米国図書館協会(ALA)が、2012年9月付けで、“E-Books And Libraries: An Economic Perspective”と題した報告書を公開しています。この報告書は、図書館における電子書籍の購入の現状について経済的な視点からの分析を試みたものです。本文では、紙書籍と電子書籍の違いや電子書籍の出版コストの分析、図書館側の事情についての解説などが行われています。また、15ページに掲載された表2では、図書館が電子書籍の購入意欲を促進/抑制する要因などについてまとめられています。
ドイツ図書館協会(Deutscher Bibliotheksverband)が、ドイツ国内の図書館の現況に関するレポート“Bericht zur Lage der Bibliotheken 2012”を2012年10月19日に公開しました。レポートは今回が3回目の発行で、公共図書館における電子書籍についての、同協会のポジションペーパーとして提示されたものです。レポートでは、地域の公共図書館財政が依然として不十分であるが、電子書籍の貸出のようなデジタル環境は投資なしには整備しえないことなどが書かれています。そのほかに、既存のモバイルサービス(バス方式の移動図書館)、新しく開発されたモバイルサービス(モバイル端末でアクセスできるマルチメディアのコンテンツ)、図書館利用の減少、図書館が他機関と多様な協力関係を結ぶ可能性などがトピックになっています。
2012年10月22日から28日にかけて、「オープンアクセスウィーク(Open Access Week)」として、世界各地でオープンアクセスに関連する様々なイベントが予定されています。オープンアクセスウィークは2007年に開始され、今年で6回目となります。今年のテーマは“Set the Default to Open Access(既定値をオープンアクセスにしよう)”です。デジタルリポジトリ連合(DRF)のウェブサイトには特設ページが用意され、各機関が作成したグッズや国内で開催されるイベントがまとめられています。
米国で、2012年9月19日から23日にかけて開催された白人以外の図書館員のカンファレンス“2012 Joint Conference of Librarians of Color ”(JCLC)がミズーリ州カンザスシティで開催されましたが、これについての記事が掲載されています。このカンファレンスはthe American Indian Library Association (AILA)、the Asian/Pacific American Librarians Association (APALA)、the Black Caucus of the American Library Association (BCALA)、the Chinese American Librarians Association (CALA)、the National Association to Promote Library and Information Services to Latinos and the Spanish Speaking (REFORMA)の共催によるものであり、この5団体が集まってカンファレンスを開催するのは2006年以来2度目であるとのことです。会場には、800人の図書館員が集まったとのことです。
2012年10月18日、国際博物館会議(ICOM)がシリアの危機的状況にある文化財リスト“Emergency Red List of Syrian Cultural Objects at Risk”の作成を開始したと発表しています。ICOMはこれまで同様のレッドリストを11点作成しており、2013年には、このシリア版に加え、現在作成中の西アフリカ版、ドミニカ共和国版が公開されるとのことです。ICOM代表のJulien Anfruns氏は、このレッドリストがシリアの文化遺産保護活動のレファレンスツールとなるだろうとしています。
2012年10月17日、米国のハーバード大学バークマンセンターのHarvard Open Access Projectが、10月22日から始まるオープンアクセスウィークを前に、大学のオープンアクセス(OA)方針の優良事例をまとめたWikiページを開設しました。OA方針の作成や採用、改善における推奨事例を集めたもので、ハーバード、スタンフォード、マサチューセッツ工科大学、カンザス大等の事例をベースにしたものとなっています。今後も更新を続けていくとのことです。
2012年10月17日、Amazon.com社が、学校や企業で大規模に導入したKindle機器の一括管理や電子書籍などコンテンツの一括配信を行うことのできる無料のオンラインツール“Whispercast for Kindle”を発表しました。Kindle以外にも、iPad、iPhone、Android端末、PC、MacなどにインストールしたKindleのアプリケーションにも対応しているということです。近いうちに個人所有の端末も管理対象に加えることができるようになる予定です(Bring Own Your Deviceへの対応)。