getty Research Instituteは、“Getty Research Portal”が、美術史研究者、キュレーター、学生等にとって、世界のアートライブラリーに足を運ばなくとも、貴重な研究資料を調べることができるとしています。
ルーマニアのブラショフ郡図書館が、公共図書館と学校との連携を模索するモデルプログラムとして“Digifolio”というプロジェクトを実施していたようです。このプロジェクトを紹介している、欧州の公共図書館政策担当局による国際NGO組織National Authorities for Public Libraries in Europe(NAPLE)のブログによると、Digifolioでは、62人の生徒に対して3か月間、eポートフォリオ(学習者の学習経験およびその結果身に付けた能力などの証拠となる、学習者が作成した一連のデジタル形態の学習成果物を指す)の作成方法や、それを通じたマルチメディアでのコミュニケーションスキル、YouTube等のWeb2.0のツールや、デジタルレコーダーやスキャナ等の関連機器の使用方法について教えたようです。Digifolioのウェブサイトでは、プロジェクトの成果物等が公開されています。
米国のカンザス州にあるトペカ・ショーニー郡図書館(Topeka & Shawnee County Public Library)が“Community Novel Project”というプロジェクトを行なっているようです。これは、地域の住民を巻き込んで1冊の小説を書きあげるという内容で、各章ごとに著者を募り、トペカを舞台として、地域の有名な場所等を盛り込んだ物語を書いてもらうというものです。2012年4月に開始し、現在は第1章及び第2章が同館のウェブサイト公開されており、8月の完成が目標のようです。完成の暁には電子書籍及び紙の書籍として刊行する予定とのことです。
米国のNPO・EDUCAUSEが、2012年5月2日付けで、“Game Changers: Education and Information Technologies”と題した書籍のPDFを公開しました。大学の学長や教員、その他関係者によって執筆された、ITと教育に関する17の論考と21のケーススタディがまとめられたものです。
PLoS ONE出版代表のPeter Binfield氏が、2012年5月18日でPLoSを去り、オープンアクセス出版社“PeerJ”を立ち上げるそうです。同社が2012年秋に創刊する予定の査読付きオープンアクセス誌では、論文ごとに投稿料を支払うのではなく、99ドルの会費を支払うことで生涯投稿が可能になるというモデルを採用するようです。この価格設定について、PeerJのウェブサイトには「100ドルでヒトゲノム解析ができることが目標とされているのなら、学術出版でも同じことができるのではないか」(If we can set a goal to sequence the human genome for $100, then why can't we do the same for academic publishing?)と書かれています。ブログ“Scholarly Kitchen”が“The Open Access Price Wars Have Begun”と題した記事でこの動きを取り上げています。