JSTORやPorticoを運営する米国の非営利団体ITHAKAの戦略・研究部門であるITHAKA S+Rが、研究者の行動の実状や今後の変化の方向性などを探ることを目的とした“Research Support Services for Scholars”というプログラムの開始を発表しました。研究者が、どのようにして、情報の発見や管理、コラボレーション、図書館利用、執筆、出版、などの活動を行っているかを調査し、それによって判明した研究者に求められているサポートを実施するための提言を発表する予定とのことです。現在は、英国情報システム合同委員会(JISC)と全米人文科学基金(NEH)の助成を受けて、化学と歴史学の研究者が対象になっているようです。
2003年にスタートしたオープンアクセス・ジャーナルのディレクトリであるDOAJ(Directory of Open Access Journals)の収録雑誌数が7,000誌を超えたそうです。そのうち45%のジャーナルは論文単位での検索が可能で、その数は60万件にのぼるそうです。また、DOAJのウェブサイトを英語以外の言語に翻訳する作業を行っており、フランス語とトルコ語でも表示できるようになったとのことです。
2011年9月15日、英国図書館が、孤児作品(Orphan Works)の著作権情報の明確化と大規模デジタル化をテーマにした研究レポート“Seeking New Landscapes: A rights clearance study in the context of mass digitisation of 140 books published between 1870 and 2010”を刊行しました。これは、欧州の孤児作品に関する著作権情報を明らかにするプロジェクト“Arrow Project”の一部として行われたもののようです。レポートは、著作権情報を明確にするプロセスを検証することを目的に行なわれ、1870年から2010年までに出版されたBL所蔵の140点の資料を用いて、資料の著作権状況の確認とそれが孤児作品であるかどうかの調査等が行われたようです。レポートでは、Arrowのシステムを使うことで著作権情報の確認に費やす時間を劇的に減らすことが可能であったこと、著作権保護対象と考えられる全作品のうち43%が孤児作品であったこと、孤児作品であるかどうかは出版社のタイプによって大きく左右されること、著作権保護対象の孤児作品が最も多かったのは1980年代であったこと等が明らかになったようです。