第5回デジタルオブジェクトの保存に関する国際会議(International Conference on Preservation of Digital Objects: iPRES)が、2008年9月29日・30日に英国図書館(BL)で開催されています。この会議は2003年、中国科学院と図書館電子情報財団(eIFL)が、デジタル保存に関する情報を交換するべく開催したことに始まり、毎年規模を拡大しながら開催されているものです。2008年はデジタル保存のツールと方法をテーマとしており、実践的な保存業務、政策と費用、理論と概念フレームワークの3つのセッションでディスカッションが行われるとのことです。BLのウェブサイトで、各発表の抄録を見ることができます。
米国連邦議会では上院・下院それぞれに、“Orphan Works”の利用に関する法律案が上程されていますが、このうち上院で審議されていた“Shawn Bentley Orphan Works Act of 2008(S.2913)”が賛成多数で議決され、下院に送付されました。
A bill to provide a limitation on judicial remedies in copyright infringement cases involving orphan works. (S.3325:Shawn Bentley Orphan Works Act of 2008の正式名称) http://thomas.loc.gov/cgi-bin/bdquery/z?d110:s.02913:
米国では、著作権侵害に対する非親告罪化や損害賠償額、罰金額の増額、知的財産権の強化に向けた新たな役職の設置など、知的財産権の強化を図る法案“Prioritizing Resources and Organization for Intellectual Property Act(PRO-IP Act)”が、連邦議会で審議されていました。このほど著作権侵害に対する非親告罪化の条文を撤回する修正をおこない、上院(2008年9月26日)および下院(2008年9月28日)で採決が行なわれ、賛成多数により大統領に回付されました。
ただしホワイトハウスは、知的財産権強化に向けた新たな役職の設置に消極的であることから、同法案に反対の意向を示しているとされています。
英国情報システム合同委員会(JISC)が2008年9月、ログファイルに基づくリポジトリの利用統計に関するレビューを刊行しています。これは主に、2008年7月にベルリンで開催されたワークショップでの議論に基づくもので、COUNTER、LogEc、IFABC(International Federation of Audit Bureaux of Circulations)をはじめとする既存の利用統計(リポジトリの周辺のものも含む)をレビューするとともに、ログファイルの記録・交換のための基本的スキーマを開発しようというものです。このレビューの中に、基本的スキーマの提案も含まれています。
Merk, C (2008) Usage Statistics Review: Final report. Project Report. UNSPECIFIED. (Unpublished)
カナダ国立研究機構国立科学技術情報機関(NRC-CISTI)とカナダ保健研究機構(Canadian Institutes of Health Research;CIHR)が、CIHRが助成した研究成果のリポジトリをPubMed Central Canada(PMC)として設立することに向け、活動中だということです。NRC-CISTIとCIHRは現在、PubMed Centralを運営する米国国立医学図書館(NLM)に、サービスの協同スポンサーとなってもらうよう、交渉中です。
Adobe、Apple、Canon、Microsoft、Nokia、Sonyのデジタルメディア産業6社が2006年、(1) デジタル画像のメタデータの保存とシームレスな相互運用性、(2) すべてのアプリケーション、デバイス、サービスの相互運用性と利用可能性、の2つを目指し結成したコンソーシアム“Metadata Working Group(MWG)”から2008年9月24日、デジタル画像・写真のメタデータの取り扱いに関するガイドラインを公開しました。このガイドラインは、メタデータの保存・相互運用性のために、Exif、IPTC、XMPなど既存の標準をどのように扱うのが良いのかを、各デベロッパーに示すと共に、各標準の策定者に対し、保存、相互運用性、互換性について考慮に入れてもらうことを企図して作られたとされています。