2014年,米国議会図書館(Library of Congress:LC)の議会調査局(Congressional Research Service:CRS)は,その前身となる組織の設立から100周年を迎えた。本稿では,“Library of Congress Magazine”の2014年5-6月号に掲載されたCRS100周年特集記事等を基に、CRSについて紹介する。なお,1948年に当時の立法考査局(Legislative Reference Service:LRS)をモデルに設立された国立国会図書館調査及び立法考査局では,当館刊行物により,これまでもCRSの歴史等について伝えてきている。あわせて参照されたい。...
欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(Court of Justice)は,2014年5月13日に,EUデータ保護指令,EU基本権憲章の規定により,検索エンジンの運営者は,EU市民の過去の個人情報へのリンクを検索結果から削除すべき義務を負う旨の裁定を行った(E1572参照)。本稿では,Google検索結果の意義を踏まえ,なぜGoogleが義務を負うこととなったかという,検索エンジンという主体に関する裁定部分,すなわち,EUデータ保護指令第2条(b)(個人データの処理の定義),同条(d)(管理者の定義)の解釈等と,これを受けたGoogleの対応を紹介する。...
「デジタル人文学」(Digital Humanities;以下DHと略)という言葉が誕生して10年,いまやそれは全米人文学基金をはじめとする様々な研究助成団体から巨額の資金が投じられる研究領域にまで成長した。DHの成果物には,パブリック・ヒューマニティーズ(Public Humanities)としての可能性,すなわちアカデミズムの枠を超えて人文学知を市民に提供するアウトリーチリソースとしての役割が期待されている。しかしひとたび助成期間が終われば,多くのプロジェクトにおいて生み出されたそれらデジタル形式の成果物を維持し続けることには困難がつきまとう。これまでも度々指摘されてきたこの問題をテーマに,2014年6月18日,Ithaka S+Rが調査レポート“Sustaining the Digital Humanities”と,大学上層部向けにプロジェクトの持続可能性評価のためのツールキットを発表した。...