2015年8月,国際図書館連盟(IFLA)より『IFLA学校図書館ガイドライン』“IFLA School Library Guidelines”が公表された。2002年に出された『IFLA/ユネスコ学校図書館ガイドライン』(E003参照)の改訂版にあたる。学校図書館の目標を「社会に参加する責任感と倫理感を持ち,リテラシーを身に付けた児童生徒の育成」とし,「すべての児童生徒と教師が,効果的な学校図書館プログラムとサービスを利用できるよう」に作成された。日本からは岩崎れい氏(京都ノートルダム女子大学)がIFLA学校図書館分科会のメンバーとして関わっている。
近年,ビッグデータの活用やオープンサイエンスを支える基盤としてのオープンデータに世界的に注目が集まっている。このような中でカリフォルニア大学ロサンゼルス校のボーグマン(Christine L. Borgman)氏は,データの収集,分析及び利用を扱う「データ・スカラシップ」に関する注目すべき著作を発表した。
本書はヴィクトリア時代の英国の人々の読書を多角的に分析する論文集であり,第一部「私的な読書の公的な側面」(The Public Aspects of Private Reading),第二部「読書する関係」(The Reading Relationship),第三部「今日においてヴィクトリア時代人を読み解く」(Reading the Victorians Today)の三部から構成されている。本稿でそのすべての論文を紹介することは困難であるため,ここでは最先端の読書史研究の手法を紹介する第三部に注目し,そこから二編の論文を厳選して紹介しつつ,今後の読書史の展望を述べたい。
2015年8月16日から22日まで,米国アーキビスト協会(Society of American Archivists:SAA)2015年次大会が,米国クリーブランドにて開催された。本大会には米国・カナダを中心として,アーキビスト(文書館等の専門職),アーカイブズ学の研究者・教育者・大学院生,企業関係者などが参加した。日本からは,平野泉(立教大学共生社会研究センター),橋本陽(同),元ナミ(学習院大学大学院)の各氏が,テキサス医療センター図書館(ヒューストン)との国際共同研究として「原爆傷害調査委員会(ABCC)」資料のデジタル・アーカイブズ構築プロジェクトについてセッションを開催した。また筒井弥生氏(一橋大学大学院非常勤講師)は国立国会図書館やNHKなどの東日本大震災関連のデジタル・アーカイブ運営の取り組みを素材として,「デジタル・アーカイブ」をめぐり,「アーカイブズの理論」に基づくか否かという日本内外のズレを検証するポスター発表を行った。さらに,齋藤歩氏(学習院大学大学院)は建築アーカイブズの資料組織化などに関する自身の研究を進めるため,このトピックに関するワークショップなどに参加した。筆者自身は,政府のオープンデータやオープンガバメントに関する自らの日本学術振興会の科研費研究の遂行,また,筒井氏のトピックと重なるが,「デジタル・アーカイブ(ズ)」に関する日米の概念の違いの検証も目的として,初めてSAAの年次大会に参加した。以下,筆者が関心をもったテーマに絞り,本大会について報告したい。