図書館システムコンサルタントであるブリーディング(Marshall Breeding)氏による2つのレポートが公開されている。1つは氏の運営するウェブサイト“Library Technology Guides”上で2020年3月に公開された“Library Perceptions 2020: Results of the 13th International Survey of Library Automation”,もう1つは米国図書館協会(ALA)の刊行するAmerican Libraries誌2020年5月号掲載の“2020 Library Systems Report : Fresh opportunities amid consolidation”である。ともに継続的に発行されているもので,図書館システムの動向に関するマイルストーンとなっている(E1563ほか参照)。本稿ではこの2つの内容を概観する。
米国の電子図書館連合(DLF)が2020年5月21日に“A Practical Guide to Performing a Library User Data Risk Assessment in Library-Built Systems”を公開した。これは,図書館が構築したシステムが収集する利用者データへのリスクを理解するための定義,収集データのリスク評価に関するガイドである。
2020年6月5日,フランス文化省は2019年版の“ Baromètre des prêts et des acquisitions dans les bibliothèques de lecture publique”を発表した。これは,公共図書館における資料の貸出・購入実績の年次動向調査の報告書であり,2014年に開始された同調査の6回目にあたる。なお,本稿では「公読書のための図書館(les bibliothèques de lecture publique)」を便宜上「公共図書館」と意訳した。「公読書(lecture publique)」とは,市民の読書の機会保障を国や自治体の責務として位置づけるフランス行政独自の概念であり,その主な担い手は公共図書館である。