アーカイブ - 2011年 3月 30日 - book

第2章 第2節 調査結果の概要

 

1 第1次調査結果の概要

 

(1)デジタルアーカイブ等の実施・運営状況

 全体の26.6%の機関がデジタルアーカイブ等を実施・運営していると回答しており,計画中の機関は11.1%,実施・運営しておらず計画もない機関は61.9%という結果であった。全体の結果に対し,国立大学図書館では98.6%が実施・運営しているほか,都道府県立図書館(65.9%)や政令指定都市立図書館(54.5%)の実施・運営率が高いなど,設立母体,規模によって違いがある。

 なお,今回の調査では「デジタルアーカイブ等」の定義として提供システムや収録コンテンツの質や量について特に基準を設定せず,所蔵資料等をデジタル化したデータが一定量蓄積され,何らかの形で分類・整理され共有されているものであれば,小規模で簡易なものや非公開のものも調査対象とした。そのため,例えばウェブページ上のテキストから画像ファイルにリンクするだけの簡易なものや,職員のみが利用するもの,ウェブ対応していないものも含まれる。また,本格的なシステムが使われていても現在更新されていないもの,他機関と共同運営のものなどについては,機関によって「実施・運営している」と回答するかどうかの判断に違いがあったものと考えられ,注意が必要である。

第1章 第4節 大学図書館におけるデジタルアーカイブ / 米澤 誠

 

1 全体的な動向

 

(1)大学図書館におけるデジタルアーカイブの特色

 大学図書館におけるデジタルアーカイブについて,第1次調査により明らかとなったのは,機関リポジトリ(Institutional Repositories)の普及が大きな影響を及ぼしているということである。筆者の所属する国立情報学研究所(以下「NII」という)は,日本における機関リポジトリ普及を支援する役割を果たしてきた。本節ではその観点も踏まえて,大学図書館のデジタルアーカイブを考察することとしたい。

 機関リポジトリとは,大学等の機関内で生産される研究成果物を収集・保存・公開するものである。学術コミュニケーションの変革としてのオープンアクセス運動に端を発し,現在は大学としての社会への説明責任の手段としても位置付けられている。なお,NIIの調べでは,日本には2010年1月現在,115の機関リポジトリが存在しており,約56万件の論文等が収録されている1) 2)

第1章 第3節 博物館におけるデジタルアーカイブの動向 / 水嶋 英治

 

 以前は情報「化」社会を目指す世の中だったが,今日では「情報」に付いていた「化」がとれて,正に情報社会となった。最近では情報社会という言い方もあまり聞くことがない。あらゆる情報がデジタル化され,インターネットが当然の社会になっているため,我々の思考経路や行動もインターネットに依存している部分が多くなりつつある。

 一般論として言えば,博物館界も資料情報のデジタル化の推進が叫ばれており,博物館と美術館の間にはやや温度差があるものの,デジタル化による情報公開はコレクション・マネジメントの基本とも言える位置づけがされている。博物館の取り扱う範囲も拡大しつつあり,本来的な博物館資料(作品,標本,史料)をデジタル化することに加え,近年では博物館の存在する周辺地域の観光情報と相まって「景観」さえも情報化されている。言うなれば,地域文化資源のデジタル化が進んでいる。

 

第1章 第2節 公共図書館におけるデジタルアーカイブの現状と課題 / 菅野 育子

 

1 公共図書館におけるデジタル化

 我が国の公共図書館におけるデジタル化は,大学図書館を追随する形で段階的に進められてきたと言えよう。ネット上での公式サイト公開から,OPACの提供,そして所蔵資料をデジタル化して公開するデジタルアーカイブの段階に入りつつある。

 公式サイトの普及は大学図書館と比較して大きな遅れはあったものの,現時点ではほとんどの公共図書館が公式サイトを公開する段階にまで至っている。もちろん規模別にみれば,町村立図書館において独自のサイト構築はまだまだ難しいことも確かである。さらに紙媒体ではなくデジタル形式で資料提供を行うことは,貸出冊数を競ってきた公共図書館においては,これまでとは異なる方針に基づくサービスと言えよう。

 しかし,今進めるべきはデジタルアーカイブの公開であろう。大学図書館がそうであったように,公共図書館もまた潜在利用者への広報を主な目的としてデジタルアーカイブの公開に着手することが求められている。そして公共図書館でのデジタル化の対象の多くが,大学図書館と同様に所蔵貴重資料や古文書ではあるが,それらが特に「地域資料」と呼ばれるものであることに公共図書館のデジタルアーカイブの特徴はある。

 

第1章 第1節 デジタルアーカイブ整備の近年の動向 / 笠羽 晴夫

 

 今回の調査と報告は,わが国この分野全般に関するものとして,『デジタルアーカイブ白書2005』1) 以来である。ゆるやかに変化・進展する分野については,毎年の調査がかならず必要ということではないにしても,一定のサイクルで定点観測がなされていくことは,それを推進し,サービスする側にとっても,またその恩恵を受ける側にとっても意味があることである。

報告書

調査研究報告書(PDF)

・調査研究報告書(HTML)は下記のリンクから。

報告書は2章からなっています。

第1章 文化・学術機関におけるデジタルアーカイブ整備の現状と課題

第2章 デジタルアーカイブ等の提供・運営状況調査結果