英国情報システム合同委員会(JISC)が、2009年3月付けの報告書「Web 2.0の世界における高等教育(Higher Education in a Web 2.0 World)」を刊行しています。これは、現在の学習者たちが新しい技術、とりわけ、Web 2.0のツールをどの程度、どのように利用しているのか、高等教育にどのような期待を抱いているのか、高等教育の中で実際にWeb 2.0技術がどのように使われているのか、を調査したものです。この中では、デジタルデバイドの解消と(学習者およびスタッフの)情報リテラシーの習得・維持が、取り組むべき喫緊の、根本的な問題であるとされています。
Bowker社が2009年5月19日、同社の出版情報データベースBooks in Printのデータをもとに、2008年の米国の書籍出版統計を発表しました。2008年に刊行された書籍は275,232タイトルで、前年比3.2%の減でした。ただし、オンデマンド出版された書籍・短期間だけ出版された書籍のタイトル数は285,394と推計されており、従来型の書籍を上回ったと特記されています。これは、前年比132%の増とのことです。
Digital Preservation Europe(DPE)が2009年3月31日付けで、(1)デジタル写真一般、(2)放射線医学(Radiology)分野のデジタル写真、の保存に関するブリーフィングペーパー2点を刊行しています。このうちの(1)では、ベストプラクティスに基づいて、CDやDVDなどのメディアに頼らないこと、ハードウェアRAIDのハードディスクに保存すること、外部のハードディスクに定期的にバックアップすること、写真ファイルをTIFFのような標準的なフォーマットに変換することなどが推奨されています。
英国情報システム合同委員会(JISC)の助成のもと、英国の高等教育機関間で研究データの共有を図るため、その意義についての認識を喚起したり事例・情報を共有したりすることをめざす専門家委員会“DISC-UK(Data Information Specialists Committee - United Kingdom)”が活動を行っています。このDISC-UKが中心となり、エディンバラ、オックスフォード、サウザンプトン、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの4大学が協同して、機関リポジトリのデータの共有・アーカイビングを行い、データ共有の望ましいモデル・ワークフロー・ツールの開発をめざす“DataShare”プロジェクトが、2007年から2009年まで行われました。
2009年5月、その成果物として、デジタルリポジトリのコレクションに研究データを加える際のポリシー決定に関するガイド“Policy-making for Research Data in Repositories: A Guide”が公表されています。収録するデータ、メタデータ、データの登録、データへのアクセスと再利用、データの保存、データの撤回と継承計画、今後のステップといった構成で、研究データの扱いについて考慮すべき事項が整理されています。