英国のJISC infoNetが、国内の大学が「情報自由法」(Freedom Of Information Act)に基づく情報公開請求に対して払っているコストを調査し、その結果をまとめた報告書を公表しています。この法律は英国で2000年に可決・成立、2005年1月1日に施行されたものです。同調査で7つの機関において公開請求を処理するのにかかった時間を調べた結果、所要時間は平均で5時間2分で、費用にして99.40ポンド(人件費を含めると121.27ポンド)だったそうです。
2012年4月11日付けでAmerican Libraries誌に掲載されている、米国の移動図書館サービスに関する“Bookmobiles: A Proud History, a Promising Future”という記事の内容を紹介します。移動図書館の歴史は1850年代の英国で始まり、当時は馬によって図書を運んでいました。米国では1905年にメリーランド州ワシントン郡においてMary Lemist Titcomb氏が始めたのが最初と言われています。現在米国では900を超える移動図書館が稼働しており、近年ではコンピュータやインターネット、ゲームや電子書籍を提供するものも出てくるなど、新たなサービスが生まれています。例えば、メンフィス公共図書館では就職支援サービスを、エル・パソ公共図書館では“American Dream Starts @ your library”の助成を受けて貧困地区に対してインターネット接続を提供しています。同じ助成を受けているサレム郡の移動図書館は移民へのサービスを意識してコンビニや教会も停留所に追加しました。記事は、移動図書館サービスは誇るべき遺産を持っており、今日まで続いていると締めくくられています。4月11日は、2012年の全米移動図書館の日でした。
2012年4月12日、米国ニューヨーク市のクイーンズ図書館で電子書籍リーダーの貸出を行うパイロットプログラムが開始しました。バーンズ&ノーブル社製のNookが50台用意され、ベストセラー、ロマンス、ミステリー、ティーンズ・子ども向けという5つのジャンルのうちのいずれかの電子書籍があらかじめ登載されています。無料で7日間借りることができ、2回まで延長できます。Wall Street Journal誌では、同市にある全ての公共図書館システム(クイーンズ図書館、ブルックリン公共図書館、ニューヨーク公共図書館の3つ)はすでに利用者自身の端末等への電子書籍貸出サービスを行っていますが、電子書籍リーダーの貸出は同市の公共図書館で初めての事例だと報じられています。
米国のニューヨーク公共図書館が、同館の所蔵する歴史的資料のデジタル化プロジェクトを実施しています。デジタル化の対象は“Thomas Addis Emmet Collection”及び“Henry W. and Albert A. Berg Collection”というコレクションの資料で、総量はそれぞれ、手稿11,000点及び35,000ページと見積もられています。デジタル化される資料の例として、ジョージ・ワシントンの手紙やヘンリー・デイヴィッド・ソローの手書き地図、マーク・トウェイン『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』の直筆原稿等が紹介されています。このプロジェクトは2012年1月に開始され2014年まで続く予定とされており、費用の100万ドルのうち50万ドルは英国のポロンスキー財団からの寄付が用いられ、残り50万ドルも同様の寄付によって賄われるそうです。
トムソン・ロイター(Thomson Reuters)社が、同社の学術情報データベースWeb of Scienceの引用情報等を元に決定した、2011年の「最も注目を集めた研究者」と「最多引用論文」を発表しました。「ホットペーパー」として選ばれた論文の多さで決まる「最も注目を集めた研究者」の世界5位には理化学研究所植物科学研究センター長の篠崎一雄氏が、「最多引用論文」の世界1位にはテキサス大学教授の小松英一郎氏が選ばれています。
2012年4月12日、米Amazon.comが、同社のクラウドサービス“Amazon Web Services”の新サービスとして、“Amazon CloudSearch”という検索サービスのベータ版を発表しました。これは、検索させたいデータをアップロードすると、Amazon CloudSearch側でインデクスが作成され、それらのデータを対象とした検索サービスが提供されるというもののようです。
図書館におけるITやウェブの活用をテーマとした書籍シリーズ“The Tech Set”の続編が近々出版されるそうです。今シリーズで刊行されるのは以下の10点で、それぞれ、クラウド、モバイル、位置情報に基づくサービスとQRコード、Drupal、ソーシャルメディア、次世代図書館リデザイン、スクリーンキャスト、ユーザエクスペリエンス(UX)、インスタントメッセンジャーによるレファレンス、セマンティックウェブとソーシャル検索、というトピックスが扱われています。ALA TechSourceによる紹介記事には、まとめ買い用の割引クーポンのコードも掲載されています。なお、2010年に出版された前シリーズは米国図書館協会(ALA)の“ABC-CLIO/Greenwood Award for the Best Book in Library Literature”を受賞しており、また、出版元の米Neal-Schuman社は2011年12月にALA Publishingの傘下に入っています。
・Cloud Computing for Libraries
・Building Mobile Library Applications
・Location-Aware Services and QR Codes for Libraries
・Drupal in Libraries