ラテンアメリカについていえば、学術情報のOAが世界に広まり始めた1990年代、汎米保健機構の仮想保健図書館(1)、CLACSO(2)、SciELO(3)(CA1566参照)やRedALyC(4)などのプラットフォーム上でゴールドOAは広がりを見せていた。DOAJ(Directory of Open Access Journals)(5)の登録情報からも、域内の各国が比較的早い時期からOAに取り組んでいることがわかり、ブラジル、メキシコ(6)を中心に2000年代後半にはかなり浸透していた(7)。
2003年12月、当時の中国科学院(中国科学院:Chinese Academy of Sciences:CAS)院長の路甬祥氏は中国の科学者を代表して、オープンアクセス(OA)に関するベルリン宣言(E144参照)に署名した。また2004年5月に路氏と中国国家自然科学基金委員会(国家自然科学基金委员会:National Natural Science Foundation of China:NSFC)主任の陳宜瑜氏は、CASとNSFCを代表し、ベルリン宣言に署名した。
沖縄県立図書館(以後,当館)は,2017年9月2日から3日にかけて米国ハワイ州オアフ島で開催された第35回オキナワフェスティバル(以後,フェスティバル)において,ハワイ沖縄系図研究会(Okinawan Genealogical Society of Hawaii:OGSH)と連携し,移民1世ルーツ調査(以後,ルーツ調査)支援を実施した。ハワイの沖縄県系人など120人から2日間で170件の調査依頼を受けた。本稿では,実施に至るまでの経緯と現地の様子を紹介する。
2017年9月11日から9月12日にかけて,同志社大学(京都市)にて,日本デジタル・ヒューマニティーズ学会(JADH)年次国際学術大会JADH2017が開催された。この大会は2011年に大阪大学にて開催された人文情報学推進協議会主催の大会を継承し,2012年からはJADHの大会として毎年英語にて開催されているものである。国際的に活躍する10の国・地域のデジタル人文学研究者からなるプログラム委員会と,開催校である同志社大学を中心とした開催実行委員会の下,運営を行った。例年は三日間の開催で初日にワークショップを行っていたが,今回は初めて,二日間のみでワークショップなしでの開催となった。本年は,コラボレーションに焦点をあてた“Creating Data through Collaboration”というテーマの下,基調講演では,3万タイトル,50億字を超える中国古典等の大規模クラウドソーシング翻刻サイトctext.orgのためのシステムの構成,そして,それがなぜ選択されたのか,ということを中心とする講演が,このサイトの主宰者兼開発者スタージョン(Donald Sturgeon)氏(米・ハーバード大学)によって行われた。さらに,マイクロタスク・クラウドソーシングを様々なコンテンツに適用するCrowd4Uプロジェクトによる企画セッションが開催され,国立国会図書館(NDL)におけるL-Crowdによる書誌情報の誤同定のチェックや国デコImage Wallでのデジタル翻刻などの話題が採り上げられた。
2017年10月17日から20日まで,環太平洋研究図書館連合(Pacific Rim Research Libraries Alliance:PRRLA)の2017年総会が中国・浙江大学で開催された。12の国・地域の34の大学図書館から62人が出席し,日本からは植木俊哉東北大学附属図書館長と筆者の2人が参加した。