2010年10月20日、アイルランドのダブリン大学トリニティカレッジ(Trinity College Dublin:TCD)が研究成果のオープンアクセス化の方針を発表しています。この方針は、雑誌論文やその他の学術成果を、TCDの機関リポジトリである“TARA(Trinity’s Access to Research Archive)”を通じて提供するものです。公開される研究成果には、すべての学術論文、査読付きのカンファレンスペーパー等の他にも、教員が執筆した図書や既発表の研究に関連するデータセットの公開も求められているようです。TCDのプレスリリースによると、この種のオープンアクセスの方針の決定は、アイルランドの大学では初とのことです。
欧州デジタル図書館Europeanaが新たなバーチャル展示を公開しました。今回のテーマは「東欧における結婚式」(Weddings in Eastern Europe)とのことで、ハンガリー、リトアニア、ポーランド、スロベニアにおける結婚式の伝統について、お見合いから結婚式が終わるまでを、資料を交えて解説しています。
2010年10月28日、米国ジョージ・メイソン大学の「歴史とニューメディアセンター」(Center for History and New Media)が、“Omeka.net”(ベータ版)を公開しました。この“Omeka.net”は、図書館、博物館、文書館向けのウェブ出版用オープンソースソフト“Omeka”のクラウド版のようです。
2010年10月25日、米国のNPO・EDUCAUSEは、米国およびカナダの大学生のIT事情を調査した報告書“The ECAR Study of Undergraduate Students and Information Technology, 2010”を公開しました。これは、2004年以来毎年刊行されているもので、2010年の調査結果によると、回答者の84%がノートPCを持っており、デスクトップPCを持っているのは半数以下の46%であったこと、回答者が1週間にインターネットに費やす時間は平均21.2時間であったこと、学生の20%がオンラインの授業を受講していること、約半数の生徒が授業でのITの活用が自分たちの学習にとってプラスになると考えていること等が明らかになったようです。
2010年10月26日、スペイン国立図書館(Biblioteca Nacional de España;BNE)が、インタラクティブな『ドン・キホーテ』(Quijote interactivo)を公開しました。これはBNEに所蔵されている『ドン・キホーテ』の初版(第1部1605年、第2部1615年)のデジタル化とともに、『ドン・キホーテ』の43の版および21件の関連資料から、地図や挿絵等をそれぞれデジタル化したもののようです。“Quijote interactivo”のウェブサイトでは、『ドン・キホーテ』の本文を読むことができるほか、地図上でドン・キホーテの旅程を確認したり、17世紀当時の生活や『ドン・キホーテ』に関連する騎士道物語を見たり、また、『ドン・キホーテ』に関連する音楽や動画等も視聴したりすることができます。
米国カンザス州にあるトピカ及びショーニー郡公共図書館(Topeka and Shawnee County Public Library)が、購入者が袋に好きなだけ詰めるという方式で図書館の古本を販売するイベント“Bag Day Book Sale”を行ったようです。袋は、食料品店で配られる買い物袋ほどのサイズで、1つ5ドルで販売されたようです。
“The 'M' Word - Marketing Libraries”というブログで、2010年8月に発表された、IFLA(国際図書館連盟)の第8回国際マーケティング賞(International Marketing Awards)の受賞館が紹介されています。1位はインドのハイデラバードにあるビジネススクールのラーニング・リサーチ・センターで、ビジネス等に関する情報を収集して学内関係者に提供する“Global InfoWatch”というサービスを実施しているとのことです。2位は米国イリノイ州のゲール・ボーデン公共図書館で、子どもが自分のお気に入りの本を紹介する動画をYouTubeにアップする“StoryTubes”というプロジェクトを実施しているとのことです。3位はノルウェーのベルゲン大学図書館で、自館についてのユニークな紹介ビデオを制作しているとのことです。
Wall Street Journal紙に、財政難による人員減や開館時間減少への対応として、ロッカーや自動販売機を使った貸出を行っている米国の公共図書館についての記事が掲載されています。ミネソタ州の人口1万3700人のHugoという町では、市役所の外に設けられたロッカーで図書やDVDの貸出を行っており、ロッカーの数を20から40に増やす予定とのことです。住民が自分に合った時間に利用できるという利点があるという見解がある一方、こうした流れは物理的な図書館の消滅に向けた第一歩であると危惧する見解も示されています。