2019年5月,ユネスコは,英・電子情報保存連合(DPC)と共同で作成したオンラインのガイド“Executive Guide on Digital Preservation”(以下「本ガイド」)を公開した。組織の意思決定者に対し,デジタル保存の重要性を分かりやすく示すための各種情報を提供するものである。デジタル保存に関しては,マイグレーション・エミュレーションのような技術的課題に注目が集まりがちだが,担当人員や予算の不足,コンテンツ管理体制の不備といった組織的課題もまた,デジタル保存の大きな障害となる。本ガイドは後者の課題に焦点を当て,意思決定者からの理解・支援の獲得を最終的な目的としている。以下,その概要を紹介する。
2019年10月24日,ドイツにおける「図書館の日」に,ドイツ図書館協会とドイツテレコム財団が決定する“Bibliothek des Jahres(Library of the Year)”の授賞式が行われた。ドイツの“Library of the Year”は,分野や規模を問わず,ドイツの特に優れた図書館に毎年贈られる賞で,ドイツにおいて図書館に贈られる国家的な賞としては,唯一のものである。そして,その受賞館として,2019年度はベルリン中央州立図書館(Zentral- und Landesbibliothek Berlin:ZLB)が審査委員会の満場一致で選出された。ここでは,特に高く評価され,選出の理由となった参加型サービスとデジタルサービスを中心に,ZLBの概要を紹介したい。