米国の視覚障害者団体である全米視覚障害者連合(National Federation of the Blind:NFB)が、米国議会図書館(LC)の視覚障害者及び身体障害者のための全国図書館サービス(National Library Service for the Blind and Physically Handicapped:NLS)と共同で、資料への新しいアクセス手段を提供するアプリケーション“NFB-NEWSLINE® NLS DTB Downloader”の提供を開始すると発表しています。このアプリケーションはNFBによる音声での新聞提供サービス“NFB-NEWSLINE®”の一つとして提供されており、インストールして起動しておくことで、利用者はコンテンツを、LCのデジタル録音図書(Digital Talking Book:DTB)プレイヤーで再生できるDAISY III形式でダウンロードして利用することができるとのことです。
マサチューセッツ工科大学の出版局(MIT Press)が「放課後プログラム、図書館、博物館におけるデジタルメディアとその技術」“Digital Media and Technology in Afterschool Programs, Libraries, and Museums”と題するレポートを公開しています(紙版は有料)。これは、放課後の学習プログラムや図書館、博物館が、生徒の課外学習をサポートするために、デジタルメディアをどのように利用したらよいのか、その方法等を考察したものとのことです。
米国コロラド州立図書館の調査部門ライブラリー・リサーチ・サービス(Library Research Service; LRS)が行った、図書館経営の民営化に関するウェブアンケート「60秒調査」(60-Second Survey)の調査結果の概要が公開されています。2,500以上の回答があり、これまでの60秒調査で最も回答が多かったとのことです。民営化の是非についての二者択一の問では、「利益追及が目的とならないよう公共部門に残すべき」が86%で、「コストが下がるのなら民営化すべき」は14%であったとのことです。また、公共図書館の各機能について公共部門が民間部門のどちらがよりよく達成できるかについての問では、ほとんどの機能について公共が民間を大きく上回っていますが、コスト削減や効率向上に関しては民間が公共を上回っています。自由記述の回答内容などを含めた詳細な結果は、今後公表される予定とのことです。
Results from the 60-Second Survey: Privatization of Public Libraries(2010/12/8付けLRSのブログの記事)
2010年12月21日に北米研究図書館協会(ARL)が、“Value, Outcomes, and Return on Investment of Academic Libraries;Lib-Value”というプロジェクトのウェブサイトを公開しました。米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)の支援を受けたこのLib-Valueは、研究図書館の価値と投資収益率(ROI)をテーマとした、2009年12月に始められた3年間の研究プロジェクトとのことです。Lib-Valueのウェブサイトでは、図書館の価値と投資収益率に関する文献のデータベース等が公開されているようです。
2010年12月20日、Googleがデジタル人文学の助成対象を新たに発表しました。これは7月14日に続いて2度目とのことで、今回は特に欧州の大学や研究機関の15名の研究者による、12件の研究プロジェクトに対して助成するようです。具体的には、ドイツのHumboldt-Universität zu BerlinやオランダのRadboud Universiteit、スロヴェニアのSlovenian Academy of Sciences and Arts, Jožef Stefan Institute、フランスのUniversité François Rabelais-Tours等が挙げられています。
学術出版大手のSpringer社が、同社の提供するAPIを使ったコンテスト“Springer API Challenge 1.0”を実施するとのことです。480万件の文献のメタデータを使用できる“Springer Metadata API”と、8万件のオープンアクセスの論文のフルテキストやメタデータなどを資料できる“Springer Open Access API”を利用した、非営利目的のアプリケーションを募集するとのことです。
Internet Archiveの運営する電子資料提供サイト“Open Library”の閲覧インターフェース“BookReader”がリニューアルされたとのことです。新たな機能として、ナビゲーションバー、ブラウザでの読み上げ機能、目次の自動生成などの追加やフルテキスト検索の改善などが行われたようです。“Open Library”では書籍ごとに「読む」「借りる」「買う」の3つの項目があり、その本の状態に応じて、可能な行動が示されます。「読む」ではPDF、テキスト、DAISY、EPUBなど各種ファイルがダウンロードでき、「借りる」ではWorldcatに、「買う」ではAmazon等の購入サイトにリンクしています。
米国ニューヨークにあるモルガン図書館・博物館(The Morgan Library & Museum)が、2010年12月20日から、同館が所蔵するクラシック音楽の作曲家の直筆楽譜のオンライン公開を開始しています。現時点では、ベートーヴェン、ショパン、ドビュッシーらの作品40点が公開されており、将来的には900点、42,000ページが公開される予定とのことです。