1. はじめに 米国議会図書館(Library of Congress;以下、LCとする)の映画放送録音物部(Motion Picture, Broadcasting, and Recorded Sound Division;以下、MBRSとする)は、100万点を超える映像資料(映画フィルム、テレビ番組等)と300万点近くの録音資料(音楽CD・レコード、ラジオ番組、歴史的音声等)を所蔵する、世界有数の規模を誇る録音・映像アーカイブである(1)。所蔵するコレクションには、あらゆる記録メディアが含まれており、古いものでは、エジソンが発明した円筒型レコードや、1950年代頃まで使われていたナイトレートフィルムといわれる強い可燃性をもつ映画フィルム等が保存されている(2)。...
米国の国立芸術基金(National Endowment of Arts;NEA)は、2009年1月に『盛んになる読書』(Reading on the Rise)という報告書(1)を公表した。これは、5~10年おきに実施されている、米国の成人の文学作品の読書に関する調査の報告書で、2008年の調査では、1982年の調査開始以来低下を続けていた、文学作品を読む成人の比率が上昇に転じたことが報告された(E885参照)。...
英国では、ブックスタート事業(E480参照)をいち早く始めたほか、読書推進事業を担う団体・組織が数多く存在するなど、読書推進活動が比較的活発に行われている(CA1498参照)。本稿では、最も有名な活動の一つでもある「国民読書年」(National Year of Reading;以下「NYR」とする)を中心に紹介する。...
2010年3月9日,米国メリーランド大学図書館長パトリシア・スティール(Patricia A. Steele)氏による講演会「これからの大学図書館:グーグル化する世界と将来展望」が,国立国会図書館で行われた。同館の東京本館と関西館(中継)の2会場合わせて139名が参加した。スティール氏は,2005年8月にインディアナ大学図書館長に就任し,同大学を含むコンソーシアム“Committee on Institutional Cooperation(CIC)”とGoogleとの共同で行われる書籍デジタル化事業の立ち上げに尽力した。2009年9月にはメリーランド大学図書館長に就任し,Googleのプロジェクトへの参画の交渉を進めている。...
米国で,オンラインのみで提供される電子出版物の議会図書館への納本制度が,2010年2月24日から開始された。1976年に制定された米国著作権法第407条では,米国内で発行された著作物の著作権者または排他的発行権者は,発行日後3か月以内に,最良版(Best Edition)の完全なコピー(complete copy)2部(あるいは録音物のレコード2部とその付属物)を議会図書館に納入しなければならないと規定するとともに,議会図書館著作権局長は規則で納入を免除することができると定められている。今回の措置は,著作権局長が定めた著作権登録に関する規則(PART 202, Title 37, Code of Federal Regulations)が改正され,納入免除の対象が変更されたことによるものである。