米国図書館協会(ALA)の児童サービス部会(Association for Library Service to Children:ALSC)が2015年5月8日に発表した白書“Media Mentorship in Libraries Serving Youth”(以下白書)では,図書館における青少年及びその家族のためのメディア指導に関してまとめられている。白書は,(1)先行する調査,文献等の総括,(2)図書館員が青少年をはじめとした,地域社会の人々のメディアリテラシーを養う「メディア指導者」(media mentor)として果たすべき責務及び図書館等がメディア指導者養成のために採るべき方策についてのALSCの立場,という2点で構成されている。また,ALSCのウェブサイト上では,2014年8月に,ALSCなどが実施した,(1)図書館と児童の関係や,図書館でのタブレット等のメディア利用に関する調査の結果,(2)北米の図書館におけるメディア指導の実践例などが掲載されている。本稿では,これらに触れつつ,白書の内容について紹介する。なお,「デジタルルメディア」とは,アプリケーションや電子書籍のほか,放送メディア,ストリーミングメディア,ソフトウェアプログラムも含むものである。
2015年3月に公開された「IFLAディスレクシアの人のための図書館サービスのガイドライン 改訂・増補版」(“IFLA Guidelines for Library Services to Persons with Dyslexia ? Revised and extended”;以下ガイドライン)は,2001年に国際図書館連盟(IFLA)の専門報告書第70号として発行された旧ガイドラインの改訂・増補版となる。この改訂は,「特別なニーズのある人々に対する図書館サービス分科会」(Library Services toPeople with Special Needs Section:LSN)および「印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館分科会」(Libraries Serving Persons with Print Disabilities Section:LPD)による作業グループによって2012年から進められた。筆者も作業グループの一員として改訂作業に携わったので,その視点から紹介する。